毎日の水やりや防虫に消毒など、丹精込めてお世話を行っても、お花が咲かない、花数が少ないということは皆様の悩みごとです。庭木に毎年お花を咲かせるには、その花木が元気で、お花が咲くような、環境とお手入れを正しく行うことが必要です。
このページでは、花木を元気に育てる方法、肥料の与え方、花芽の分化、主な花木の分化期と開花期をプロの庭師が解説いたします。
花木にお花が咲ける元気をつけよう!
花木が毎年、たくさんの花芽を付ける最も大切な要素は、日当たりが良いということがあげられます。
花芽は春から伸びた新枝の葉が、光合成の働きで十分に養分が蓄積されてはじめて分化されるからです。注意しなければならないのは、健全な葉がたくさん付いていることで、十分に日光が当たったとしても、病害虫などで葉が痛んでいるような木は、枝も貧弱になり、花芽が付きにくくなります。
従い、葉が日光を浴びやすいように、剪定を行うことと、病害虫の防除を適宜行うということ、そして元気に生長できる土が備わっていることが、元気な花木を育てる前提となります。



庭木のお花が好む肥料を与えよう!
樹木は、苗木や若木の時には、窒素を多く含んでいますが、成木になるにつれ窒素が減少して、炭水化物(澱粉)が増えて花が咲くようになります。花木に窒素肥料を与えすぎないというのは、樹勢が強くなり、成木・老木でも若返りの現象となり、花芽が付きにくくなるということからです。
このように、たくさんのお花を咲かせるのには、肥料は不可欠のものです。肥沃ではない土地で肥料を与えていない場合は、週に一度のペースで、肥料を与えましょう。肥料を施しても花が咲かない場合に、化成肥料をあげる場合は、P(リン酸)の比率が高い「花が良く咲く」と書かれている肥料を与えてみましょう。そして、開花期には、P(リン酸)の比率が高い肥料をあげ、水やりの代わりに液体肥料を与えてみてください。
尚、強剪定などを行い、勢いの良い枝を伸ばしたりすると、若木と同様に花芽が付きにくくなるため、剪定方法にも注意が必要です。

花芽が付く時期と花芽の付き方を知ろう!
花木は種類によって花芽の分化時期は異なりますが、一般的には6月~9月頃の間が多くなっています。花芽が完全に固まる前に枝を切ってしまうと、花芽が葉芽に変わり、2番芽が伸びだすことになります。
従い、花木の剪定は、花芽が作られる時期、花芽の付く枝、花芽に付く位置を理解した上で、行う必要があります。


花芽の分化期と開花時期
樹種名 | 花芽分化期 | 開花時期 |
アケビ | 7~8月 | 4~5月 |
アザレア | 7月 | 4月 |
アジサイ | 8~9月 | 6~7月 |
アセビ | 6~7月 | 3~4月 |
アベリア | 7~9月 | 7~10月 |
アメリカノリノキ | 5月 | 5~8月 |
アメリカハナミズキ | 7~8月 | 4~5月 |
アンズ | 8月 | 3~4月 |
イチゴノキ | 7月 | 11~12月 |
ウツギ | 9~10月 | 5~6月 |
ウメ | 6~7月 | 2~3月 |
ウメモドキ | 7~8月 | 5~6月 |
エゴノキ | 7~8月 | 5~6月 |
エニシダ | 10~11月 | 5月 |
エンジュ | 9月 | 7~8月 |
オウバイ | 7~8月 | 3~5月 |
オオデマリ | 7~8月 | 5~6月 |
オガタマ | 7~8月 | 2~4月 |
オリーブ | 12~1月 | 5~6月 |
カイドウ | 7~8月 | 4~5月 |
カキ | 7~8月 | 5月 |
カリン | 7月 | 4~5月 |
カルミア | 8月 | 5月 |
カンキツ類 | 8~9月 | 5~6月 |
キョウチクトウ | 6~7月 | 7~9月 |
キンシバイ | 5月 | 6月 |
キンモクセイ | 8月 | 10月 |
クチナシ | 8~9月 | 6~7月 |
クリ | 7~8月 | 5~6月 |
クレマチス | 5~7月 | 6~9月 |
コデマリ | 6~7月 | 5~7月 |
コブシ | 6~7月 | 3~4月 |
サクラ | 7~8月 | 4~5月 |
ザクロ | 9~11月 | 6~7月 |
サザンカ | 7~8月 | 11~12月 |
サツキ | 7~8月 | 5~6月 |
サルスベリ | 5~6月 | 7~10月 |
サンザシ | 8~9月 | 5~6月 |
サンシュユ | 7月 | 3~4月 |
シモツケ | 8~9月 | 5~7月 |
シャクナゲ | 7月 | 4~5月 |
シャラノキ | 7~8月 | 6月 |
ジンチョウゲ | 7月 | 3~4月 |
スモークツリー | 7~8月 | 6~7月 |
タイサンボク | 8月 | 6~7月 |
タニウツギ | 7~8月 | 5月頃 |
ツツジ | 7~8月 | 4~6月 |
ツバキ | 7~8月 | 11~4月 |
ドウダンツツジ | 8~9月 | 4~5月 |
トキワマンサク | 6~7月 | 4~5月 |
トサミズキ | 7月 | 3~4月 |
トチノキ | 6~7月 | 5月 |
ナツツバキ | 7~8月 | 6~8月 |
ナンテン | 7~8月 | 6~7月 |
ニワウメ | 7月 | 3~4月 |
ノウゼンカズラ | 5~6月 | 7~8月 |
バイカウツギ | 11月 | 5~7月 |
ハイビスカス | 5~9月 | 6~10月 |
ハギ | 7~8月 | 7~9月 |
ハクチョウゲ | 6月 | 5~7月 |
ハコネウツギジ | 9月~10月 | 5~6月 |
ハナカイドウ | 7月 | 4~5月 |
ハナズオウ | 7月 | 4月 |
ハナミズキ | 7月 | 4月 |
バラ | 4~10月 | 5~6月・9~10月 |
ヒメシャラ | 7~8月 | 6~7月 |
ヒメリンゴ | 6~7月 | 4~5月 |
ヒュウガミズキ | 7月 | 3~4月 |
ピラカンサ | 10月 | 5~6月 |
フェイジョア | 7~8月 | 6月 |
ブーゲンビリア | 9月 | 12~4月 |
フジ | 7~8月 | 4~6月 |
フヨウ | 6月 | 7月 |
ブラシノキ | 7~8月 | 5~6月 |
ベニシタン | 7~9月 | 5~6月 |
ボケ | 8~9月 | 3~4月・11~12月 |
ボタン | 7~8月 | 4~5月 |
マユミ | 8月 | 5月 |
マンサク | 7~8月 | 2~3月 |
ミツマタ | 7月 | 4月 |
ムクゲ | 6~7月 | 7~9月 |
ムラサキシキブ | 5月 | 5~6月 |
モクセイ | 7~8月 | 9~10月 |
モクレン | 7~8月 | 3~4月 |
モモ | 7月 | 3~4月 |
ヤマブキ | 7月 | 4~5月 |
ユキヤナギ | 8~9月 | 3月 |
ライラック | 7~8月 | 4~5月 |
リョウブ | 8月 | 7~9月 |
レンギョウ | 7~8月 | 3~4月 |
ロウバイ | 6月 | 1~2月 |
※関東平野部を基準としています。
お庭で主に使われる花木の花芽分化期と開花時期を作成しました。このカレンダーは関東平野部を基準としていますので、その他の地域では多少誤差が発生すると思いますので、そのあたりは自身で花木を観察して調整をお願いします。樹木には、それぞれの花芽の分化期と開花期、そして剪定に適した時期がありますから、これらを確認をすることと、対象の花木の様子をしっかりと見て、花芽の分化期から開花までの間に剪定を行わないこと、もしくは、この期間中に剪定を行うなら、花芽を諦めるか、花芽を切り取ってしまわないように行うかということになりますから、重々確認して対処をしていきましょう。
花木にたくさんのお花を咲かせましょう。ポイントは、花木がお花を咲かせることができるように元気に育てること、お花が咲きやすいように肥料を与えること、花芽の分化期と開花時期を知ること、剪定で花芽をとばしてしまわないことです。花木は生き物ですから、人間と同じように、酸素や栄養が必要ですし、その樹木毎の時期に応じたお手入れも必要ですから、人と同じように大切に扱ってあげてくださいね。
どうしても難しいようなら是非ご用命くださいね。庭木のメンテナンスはこちらから
2024年1月31日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎








