庭木としても近年注目される「オージープランツ(オーストラリアンプランツ)」。カサカサとした質感、独特のフォルム、ドライな色合いなど、魅力たっぷりなオージープランツたちの基本をご紹介します。代表的なオージープランツの一覧や、原産地オーストラリアの環境や特徴を踏まえた、日本での育て方や選び方も解説。オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の初心者向け入門編です。
目次
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)とは
代表的なオージープランツ(オーストラリアンプランツ)の種類一覧
ユーカリ |アカシア |バンクシア |プロテア |カリステモン |グレビレア |セルリア |カンガルーポー |ドドナエア |メラレウカ |レプトスペルマム |レモンマートル | フランネルフラワー |ハナカンザシ |コプロスマ |エレモフィラ |その他
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の性質と特徴
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)に適した環境
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の基本の育て方
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)を選ぶコツ
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の価格帯
オージープランツ(オーストラリアンプランツはどこで買える?
まとめ
やっぱりプロに依頼したい方
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)とは
オージープランツとは、オーストラリア原産の植物の総称です。オーストラリアンプランツ、オーストラリア花木などとも呼ばれます。
また、野生植物を意味するワイルドフラワーとも称されたりします。ワイルドフラワーという分類は、南半球の乾燥した地域に自生する植物全般を指し、オージープランツのほかに南アフリカ原産の植物(ネイティブフラワー)も含まれます。80年代頃から流通はあったものの、近年ドライフラワー人気が高まったことで、存在感のあるワイルドフラワーたちがよく知られるようになりました。
ガーデニングにおいても以前から流通は多く、園芸品種として馴染みのある植物たちもあります。ですが近年はさらにさまざまな品種が出回るようになり、かっこよくてスタイリッシュなドライガーデンの人気に伴って、オージープランツの魅力が再発見されています。
代表的なオージープランツ(オーストラリアンプランツ)の種類一覧
ユーカリ
オーストラリア大陸の3/4を占める、オーストラリア固有の代表的な樹木ユーカリ。-5℃まで耐えられる品種もあり、温暖地では地植えが可能です。すーっとした香りで、その香りから虫の被害が少ないのも特徴です。比較的強い品種が多いので、初心者にもおすすめ。
アカシア
ギンヨウアカシアやミモザという通称のフサアカシアがよく知られるアカシア。世界に1350種ほどあると言われ、葉の形など多種多様な品種があります。中でもギンヨウアカシアは大きくなりすぎず比較的耐寒性もあるので、日本でも育てられやすい品種です。
バンクシア
バンクシアはインパクトのある花が特徴的なヤマモガシ科の植物です。その多くはオーストラリアの中でも乾燥した地帯に自生しますが、日本に主に流通する品種は比較的暑さ寒さにも強く、花つきも良いものが見られます。コースト系は潮風にも強いのが特徴です。
プロテア
南アフリカ原産のプロテアですが、オーストラリアでも栽培・生産されており、オージープランツとして括られることも。こちらもヤマモガシ科で、大きく個性的な花が魅力的です。中でもキングプロテア系は比較的強く、プロテア入門におすすめの品種です。
カリステモン
カリステモンの中でも真っ赤なブラシのような花が咲くスペキオススという品種は「ブラシノキ」とも呼ばれ、日本でも関東以西で大きく育っている姿が見られます。ほかに白や紫色の花をつける品種も。日陰でも育ち、比較的耐寒性もあるため初心者にもおすすめです。
グレビレア
バンクシアと同じヤマモガシ科で、スパイダーフラワーとも呼ばれる特徴的な花をつけるグレビレア。品種によって花色や葉の形、立性這性さまざまで、どれも個性的です。また品種によって耐寒性には差がありますが、基本的には霜に当たるのはNG。日本の雨には比較的強く、水はけが良い場所であれば地植えでよく育ちます。
セルリア
「セルリア」は南アフリカ原産ですが、プロテアと同様オーストラリアで栽培・生産されており、日本にも多数出荷されています。美しい花は四季咲きで、日本では春と秋に楽しむことができます。しかし日本の高温多湿には弱いので注意が必要です。夏前にばっさりと剪定してあげると夏越ししやすくなります。
カンガルーポー
カンガルーの足のような花を咲かせるヘモドラム科のカンガルーポー。切り花としてよく出回っています。花の色は黄色や赤、黒などもあり、個性的。しかし基本的に寒さに弱く多湿にも弱いため、上級者向けのオージープランツです。葉や花に水がかかると弱りやすいため、移動できる鉢植えでの栽培がおすすめです。
ドドナエア
ドドナエアは、日本ではハウチワノキと呼ばれ、小笠原諸島で自生するものもあります。海岸や砂地でも育つ強健さがあり、丈夫で育てやすいのが特徴です。中でも、葉色が美しいチョコレート色をしたドドナエア・プルプレアという品種が人気。気温の高い頃は葉色が濃緑になり、寒くなると赤色に紅葉してそのまま冬を越すという、四季を通して楽しめる品種です。
メラレウカ
さまざまな品種の中でもメラレウカ・アルテルニフォリアが有名で、メディカルティーツリーと呼ばれエッセンシャルオイルや化粧品にも広く利用されています。葉には殺菌力などが含まれ、柑橘系の清涼な香りはリラックス効果をもたらすとも。品種によって花色や香り、葉色も違い、赤い新芽と緑の葉のグラデーションが美しい品種もあります。
レプトスペルマム
「レプトスペルマム」は日本ではギョリュウバイ属とも呼ばれ、梅のような小さい花が咲く品種が多く見られますが、オージープランツとして近年人気なのはシルバーティーツリーという品種。同じフトモモ科で名前も姿もメラレウカに似ていますが厳密には別の植物で、こちらはハーブティーにも利用されます。メラレウカよりも強く、日本でも育てやすい品種です。
レモンマートル
レモンマートルは、東オーストラリアの亜熱帯で自生する植物で、レモンよりレモンと言われるほど香りが強い葉が特徴的です。抗菌作用があるメディカルハーブとしても古くから利用されてきました。花からは甘い香りがし、7月の開花気には辺り一帯を魅力的な香りで包み込みます。
フランネルフラワー
寄せ植えに人気のフランネルフラワーは、厚みのある乳白色の花びらと銀白色の葉が美しい、常緑性の多年草です。フランネルフラワーは、オーストラリアの原住民のアボリジニたちから神聖な花とされ、古くから薬や香料、食料などに利用されています。
ハナカンザシ
ハナカンザシは、15~30㎝とコンパクトでお花は多花性で、寄せ植えにぴったりです。そしてハナカンザシもお花が散らずにドライフラワーのように咲き続ける「エバーラスティングフラワー」の仲間でオーストラリアのワイルドフラワーの特徴が強く持っています。
コプロスマ
コプロスマは、寄せ植えにぴったりな秋に紅葉するタイプのカラーリーフで、イエロー、ピンク、レッド、コーヒー、チョコレートなどのカラーや形が個性的な品種が豊富です。樹高もコンパクトなものから、2mの生垣などに向くものもあります。
エレモフィラ
エレモフィラは、オーストラリアに約210種が分布する多年草、もしくは低木で、明るい斜面や林に自生しています。様々な種類がありますが、ホワイトツリーと呼ばれるエレモフィラ・ニベアは、銀色の毛に覆われた葉が美しく、春から秋にかけて淡い青紫色の花を咲かせてくれる、寄せ植えにおすすめのカラーリーフです。
その他
シンボルツリーにお勧めな樹種や、オージープランツに合う低木やグランドカバーをまとめた記事はこちらをご参照ください↓
【参考記事】「シンボルツリーにしたいオージープランツ(オーストラリアンプランツ)10選・おしゃれでかっこいい庭木にしたいならこれ」
【参考記事】「オージープランツ(オーストラリアンプランツ)と相性の良い低木やグラウンドカバーを一挙紹介!」
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の性質と特徴
オーストラリア大陸は広大で、沿岸部は熱帯雨林気候、内陸にかけて熱帯性気候や砂漠性気候となり、首都を含む南部は温帯性気候といったふうにさまざまに気候区が分かれています。また内陸は特殊な盆地の形をしており、乾燥した地域ながら地下水脈が豊富という特徴もあります。その豊富な気候区分と独自の環境で生き抜いたオーストラリア大陸固有種が多く存在し、まだ名前のついていない植物もあるほどです。
厳しい乾燥に耐えられるよう、葉が硬い硬葉樹が多く見られます。また、自然発生する山火事に対して、火に強く進化しているのも特徴的です。樹皮を厚くして炎から守ったり、火事の刺激によって種子が弾ける性質をもつものもいます。
日本で流通するオージープランツは、西オーストラリア南部や東オーストラリア南部原産のものが多く見られます。
西オーストラリアはより乾燥した地域で、ワイルドフラワーの個性的な品種たちが揃います。ですがその分、日本の高温多湿にはとても弱い傾向があります。一方、首都シドニーを含む東オーストラリア南部原産の種類は、日本でも比較的育てやすいと言われています。東西の記載がある場合はチェックしてみると良いですよ。
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)に適した環境
日本の高温多湿は、オージープランツたちにとっては厳しい環境です。特に梅雨の長雨とその後の夏の暑さには要注意。蒸れに弱いので、風通しをよくしたり、剪定するなどの対策が必要です。
基本的には日当たりをよく好みます。まれに、日陰でも育つ品種もいくつかあります。また潮風に強い品種もあり、コースト系と呼ばれるものは沿岸部でも育てることができます。
そして寒さは大敵で、霜に当たる地域にはあまり向きません。四国や九州などの温暖地では地植えでも育てられますが、寒冷地では基本的に移動ができる鉢植えでの栽培がおすすめです。
ですが、意外と耐寒性のある品種もあります。耐寒性のあるオージープランツは、たいてい-5℃まで耐えられるとされ、品種によっては関東などでも地植えすることができます。
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の基本の育て方
水やり
オージープランツの鉢植え栽培で一番難しい点は、水やりです。乾燥に強いとは言いますが、一度水切れを起こすと復活するのが難しく、水切れは厳禁。しかしやりすぎると根腐れを起こしてしまうため、水やりの加減がとても大切です。鉢が軽くなるくらいしっかりと乾燥させてから、たっぷりお水をやることがコツです。
地植えではほとんど降雨で育ちますが、乾燥が続くときにはしっかり様子をみて水やりをします。
用土
弱酸性を好む種類が多くあり、ピートモスや鹿沼土を混ぜ込んでpHを調整します。まれにアルカリ性を好む植物もいるので、品種によって注意が必要です。
全般的に水はけの良さは非常に重要で、水はけが悪いとすぐに調子が悪くなりがちです。パーライトなどを入れたり、軽石を多くしたり、地植えでは高く植えたりして対策します。
最近はオージープランツ専用の土も販売されています。
越冬のコツ
耐寒性のある品種でも、冬に氷点下が毎日続くような地域では鉢植え栽培がおすすめです。積雪のある地域では室内に、積雪の多くない地域では軒下でも越冬するケースが見られます。
地植えにする場合、冬は株元をマルチングするのが効果的。多湿に弱いので、水はけの良い腐葉土や石でマルチングするのがおすすめです。
株が若いうちには無理をさせないことも大切です。根が張るまでは花をたくさんつけさせず、花芽を間引いて少なくすると株の体力を保つことができます。根が張り幹が太くなれば、ある程度の寒さにも耐えられるようになります。
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)を選ぶコツ
原産地をよく見る
オージープランツと一言で言っても、オーストラリアのどの地域が原産なのかによって特性は変わります。特に西オーストラリア原産は乾燥した地帯で、日本で栽培するのは難しいものが多いです。西オーストラリア産の種類は、鉢植えで様子を見てから地植えするのが無難です。また、沿岸部で育てる場合は、オーストラリアでも沿岸部が原産のコースト系と呼ばれる品種を選ぶと良いでしょう。
小さな苗から育てる
寒さに不安のある地域では、小さな苗を買って環境適応させながら大きくさせるのがおすすめです。最初からある程度成長した大きい株を買ってしまうと、寒さに適応できずにダメージを受けてしまうことがあります。
また、小さい苗から育てることで樹形も整えやすくなり、丈夫にも育ちます。成長が早くすぐ大きくなってくれるオージープランツは、小さい苗から育てても2年ほどで十分楽しめますよ。
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の価格帯
オージープランツは、定番種の苗なら意外とリーズナブルで、3号ポットのアカシアやユーカリで400〜800円ほどで手に入ります。バンクシアやカリステモン、グレビレアなどは少し上がり、5号ポットで2000〜3000円くらいが相場ですが、樹形や樹勢が良い物や希少な品種は価格が上がり、5号ポットで3000〜8000円くらいの価格帯で多く見られます。よりレアなものや成木になると1鉢数万円から十数万円するものも。
オージープランツ(オーストラリアンプランツはどこで買える?
最近は流通量も増え、定番のアカシアやユーカリは園芸店やホームセンターでも見かける確率が増えてきました。バンクシアやグレビレアなども、各地でオージープランツを多く取り扱う園芸店も増え、関西以西の温暖地域であれば園芸店やホームセンターなど以前と比べ希少種も手に入りやすくなっています。
また、オンライン通販でも取り扱いが増え、オージープランツやドライガーデン向け植物に強い園芸店のサイトでは、なかなか近所では出会えない珍しい品種をネット購入できるようになってきたのでぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
オーストラリアと日本は環境が違うため、栽培難易度は高めのオージープランツ。ですが、まず水やりのコツをつかめば、比較的丈夫に育ってくれます。ほとんどが常緑性なので、一年を通して楽しめるのも魅力。また意外と花つきが良いものが多く、花が開いたときには愛おしさもひとしおです。ぜひ挑戦してみてくださいね。
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2024年1月30日更新