最近、岩石や砂利などを組み入れ、その間に植物など植えこんだ「ロックガーデン」というガーデニングスタイルがとても人気が高くなってきました。ロックガーデンは、高山植物や多年草類、乾燥地帯の植物など、乾燥を好む植物で自然に近い形でお庭をコーディネイトしていくスタイル。生命力の強い植物が主体で、お手入れやお世話が普通の樹木よりも簡単なので、ガーデニング初心者さんにぜひトライして欲しいスタイルです。このページでは、「ロックガーデン」とはから、「ロックガーデン」が似合う家、「ロックガーデン」におすすめの植物から石など、スタイリッシュな「ロックガーデン」の魅力に迫ります。
目次
ロックガーデンって何?
ロックガーデンの似合う家は?
ロックガーデンの作り方
ロックガーデンの土づくり
ロックガーデンのお手入れのポイント
お手入れのポイント① 気候
お手入れのポイント② 水やり
お手入れのポイント③ 肥料
ロックガーデンに向いている植物10選
①白牡丹(多肉植物/グラプトベリア属)
②チワワエイシス(多肉植物/エケベリア属)
③セダム(多肉植物/マンネングサ属)
④ 金鯱(サボテン/エキノカクタス属)
⑤ローズマリー(ハーブ/マンネンロウ属)
⑥ベニシダ(シダ類/オシダ属)
⑦ヒメルリトラノオ(山野草/クワガタソウ属)
⑧ココスヤシ/ヤタイヤシ/ブラジルヤシ(ヤシ/ブティア属)
⑨グレビレア(オージープランツ/グレビレア属)
⑩ブラシノキ(オージープランツ/ブラシノキ属)
ロックガーデンデザインと種類
和風ロックガーデン
和モダンロックガーデン
洋風ロックガーデン
リゾートロックガーデン
ドライロックガーデン
ロックガーデンにおすすめの石は?
ロックガーデンにおすすめの石① ホワイト系の石
ロックガーデンにおすすめの石② 茶系の石
ロックガーデンにおすすめの石③ 黄色系の石
ロックガーデンにおすすめの石④ ピンク系の石
ロックガーデンにおすすめの石⑤ 黒系の石
ロックガーデンにおすすめの石⑥ マーブル系の石
ロックガーデンって何?
「ロックガーデン」とは、日本では岩石を主体としたガーデニングスタイルをイメージした総称とされていますが、そのスタイルは洋風から和風、そして「ドライガーデン」に岩石を多めに施したものまでも「ロックガーデン」と呼ばれ、その範囲は、個人宅のお庭から大規模な公園などまで多種多様です。また、日本においてはロッククライミングの練習場となるボルダリングジムにも「ロックガーデン」と名付けられている場合もありますが、一般的には、岩石を使った庭園のことを指している場合が大半です。
しかしながら、ドライガーデンとロックガーデンの定義は曖昧で、乾燥を好む植物を主体としているガーデニングスタイルをドライガーデン、岩石を主体としたガーデニングスタイルをロックガーデンとしている場合が多いものの、そのスタイルに大きな違いは少なくなっていますが、日本庭園などでの和風のスタイルを主体とした岩石を使ったガーデニングスタイルは、一般的に呼ばれているロックガーデンには含まれない場合が多くなっています。
また、岩石を主体としたガーデニングスタイルで、ロックガーデンと呼ばれているものでも、アメリカ西部のアリゾナの乾燥地帯を模倣した場合は、アリゾナガーデンと呼ばれていたり、砂漠地帯をイメージされたものは、デザートガーデン、サボテンを主体としたものは、カクタスガーデン、多肉植物を主体としたものは、サキュレントガーデン、ヤシをメインとして植栽した場合は、トロピカルガーデン、南国のリゾート地をイメージした場合は、リゾートガーデンと呼ばれ、その特色付けによって呼称が付けられることが多くなっています。
ロックガーデンの似合う家は?
ロックガーデンは、岩石と乾燥地帯を好む植物を主体に植栽したものなので、イメージとしてはアメリカアリゾナ州地区の乾燥地帯のイメージが強いですが、基本的にはアメリカンハウスなどの洋風のお家によく似あうスタイルです。しかしながら、ロックガーデンは、用いる岩石と植栽、そして庭に施す砂利のカラーなども豊富なため、お家のイメージカラーなどとのコーディネイトも可能となってきていますので、和風の住宅や店舗の花壇などにも多く用いられるようになってきています。
ロックガーデンの作り方
ロックガーデンは、岩と岩を重ねたりした隙間を鉢の役目を持たせ、そこに乾燥を好む植物を植え、土の表面には砂利を施すのがオーソドックスなロックガーデンの作り方です。では、ロックガーデンはどこに気を付けて作ったらよいのでしょうか。ロックガーデンの土づくりと、気候・水やり・肥料などお手入れのポイントをまとめてみましたのでご覧ください。
ロックガーデンの土づくり
ロックガーデンの土づくりは、基本的にドライガーデンの土づくりとほぼ同様と考えていただいて差支えありませんが、ロックガーデンとドライガーデンの異なる一番のポイントは、ロックガーデンはベースが石だということです。従い、石の並べ方や土の配合などを間違ってしまったら、水はけが悪くなったり、湿気が多くなってしまったりするので、注意が必要です。
ロックガーデンやドライガーデンに用いる植物は、基本的に乾燥地帯の多肉植物系が多く、一番大切なことは「水はけと通気性のよい土」にするということです。従い、バーク堆肥とパーライトをブレンドし、水はけ具合を確認してみましょう。水はけが悪いようであれば、軽石などを混ぜて調整を行いましょう。また、ロックガーデンの場合は土づくりの段階から石やレンガなどで高低差を作りましょう。乾燥を好む植物は高いポイントに、乾燥を好む植物以外は、中段や下段に植え付けましょう。
ロックガーデンのお手入れのポイント
ロックガーデンに用いる植物は、基本的に乾燥を好む植物を主体として作庭するため、水やりの手間が少なく、お手入れが簡単と思われる方が多いのも事実ですが、デリケートな品種や品種による特性の違いを知って、適度な水やりや温度管理、日照対策を行いましょう。
お手入れのポイント① 気候
ロックガーデンに用いる植物の多くは日当たりの良い場所を好むものが多いのも事実ですが、品種によっては真夏に「日焼け」や「水枯れ」が起こりやすい品種もあるので、特徴を事前に良く調べておきましょう。
また、小さなお庭やベランダなどでも、1日の日当たりや風当たりなどにより、気温・湿度などは驚くほど違うもので、大きなお庭などでは端と端でも温度が異なる場合もあります。そんな場合は、冬の霜の降りる間は寒冷紗をかけて霜から守ったり、春前にはたい肥を増やして加温したりという工夫も必要になるかも知れません。
そんなロックガーデンに用いる植物は、その多くが耐暑性は高く日本の夏は問題なく過ごせますが、耐寒性はやや弱く、大半が0℃以上が好ましいものが多く出回っていますから、特性を見極めることと、お庭の耐寒性ゾーンを調べて知っておきましょう。
お手入れのポイント② 水やり
ロックガーデンのお庭で地植えの場合の水やりは、夏場以外は、自然の降雨量で良く、これ以上に与える必要はありません。しかしながら、1週間の間全く雨が降らない場合や日照りが続くとき、そして真夏の日照時間の長いときなどは、適度な水やりが必要となります。
多肉植物系の生長期の水やりは、4大栄養素と水を適度に与えると、とても生長が早いので、早く大きく生長させたいときなどは、少し多めに与えてみましょう。
お手入れのポイント③ 肥料
ロックガーデンに用いる植物は、基本的に痩せた土地に自生しているものが多く、肥料もさほど必要とする植物はありませんが、春から秋の成長期には、適度な化成肥料を与えるとよいでしょう。
ロックガーデンに向いている植物10選
①白牡丹(多肉植物/グラプトベリア属)
お花が咲いているような姿の白牡丹は、朧月(グラプトペタルム)と静夜(エケベリア)の交配種多肉植物で、多肉植物の中でも、暑さ、寒さに比較的強く、丈夫で育てやすいので、ビギナーの方にもおすすめの植物です。
また白牡丹は、カット芽挿しでも、葉挿しでも高い発根率なので、増やしやすい品種です。
②チワワエイシス(多肉植物/エケベリア属)
チワワエンシスは、緑色の丸い葉に、葉の先がうっすらとピンク色に染まる多肉植物の人気品種です。日本名で「桃太郎」という品種は、チワワエンシスとリンゼアナの交配種で、見た目もよく似ていて、こちらも人気が高い品種です。チワワエンシスは原種のため、耐寒性も耐暑性もあまり高くなく、特に高温多湿には弱いので真夏の高温期には、注意が必要です。
③セダム(多肉植物/マンネングサ属)
「セダム(sedum)」は、岩石や壁などに着生して育つため、ラテン語の”sedre(「座る」)”から名前が由来した多肉植物です。日本名では「万年草」「ベンケイソウ」とも呼ばれ、とても乾燥に強く、岩場や山地などの岩上の少しの土などでも根を張って生長していきます。セダムは日本には30種類以上存在していて、種類により耐寒性に違いがあるので、注意が必要です。
④金鯱(サボテン/エキノカクタス属)
金鯱(キンシャチ)サボテンはサボテンの王様と呼ばれている、メキシコが原産の玉サボテンです。生長すると最大1m程度まで大きくなり、光を浴びて金色に輝く姿は正にサボテンの王様です。屋外の日当たりと風通しが良い、雨に濡れない場所が好まれます。金鯱はお花が咲くのに20年以上かかるので愛情を持って気長に育ててみましょう。
⑤ローズマリー(ハーブ/マンネンロウ属)
ローズマリーは、耐暑性、耐寒性ともに優れたとても強い植物です。乾燥した痩せた土地でも育ち、強風にも耐え、非常に育てやすいので、ガーデニングビギナーにもおすすめです。そして、ローズマリーは、お料理、美容、芳香剤、薬用、クラフト用など、とても幅広く活用されていますし、中でも、お庭の園芸用では、生け垣、グラウンドカバー、トピアリーなど品種の特性に応じてとても重宝されている植物です。
⑥ベニシダ(シダ類/オシダ属)
ベニシダは本州以南に自生している日本で良く見かけられるシダです。半日陰で適度に湿り気のある肥沃な土壌を好むので、暖地の高温多湿になるような場所でのロックガーデンの地表に植えれば、露地でも越冬が可能です。春の芽吹き時には赤くなり、時にはオレンジ色や黄色を帯び、気温が高くなるとライムグリーンに変化し、とても観賞価値が高く、冬のガーデンには貴重なグリーンの色を見せてくれます。
⑦ヒメルリトラノオ(山野草/クワガタソウ属)
ヒメルリトラノオは、ヨーロッパ原産の這性・耐寒性多年草で、草丈は10~30cm程で、夏に青紫色の花穂が沢山並びとてもキレイな山野草です。やや乾き気味の高山の草原などに自生する種で、とても育てやすく、グランドカバーなどにもおすすめの植物です。ヒメルリトラノオは、有毒物質があり食べられませんから、ペットにも注意が必要です。
⑧ココスヤシ/ヤタイヤシ/ブラジルヤシ(ヤシ/ブティア属)
ココスヤシは、ヤシ科ブティア属のヤシの木の一種で、ヤシの木の中では比較的小ぶりな種類です。ココスヤシには耐寒性があり-7℃程度までは越冬可能です。ココスヤシは、その見た目が非常に良く似ていることから、ヤタイヤシ、ブラジルヤシと呼ばれています。ヤタイヤシ、ブラジルヤシとは種類が異なりますが、日本ではそれぞれの純粋種が少なく、交雑種が多いために、どちらのヤシもココスヤシとして流通、販売されています。
⑨グレビレア(オージープランツ/グレビレア属)
オージープランツのグレビレアは、オーストラリア南西部などの乾燥した地域に分布しているヤマモガシ科の常緑低木です。ブラシを連想させるように、赤、オレンジ、黄色などの花を春に咲かせてくれます。種類により、寒さに強い品種や寒さに弱い品種があります。日当たりの良い、水はけと風通しの良い場所を好みます。
⑩ブラシノキ(オージープランツ/ブラシノキ属)
オージープランツのブラシノキが属するマキバブラシノキ(カリステモン)属は、オーストラリアからニューカレドニアなどに約30種が自生する常緑性の花木です。ブラシノキは、その見た目が特徴的で、ビンを洗うためのブラシそっくりの姿から、英名ではボトルブラッシュと呼ばれています。ブラシノキは、風の当たらない日向を好み、花付きを良くするために、有機肥料を施してみましょう。また、生長とともに上部が重くなり倒れやすくなるので、支柱を取り付けておきましょう。
ロックガーデンデザインと種類
和風ロックガーデン
和風の住宅には、和風のロックガーデンを作庭してみましょう。自然石を自然な感じで並べたり、アクセントで灯篭や水鉢を用意してみたり、砂利を大きな石の間を埋めるように敷き詰めたりしてみましょう。石と石の間を埋めるように用土を入れて、高木、低木、下草、グランドカバーに分けて植栽をチョイスしてみましょう。
和モダンロックガーデン
和風の住宅に最近多くなっているのが、和モダンなお庭です。雑木風の植栽に大小様々な石や岩を用いて、お手入れが少なくなるような樹種に、草が生えないように施しを行い、ライトやフェンスを組み合わせて和モダンな雰囲気に作り上げます。
洋風ロックガーデン
ロックガーデンには、高山植物や乾燥系のオージープランツやアメリカのドライ系のガーデンイメージが強いですが、ロック(ストーン)と相性が良いのは水や池(アクアガーデン、ビオトープ)だとも言われています。
ビオトープは、水辺というイメージが強いですが、必ずしも水辺が必要ではなく、本来の意味は「生物の生息空間」という意味ですから、植物や生物が生育できる環境を整えることを主眼として作庭してみましょう。
リゾートロックガーデン
リゾートロックガーデンは、南国リゾートガーデンにストーンを取り入れたスタイルで、岩とドライ系植物の組み合わせに、ヤシの木をシンボルツリーとした組み合わせが南国のリゾート感を醸し出してくれます。琉球石灰岩や溶岩石などの石を組み合わせ、植栽にはブラシの木やユッカ、アガベなどを植え付けてみましょう。
ドライロックガーデン
ドライロックガーデンとは、岩や石、砂利や砂などを用いて、乾燥地帯原産の植物を使ったガーデンスタイルですが、本場アメリカでは、砂漠地帯のアリゾナ州が著名なため、その名をアリゾナガーデンと呼んでいたり、砂漠色が強い場合には、デザートガーデン(砂漠のお庭)とも呼ばれています。植栽は、乾燥に強いサボテンや根塊植物などを用いて、作庭後はあまりお手入れが必要のないガーデンとなります。
ロックガーデンにおすすめの石は?
ドライガーデンの別名を「アリゾナガーデン」と呼ぶと先ほど記しましたが、アリゾナ州の地名は知っていても、アリゾナってどんな場所なのか、いまいちピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。ところが「アリゾナは、グランドキャニオンがある場所」と聞けば、誰でもすぐに、茶色い乾燥した石がゴロゴロしているイメージが湧くと思います。
ロックガーデンは、乾燥に強い多肉系やオージー系の植物と自然石の組み合わせで構成されていますので、石選びもデザインの重要なポイントです。
大きなゴツゴツした自然石を用いたら、ワイルド感のあるロックガーデンになりますし、ホワイト系のサンゴ由来のような石を用いたら、南国のリゾート地にあるガーデンのイメージになりますから、ロックガーデンの好みのスタイルをイメージして石選びを進めてみましょう。
ロックガーデンにおすすめの石①ホワイト系の石
ホワイト系石を用いたロックガーデンは、スタイリッシュに仕上げたいときに多く使われています。エレガントさと高級感を兼ね備え、地中海のサントリーニ島を思い起こさせてくれます。ホワイト系の石をベースとしたロックガーデンには、多肉植物やオリーブの古木などがとても良く似合います。
黄色系の石は、ナチュラルでありつつ、優しいイメージです。奇をてらったところがなく、素朴ながらヨーロピアンな印象もありますので、一般的な洋館によく合います。初心者でも一番使いやすいカラーかと思います。
ロックガーデンにおすすめの石② 茶系の石
茶色系の石を用いたロックガーデンは、ロックガーデンの故郷であるアメリカのアリゾナの砂漠地帯を彷彿させてくれます。古き良き時代のアメリカ西部地方をイメージして、粗削りな茶色系で少し大きめの石でコーディネイトしてみましょう。植物は乾燥を好むものを主体としたら、アリゾナガーデンの出来上がりです。
ロックガーデンにおすすめの石③ 黄色系の石
黄色、オレンジ系の石は、キラキラと輝くナチュラル系のイメージで、大地そのもののカラーですから、どのようなお家でも似合いますし、植物との相性もとても落ち着くカラーです。
ロックガーデンにおすすめの石④ ピンク系の石
ピンク系の石を用いたロックガーデンは、暖色系の優しさを醸し出してくれるので、女性向きのショップなどで、よくリクエストを頂戴します。ピンク系の石は、ホワイト系や黄色系などと組み合わせてコーディネイトするのも、とてもおすすめの方法です。
ロックガーデンにおすすめの石⑤ 黒系の石
男性好みの力強さを醸し出してくれるのが、黒系の石を用いたロックガーデンです。黒い石ベースのロックガーデンでは、アガベやサボテンなどのスタイリッシュな植物と組み合わせると、より美しさを引き立ててくれます。
ロックガーデンにおすすめの石⑥ マーブル系の石
最近多く用いられるようになってきているのが、マーブル系の石を用いたロックガーデンです。マーブル系の石は、朝日や夕日などの当たり方によっては、様々なカラーに輝き、その時々で異なる顔を見せてくれます。外構フェンスやお家などとのカラーコーディネイトを考えてみましょう。
まとめ
今トレンドのロックガーデンについてまとめてみました。ロックガーデンの植物選びや施工例、石の色彩カラーなどで、ロックガーデンのイメージがつかめたと思います。とても難しそうに見えるロックガーデンですが、植物の種類に合せた土選びとお手入れ方法を理解すれば、ガーデニング初心者でも育て易く、温暖な地域にはとても相性が良いので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
「人と違うオシャレなロックガーデンにしたい!」というこだわり派の方には、ドライ系植物同士の組み合わせや植え方のバランスまで、ロックガーデンを知り尽くした庭.proにお任せください。
2024年1月30日更新