パンパスグラスの育て方をプロの庭師が伝授します
「パンパスグラス(pampas grass)」は、イネ科の多年草で日本では「シロガネヨシ(白銀葭・白金葭)」、「おばけススキ」とも呼ばれています。原産は南アメリカで、名前の由来はアルゼンチンの木のない平原(=パンパス/パンパ)に生えている草(=グラス)という意味だそう。日本には明治時代中ごろに入ってきた後、白銀色の綿毛が美しく、観賞価値が高いことより、切り花やドライフラワーとして人気が高い花材となっています。このページでは、「パンパスグラス」の育て方やお手入れ方法、剪定などについてご紹介します。
パンパスグラスの基礎知識
学名:Cortaderia selloana
科名:イネ科
属名:シロガネヨシ属
原産地: 南アメリカ
和名:シロガネヨシ(白銀葭)、セイヨウススキ(西洋ススキ)、シロススキ(白薄)
英名:Pampas grass
樹高:低木 1m~3m
常落区分:常緑性
日照:日なた
耐暑:強い
耐寒:やや弱い
開花期:8月~10月
花色:白
剪定時期:春
記念樹:パンパスグラスの花言葉の「雄大な愛」などより、「新築祝い」や「子供の誕生祝い」などに用いられており、乾燥を好むため、ドライガーデンのお庭へのプレゼントなどに最適です。
花言葉:「光輝」(こうき)、「雄大な愛」、「強気な心」、「人気」
パンパスグラスの特長
パンパスグラスは、雄株と雌株がありますが、雌株の綿毛がたくさんある方が鑑賞価値が高いため、雌株を株分けして増やしていきます。一見ススキに似ていますが、ススキよりも穂に厚みがあり、秋口にはまっすぐ伸びた茎の先には、箒のように見える穂が付き、3m程度まで伸びる品種などもあります。お庭に植えて観賞用としたり、切り花やドライフラワーなどとして、お月見などに用いられたりと、秋らしい花材として重宝されています。
パンパスグラスには園芸品種など、20種程度の品種がありますが、花穂色が銀白色のセロアナ、ピンクのものをケルメシア、草丈が低くて穂色が白に桃色が入るものにロゼアなどがあります。見た目もススキに似ていますが、パンパスグラスの葉先もススキのようにノコギリ状になっているので注意が必要です。
パンパスグラスの育て方
植える場所
パンパスグラスは、日当たりの良い、風通しと水はけのよい場所を好みます。また、背丈は1m~3m、横幅も1.2m~2m程度までは生長するため、広めの場所を確保しておきたいものです。また、乾燥気味を好むため、湿気が多かったり、日光不足の場合は、穂が付かない場合もあります。
土づくり
パンパスグラスは、高温多湿にやや弱いため、水はけの悪い場所では、少し高植えにしたり傾斜にするなど、土壌改良を行った上で植え付けましょう。
水やり
パンパスグラスの水やりは、表土が乾いていたらたっぷりと与えましょう。
肥料
パンパスグラスの肥料は、基本的には不要ですが、大きく育てたい場合は、肥料を与えましょう。肥料を与えすぎてしまうと、株だけ大きくなり穂が出ない場合もあるので、基本的には肥料は控え目で育てましょう。
植え付け・植え替え
植え付け、植え替えの適期は3月~7月、9月~10月です。地植えの場合は、株が大きくなるので広めの場所を確保しておきましょう。鉢植えは、根が詰まっているようなら一回り大きな鉢に植え替えましょう。
冬越し
パンパスグラスは、越冬温度が-3℃以下のエリアでは、寒冷紗やビニールなどでの防寒対策を行いましょう。株元だけのマルチングでも効果があります。
病虫害・病気対策
パンパスグラスは、比較的病気や害虫に強い植物なので、病害虫の被害はほとんどありません。
増やし方
パンパスグラスは、春の新芽が吹き出す頃に、株分けを行いましょう。
パンパスグラスの剪定方法
パンパスグラスは、初春の次の新芽が出てくる前までに前年の枯れた葉を切り戻しましょう。10月の下旬頃になると葉が枯れて茶色くなってきます。冬の間は、ドライフラワーのような穂が美しい姿になるので、それを楽しむ方もいらっしゃいますし、穂が飛んでしまうようであれば、地際で切り戻しても良いでしょう。寒い地域では、枯れた穂を防寒資材に使用しても良いでしょう。
まとめ
パンパスグラスは、日当たり良く乾燥気味の環境ならば病害虫の心配もなく良く育ちます。パンパスグラスは、少し広めのスペースがあるのであれば、オーナメンタルグラスとして美しい姿を見せてくれます。
そんなパンパスグラスは、乾燥気味なところを好むため、最近では、ドライガーデンやロックガーデンに用いられることも多くなってきました。パンパスグラスを上手に育てるポイントは、日当たり、水はけの良いところに植え付けることです。
「パンパスグラスを使ったオシャレなドライガーデンのお庭を作りたい」という方には、ドライ系植物同士の組み合わせや植え方のバランスまでドライ系植物を知り尽くした庭.proにぜひお声がけください。
2024年1月30日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎