グレビレアの基礎知識と育て方をプロの庭師が伝授します
グレビレアは園芸品種が豊富で、日本でも育てやすい初心者にもおすすめのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)。花の形状や開花時期もいくつかタイプがあり、花色も豊富です。また品種によって葉の形も大きく異なり、常緑で一年中楽しめるので庭木にはぴったり。そんなグレビレアの基本と育て方を解説します。
目次
グレビレアの基本情報
グレビレアの特徴
グレビレアの主な品種
↳グレビレア・ロビンゴードン
↳グレビレア・ブロンズランバー(ランブラー)
↳グレビレア・ピグミーダンサー
↳グレビレア・ベイリアナ(バイレヤナ)
↳その他
グレビレアの育て方
グレビレアの病気と害虫
グレビレアの剪定方法
グレビレアの増やし方
まとめ
グレビレアの基本情報
分類:ヤマモガシ科グレビレア属
学名:grevillea
英名:grevillea、spider flower、toothbrush flower
和名:シノブノキ
別名:ハゴロモノキ、ハゴロモノマツ
原産地:オーストラリア、ニューギニアなど
樹高:0.2〜8m(品種による)
葉張り:1.5〜3m(品種による)
常落区分:常緑低木、常緑中高木(品種による)
耐寒性:-10〜0℃(品種による)
耐暑性:強い
開花期:2〜6月、周年(品種による)
花色:赤、黄色、オレンジ、黄色など
用途:庭木、ドライガーデンなど
剪定時期:春〜秋
花言葉:情熱、あなたを待っています
グレビレアの特徴
グレビレアは約250種ほどあるヤマモガシ科の植物で、そのほとんどがオーストラリア固有種として知られています。葉の形、花の形などさまざまな形状の品種があり、一季咲きや四季咲き、高木や低木、匍匐性など形態もさまざまです。グレビレアは交配がしやすいこともあって、多種多様な園芸品種が生まれています。
花の主な特徴
グレビレアの花は特徴的で、スパイダーフラワーとも呼ばれます。くるりと丸まった花被から雌しべが突き出した形をしています。ひとつひとつの花はよく似ていますが、グレビレアは大きく分けて3つの花の形に分かれます。
まず花房状になって360℃花をつける、ボトルブラシのようなタイプです。次に、房状ですが上部に向かってのみ花を咲かせる、歯ブラシのような形のタイプ。もうひとつは房状にはならず、花が数個集まって咲くタイプです。より蜘蛛の足のように見えるため、このタイプを特にスパイダーフラワータイプといいます。
葉の主な特徴
基本的には単葉ですが、葉の形も品種によってさまざまです。細い針のような葉もあれば、ローズマリーに似た種類(グレビレア・ロスマリニフォリア系)や、多肉のようにぷっくりした葉、柳のように薄く柔らかい細い葉もあります。深く切れ込みが入った種類も代表的ですが、切れ込みのあるタイプでも細いもの、幅広いものや大きさなどもさまざまで、「この葉もグレビレアなの?!」と驚くほど多様です。常緑性なので、カラーリーフとしてもおすすめです。
耐寒性と耐暑性
グレビレアは交配品種も多いので、オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の中では日本の寒さや高温多湿には耐えられる傾向にあります。
特にスパイダーフラワー系は寒さにも強い品種が多いようです。ですが、やはり積雪が数日続くような地域では地植えは難しいでしょう。関東以南でも根元をマルチングしたり、寒波などには寒冷紗で包むなどして対策をとるのがおすすめです。
グレビレアの主な品種
グレビレア・ロビンゴードン
グレビレアの代表的な園芸品種です。オーストラリアでも庭木として一般的な種類で、非常に丈夫で日本でも育てやすいのが特徴です。関東でも地植えで大きくなった例もあり、積雪が長く続かないような場所であれば寒さにも耐えます。
赤いブラシ状の花を咲かせ、ほぼ1年中花を咲かせてくれるのも魅力です。高さも葉張りも1.5m程度と、大きくなりすぎません。
グレビレア・ブロンズランバー(ランブラー)
歯ブラシ状の花が咲くタイプの品種です。樹高30cmほどの匍匐性で、葉張りが3〜4mにもなる生育旺盛さが特徴です。成長が早く丈夫で、日本でも植え込みなどに使えます。銅葉の新芽がつくことからブロンズという品種名がついており、切り込みが深い葉を年中楽しめます。四季咲き性で、紫がかった暗めのピンク色の花が咲きます。
グレビレア・ピグミーダンサー
スパイダーフラワー系の鮮やかなピンク花が咲くタイプです。樹高は1〜2mとなる低木で、ローズマリーのような葉が特徴です。耐寒性は-5℃前後とやや強めで、積雪のない暖地であれば地植えできます。日本で作られた園芸品種のため、日本でも育てやすく初心者にもおすすめです。冬から春にかけて開花するので、お花が少ない時期にもさりげない彩りを加えてくれます。
グレビレア・ベイリアナ(バイレヤナ)
切り花ではグレビレア・ゴールドという名前で知られる、人気のグレビレアです。英名のホワイトオークという名前でも出回ります。大きな葉はダイナミックで、葉裏がゴールドなのが特徴です。苗としてはあまり流通量はありませんが、ドライフラワーの人気から知名度は高い品種です。オーストラリアの中でも熱帯に自生するため、日本では暖地での栽培が向いています。原地では10mにもなりますが、日本では生育は遅めです。
その他
ユーカリはさまざまな品種があり、ほかにも珍しい品種なども出回ります。アルビダはユーカリの中でもっとも白色と言われ、白銀の葉が美しい品種です。プレウロカルパはテトラゴナシルバーとも呼ばれ、肉厚で粉を吹いたような葉と不思議な形の果実が魅力です。ほかにも、細長い糸葉の品種や、茎が葉の中心を通るツキヌキユーカリなどもあります。
グレビレアの育て方
水やり
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)特有の、水のやり過ぎにも水切れにも注意が必要です。オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の多くは根腐れを起こすと突然枯れてしまうので、気をつけましょう。鉢植えの場合は鉢が軽くなるくらいにしっかり乾いてから水やりします。特に乾きにくい冬は用土の様子をしっかり確認しましょう。
乾燥に強い一方、一度水切れして葉が乾いてしまったら復活しにくい特性があります。鉢植えの場合、夏は涼しい朝夕の2回水やりをしましょう。地植えの場合は、降雨でほとんど問題ありません。
日当たりと置き場所
1日中日が当たるような、日当たりの良く風通しの良い場所を好みます。枝が柔らかく折れやすいので、特に立ち性の品種などは強風が当たるところは避けるとよいでしょう。葉の面積が多い品種や、葉に毛が生えている品種は直射日光が強すぎると葉焼けを起こすことがあります。寒冷紗などで遮光するなどの対策をするとよいでしょう。
肥料
グレビレアの根は、ヤマモガシ科の植物によく見られるプロテオイド根という形状をしています。プロテオイド根はクラスター根とも呼ばれ、根の一部が塊になってブラシのような形をしている根です。これはリン酸の少ない痩せ地でも効率的にリン酸を吸収できる仕組みになっており、そのためリン酸が豊富すぎると逆に生育不良になってしまいます。複合的な化成肥料などは避け、リン酸の少ない窒素中心の肥料を施しましょう。元肥が含まれている用土なども避けるようにしましょう。
植え付けと植え替え
植え付けや植え替えは、暖かくなって日照量の増える春が適期です。植え替えの場合は、花が終わった頃にするとより良いでしょう。水はけの良い酸性気味の用土を好むので、鹿沼土や赤玉土と腐葉土などを配合したものを使います。市販の培養土を使う場合は、元肥が入ってないものを選びましょう。
グレビレアの病気と害虫
病害虫には強いですが、すす病が発生することがあります。グレビレアの花の蜜は鳥なども好んで吸いにきますが、この甘い蜜にカビが生えたような状態になるのがすす病です。花が咲いたらすぐ花穂を剪定したり、密でべたべたした枝葉はこまめに洗い流したりして、カビが発生しないように予防します。もしかかってしまった場合は、歯ブラシやシャワーの水圧などで洗い流すなどして駆除しましょう。
グレビレアの剪定方法
グレビレアの剪定は、花後に行います。咲き終わった花を置いておくと、花芽がつきにくくなったり、蜜が垂れてすす病の原因になります。早めに剪定して切り花として楽しむのがおすすめです。
また、枝が暴れやすい品種も多く、樹形を整えるためにも毎年剪定をするとよいでしょう。枝が混み合いやすいので、内側に向いた枝や交差した枝などをカットして風通しをよくします。
基本の剪定
グレビレアの剪定は、花後に行います。咲き終わった花を置いておくと、花芽がつきにくくなったり、蜜が垂れてすす病の原因になります。早めに剪定して切り花として楽しむのがおすすめです。
また、枝が暴れやすい品種も多く、樹形を整えるためにも毎年剪定をするとよいでしょう。枝が混み合いやすいので、内側に向いた枝や交差した枝などをカットして風通しをよくします。
グレビレアの増やし方
グレビレアは挿し木で増やせます。中でも、スパイダーフラワー系は挿し木の成功率が比較的高めです。その年に伸びた新枝を10cmほどにカットし下葉を取って挿し穂を作り、1時間ほど水につけておきます。その後発根促進剤を切り口につけ、赤玉土などの用土に挿します。発根するまでは用土を乾燥させないように保ちます。
まとめ
グレビレアは水の管理を気をつけていれば、あとはあまり手がかかりません。ホームセンターや園芸店などでも手に入れやすいので、挑戦しやすいオージープランツ(オーストラリアンプランツ)です。
品種によって葉や花の形状など魅力が違うので、いろんな品種に挑戦したくなるのがグレビレアの世界。ぜひお気に入りを見つけてみてくださいね。
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)を使った「ドライガーデンのお庭を作り」にぜひ挑戦してみたいという方は、ドライ系植物同士の組み合わせや植え方のバランスまでドライ系植物を知り尽くした庭.proにぜひお声がけください。
2024年1月24日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎