プロテアの基本の育て方を解説!初心者にもおすすめの品種もプロの庭師がご紹介します
大きくてエキゾチックな花を咲かせるプロテア。南アフリカ原産のネイティブフラワーで、近年はその魅力的な花とかっこいい葉が庭木としても人気が高まっています。性質が似ているオージープランツ(オーストラリアンプランツ)とも相性が良く、ロックガーデンやドライガーデンにおすすめ。そんなプロテアの基本の育て方やおすすめの品種を紹介します。
プロテアの基本情報
分類:プロテア属
科名:ヤマモガシ科
学名:Protea
英名:Protea,Sugar bush
和名:プロテア
別名:シュガーブッシュ
原産地:南アフリカ
樹高:50~200㎝
葉張り:100~200㎝
常楽区分:常緑低木
耐寒性:やや強い(0℃前後)
耐暑性:強い
日照:日なた
開花期:春~秋(本来は周年)
花色:ピンク、白、赤、黄色など
用途:庭木、ドライガーデン、ロックガーデンなど
花言葉:「自由自在」「華やかな期待」「王者の風格」
プロテアの特長
南アフリカなどに分布するヤマモガシ科のプロテア。日本では綺麗にドライフラワーになることから切り花などで人気が高まり、近年は庭木としても流通が増えてきました。南アフリカ原産の植物はネイティブフラワーと呼ばれ、オーストラリア固有の植物・オージープランツ(オーストラリアンプランツ)と性質が似ています。乾燥に強く、ドライガーデンやロックガーデンに向く植物です。
大きな花
プロテアはエキゾチックなお花を咲かせるのが特徴です。プロテアの中でも直径20cmほどにもなる花を持つキングプロテアが代表的で、日本でも切り花や苗が多く流通しています。大きい花が人気ですが、直径3cmほどの小ぶりの花を咲かせる品種もあります。花びらのように見える外側の色の鮮やかな部分は葉が変形した苞葉です。本当の花は中心部で、小さな花がたくさん集まった頭状花序の形態をしています。
日本での開花時期のピークは春です。本来プロテアは年中お花をつけるので、環境が合えば夏や秋にも花を見ることができます。
特殊な根
プロテアは、ほかのヤマモガシ科にも見られるようにプロテオイド根またはクラスター根と呼ばれる特殊な根の構造をしているのが特徴です。根の一部がブラシ状の塊になっていて、リン酸が少ない痩せ地でも効率的にリン酸を吸収できる仕組みになっています。リン酸の少ない土や肥料を使いましょう。
耐寒性
根が張り株が成長すればある程度の寒さには耐えますが、連日氷点下になるような地域では地植えは難しいでしょう。鉢植えで管理し、冬は積雪や霜を避けて軒下などに取り込みます。ただし冬の間も日光は必要とするため、室内ではなく日中に十分日の当たる場所で管理するのがよいでしょう。
水切れと根腐れ
多くのネイティブフラワーやオージープランツ(オーストラリアンプランツ)と同じく、水の管理が難しいのが特徴です。乾燥に強い特性がありますが、自生地では地中深くの水を吸収して成長するため、鉢植えで水切れを起こしてしまうと復活しにくい特性があります。
一方、多湿にも弱いので水のあげすぎにも注意が必要です。根腐れしてしまうと、一気に枯れる突然死を起こすことがあります。用土がしっかり乾いてから、水やりをしましょう。
プロテアの主な系統・品種
キングプロテア(プロテア・キナロイデス/シナロイデス)
花が非常に大きいキングプロテアは、南アフリカ共和国の国花にもなっている代表的な系統です。プロテアの中でも広く分布しており、適応性の高い種類でもあります。日本でも育てやすいため、今苗で流通しているほとんどがキングプロテア系です。中でもリトルプリンスという品種は花芽もつきやすく、プロテア初心者におすすめの品種です。
クイーンプロテア(プロテア・マグニフィカ)
キングプロテアの次に大きい花を持つクイーンプロテア系統。細かい毛が生えており、ビロードのように柔らかな感触とフォルム、そして絶妙なグラデーションの色合いが美しい系統です。成長が遅く、栽培環境が合えば寿命が長いのも特徴です。
標高の高い山地などの厳しい環境でも自生する系統ですが、日本での栽培は難しい面があります。乾燥した地域で効率よく水分を吸収するための毛が、高温多湿の環境下では蒸れやすいためです。ほかの系統と掛け合わせて作られた栽培品種が出回っています。
ミンクプロテア(プロテア・ネリイフォリア/ネリフォリア)
キョウチクトウに似た葉を持つことから学名が付けられた系統です。苞葉の縁が黒っぽく縁取られているのが特徴で、ミンクのような柔らかい質感をしています。花の形は開花がすすんでもカップ状で、切り花としても人気です。流通量はそこまで多くはありませんがプロテアの中では育てやすく、クリーム色のクリームミンクとピンク色のピンクミンクの2品種が代表的です。
プロテアの育て方
水やり
多くのネイティブフラワーやオージープランツ(オーストラリアンプランツ)と同じく、水のあげすぎと水切れに注意が必要です。地植えの場合、植え付けからしばらくは水切れに注意しながら水やりし、その後は降雨で問題ありません。
鉢植えの場合は、水切れしないように気をつけながら、乾かし気味に水やりします。鉢が軽くなるくらいまで乾いてからたっぷりとあげるのが基本です。用土が乾きやすい夏は、用土の渇き具合を見ながら涼しい朝夕の2回あげましょう。冬は用土が乾いたのをしっかり確認してから水やりします。根が凍ると枯れてしまうので、冬の水やりは朝に行いましょう。夕方にあげてしまうと、気温が下がった夜に凍ってしまう可能性があります。
花芽をつけてからは水をたくさん吸うため、水切れに注意が必要です。一度水切れしてしまうと花芽が枯れてしまうので、用土の渇き具合をしっかり観察しましょう。
日当たりと置き場所
一日中たっぷり日が当たり、風通しの良い場所を好みます。ただしクイーンプロテアのような葉に細かい毛が生えているタイプは葉焼けを起こしてしまうことがあるので、夏は半日陰の場所がおすすめです。
地植えでは、水はけのよい場所に植えます。高さをつけて植えるのも効果的です。また、バラなどお花を咲かせるためにリン酸系の肥料を多く使う植物の近くには植えないようにします。
肥料
プロテアはリン酸の吸収力が高いプロテオイド根(クラスター根)を持つため、リン酸の多い肥料を与えると生育不良になってしまいます。即効性の高い液体肥料などは避けるのが無難です。リン酸の多い肥料は避け、窒素分の多い肥料を春の成長期に与えるとよいでしょう。
植え付けと植え替え
植え付けや植え替えの適期は春です。暖かくなって日照時間が長くなり、生育がよくなります。
プロテアは根を触られるのを嫌うため、できるだけ根を崩さないように植え替えます。ですがプロテアの根は細かいので、根を崩さないようにするのは少し難しいかもしれません。根をたくさん切ってしまった場合は、負担を減らすために地上部も少し剪定してあげましょう。
用土は水はけの良い酸性気味の用土を好みます。赤玉土・鹿沼土・腐葉土などを混ぜて使います。元肥が入った市販の培養土にはリン酸が多く含まれていることがあるため、なるべく避けましょう。
プロテアの病害虫
カイガラムシがつくことがあります。見つけ次第歯ブラシなどでこすり取り、落ちたカイガラムシもきちんと処理します。ほかにもアオムシなどの食害に遭うこともあるので、定期的に観察しましょう。
プロテアの剪定方法
開花した花をつけたままにしておくと株が弱ってしまうので、ある程度開花したら剪定します。葉がある場所から15cmほどの場所で切りつめることで新芽を促す効果があります。プロテアは側枝が短くなる性質があり、剪定することで茎の発達も促してくれます。切った花はドライフラワーにしても楽しめます。
プロテアの増やし方
種まきでの増やし方
種は一つの頭花から約1〜30%しか取れず、自宅栽培で採取するのは少し難しいかもしれません。プロテアは山火事の刺激で発芽する性質があるため、50℃のお湯に30分ほど浸してから乾かし、種まき用土にまきます。煙の成分を含ませたスモークぺーパーを使うのも有効です。得意ん購入した種はこの前処理すると発芽率が高くなります。
挿し木での増やし方
挿し木はその年に出た枝を10cmほどカットし、挿し穂を作ります。下葉を取り除いて葉を4〜5枚に調整します。水に1〜2時間つけたあと、切り口に発根促進剤などをつけ、鹿沼土などに挿します。発根するまでは土を湿らせた状態で保ちます。
まとめ
プロテアは花が大きい分、咲かせるまでの水の管理がとても大切です。水切れを起こすと復活できず、根腐れすると突然死してしまうなど、栽培難易度は高め。それでも、花芽がついてから花開くまでのドキドキ感はたまらないですよ。一度育ててみると虜になる方も多いはず。最初はキングプロテア・リトルプリンスから始めるのがおすすめです。ぜひ挑戦してみてくださいね。
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2024年1月24日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎