南国風ドライガーデンをつくりたい人は必見!|【ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)】の育て方をプロの庭師が伝授します
丈夫で育てやすい「ココスヤシ」は、ドライガーデン初心者におすすめの植物です。
ヤシ科のなかでも特に人気があり、南国風ドライガーデンや、お部屋を彩る観葉植物として注目されています。
さらに、「勝利」「成功」という花言葉がある「ココスヤシ」は縁起もよくシンボルツリーにお勧め!
上手に育てるポイントを紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の基本情報
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の特徴
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の育て方
日当たりと置き場所
水やり
肥料
植え付け・植え替え
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の病害虫
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の剪定
まとめ
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の基本情報
属名 ブティア属
科名 ヤシ科
学名 Butia yatay、Butia capitata
英名 Jelly palm、Yatay palm
和名 ヤタイヤシ
別名 ココスヤシ(ブラジルヤシ)
原産地 ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ
樹高 約6~15m前後
葉長 約1.5~2m
区分 常緑樹
耐寒性 やや強い
耐暑性 強い
開花期 7月~8月頃
花色 赤色
果実期9~10月頃
果実色 橙色~赤色
用途 ドライガーデン、カルフォルニアガーデン、街路樹、観葉植物など
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の特徴
青緑色の葉が美しいココスヤシは、人気品種のヤシ植物です。
ヤシ科の中でも比較的小ぶりながら、存在感たっぷりのココスヤシ。南国ムードあふれる風貌に、一目ぼれしてしまった人もいるかもしれませんね。
見た目に反して、耐寒性があり、丈夫で育てやすいので初心者にはおすすめです。
ドライガーデンへ地植えにした場合、根付いてしまえば”メンテナンスフリー”という、手間のかからない点もうれしいところ。
じつは、ヤタイヤシとブラジルヤシの交配種が日本には多く、この2つを「ココスヤシ」と呼んでいます。
普段、街路樹や公園で、何気なく目にしているのがココスヤシかもしれませんね。
また、成長速度が遅いココスヤシは、年に3~4cmしか伸びず、大きく成長するまでにかなりの時間がかかります。そのため、苗木でも1万円前後から2~3mくらいでも5万円~20万円前後と庭木としては高額になります。5m以上に成長した状態の良いものは値段が50万円以上するもの珍しくありません。
予算が許せばドライガーデンのシンボルツリーとして、大きなココスヤシをメインにするのも素敵ですし、小さな株からじっくりと育てれば、成長過程を長く楽しめるとも言えますね。どちらにするのか、考える時間も楽しみながら選んでみてくださいね。
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の育て方
高価なココスヤシを手に入れたら、大切に育てたいものです。育て方のポイントをおさえてコツさえ掴めば、育てやすい植物なので安心して挑戦してくださいね。
日当たり・管理場所
ある程度の耐陰性もあるココスヤシですが、本来は南米の日差しで育つ植物だけに、1年を通して日光の当たる明るい場所を確保してあげましょう。
日が当たらない場所に長く置いてしまうと、葉がヒョロヒョロと徒長してしまうでしょう。さらに、ヤシ特有のズッシリとした幹が、貧弱になることもあるので要注意。
また、注意したいのは、真夏の酷暑が続く日の葉焼け。それ以外の季節は、直射日光に当て、風通しのよい場所で育ててくださいね。
ココスヤシの耐寒性は、目安として-6℃前後ほど。年に数回雪が降る程度の場所なら露地植えで問題ありませんが、積雪や霜で葉が傷み、折れることもあるので、積もっている雪はすぐに落としてあげましょう。
鉢植えで管理しているココスヤシの耐寒性は0℃前後なので、冬は室内で管理するのが安心ですよ。
また、さきほどココスヤシの成長スピードは遅く年に数センチと説明しましたが、地植えして1.5m~2mを超えると一気に成長スピードが速まりますので、小さいからと狭い場所に植えると大変なことになりかねません。葉の張りも考えて、できるだけ直径5mくらいは確保できる場所が理想的です。成長後のことも考えて植える場所はよく考えて決めてくださいね。
水やり
ココスヤシは、大きく成長する生育期に水分をたっぷりとあたえましょう。
6~9月の間は、土の表面が乾いているのを確認し、1日に1回を目安に水やりを行います。
また、水分が不足しているココスヤシは、葉先が茶色く枯れてくるので、水やりの目安になるでしょう。
休眠期に入る前、秋頃から冬にかけて徐々に水やりの回数を少なくしていきます。
冬の水やりはほとんど必要ありませんが、葉の状態を確認しながら、霧吹きで葉水などをあたえてください。
ドライガーデンなどで地植えにしたココスヤシは、根付くまでの1年ほど、成長期にしっかりと水をあたえましょう。根付いたあとの水やりは、真夏の乾燥時以外はほとんど必要ないでしょう。
肥料
ココスヤシに肥料をあたえるのは成長期の6~9月がおすすめです。成長が遅いココスヤシにしっかりと栄養をとらせ、冬の休眠期に入る準備をしてもらいましょう。
緩効性化成肥料や有機肥料など、2ヶ月に1回ほどのペースであたえます。置き肥にする際には、株元から離したところへ置くのがポイント。
また、冬の休眠期には肥料をあたえないように注意してくださいね。肥料焼けをおこし、枯れてしまう原因になります。適度なタイミングで肥料をあたえ、立派なココスヤシを育てましょう!
植え付け・植え替え
【植え替え】
観葉植物としてもトロピカルな雰囲気をかもしだしてくれるココスヤシは、1~2年に一度を目安に植え替えを行いましょう。
「鉢から根が出てきた」
「成長がストップした」
「葉が黄色く枯れてきた」
という、ココスヤシのサインを目安に植え替えを行うのもよいでしょう。
植え替えは、休眠期と酷暑期を避け、4~7月または9~10月などダメージの少ない季節を選ぶのがベスト。
植え替えを行う際には、ココスヤシのトゲに要注意です。怪我をしないために、グローブは必須アイテムですよ。
【植え替えで準備するもの】
・ひとまわり大きな鉢
・観葉植物用の土など(水はけのよい土)
・鉢底ネット
・軽石やゴロ土など
・グローブ
・緩効性化成肥料など
【植え替えの手順】
1. ひとまわり大きな鉢底へ鉢底ネットをしき、軽石またはゴロ土を入れておく
2. 観葉植物用の土などを3分の1ほど入れ、緩効性肥料を混ぜておく
3. ココスヤシのトゲに注意しながら、鉢から抜きだす
4. 古く硬い土を落とし、新しい鉢へ植え替えていく
5. 植え替え後は水をたっぷりとあたえ、日当たりのよい場所で管理する
【植え付け】
ある程度成長したココスヤシは植え付けを検討しても良いでしょう。
ドライガーデンにココスヤシが1本生えているだけで、一気に南国の風が吹き抜けるような気がしませんか?
「日当たり・水はけ・風通し」この3つの条件を満たしている場所を探すのがポイントです。
「水はけ」については万が一、条件にあう場所がなかったとしても、土壌改良を行えば環境は変わるので大丈夫。
完熟堆肥や完熟肥料・軽石小粒・山砂・砂質などを使ってみましょう。ココナッツの繊維など、天然の有機質成分を使った「ココピート」もおすすめですよ。
さらに、少し小高く植え付けを行えば、水はけもよくなるでしょう。ココスヤシが根を張りやすいように、大きめの穴を掘って植えつけてくださいね。
ただし、鉢植えで育ったココスヤシの耐寒性は0℃前後なので、お住いの地域やお庭の環境に適するかどうかはプロに相談して検討することをお勧めします。
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の病害虫
ココスヤシは、病害虫の被害がほとんどない育てやすい植物です。
ところが、室内で観葉植物として育てているココスヤシは、「ハダニ」や「カイガラムシ」が発生することもあります。風通しの悪さが原因なので、定期的に換気を行い未然に発生を防ぎましょう。
換気をするのが難しいという人は、サーキュレーターを使用し、空気を循環させるのもOKですよ。
また、嫌な害虫を大量発生させないためにも、毎日のチェックは欠かさずに行いましょう。霧吹きでこまめに葉水をかけながらよく観察すればハダニの発生も防げて一石二鳥です。
害虫が発生しても早い段階で見つけられたら、殺虫剤を使わずに駆除できるので安心です。ハダニはシャワーの水圧で洗い流し、カイガラムシは歯ブラシでこすり落としてくださいね。
ココスヤシ(ヤタイヤシ/ブラジルヤシ)の剪定
立派な幹に育てたい方は、ココスヤシ剪定のコツを覚えましょう。
ゴツゴツとした幹が特徴的なココスヤシ。じつは、あの凹凸をつくりだしているのは、古くなった葉です。
茶色く枯れてきた葉は、幹の生え際で剪定しましょう。
剪定を何度も繰り返し、時間をかけて成長したココスヤシの幹は、風合いのあるゴツゴツとした幹となっているはずです。
また、水分が不足してしまったココスヤシの葉は、茶色く枯れてしまいます。枯れた葉が元に戻ることはないので、斜めにカットし、美しい青緑色の葉をキープしましょう。
ココスヤシの剪定を行う際に注意したいのは、『幹の上の成長点をカットしない』こと。
成長点がなくなってしまうと、枯れてしまうので充分に気をつけてくださいね。
まとめ
ココスヤシの大きな葉が、風にそよぐ姿を見ていると、リラックス効果もありますよね。
またドライガーデンのシンボルツリーには、南国の植物がよく似合います。
「どのヤシを植えようか……」と悩んでいる方には、メンテナンスも楽な「ココスヤシ」をおすすめします!
ガーデンやインテリアに取り入れ、日本に居ながらリゾート地にいるような快適な時間を過ごしてくださいね。
2024年1月25日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎