独特な雰囲気が魅力のオージープランツ(オーストラリアンプランツ)。温暖で乾燥したオーストラリア原産ですが、日本では主に関東以南で庭木(地植え)できます。今回はシンボルツリーにすると個性的でかっこいい、おすすめの種類とそれぞれ品種の特徴をご紹介します。樹高や耐寒性も解説していますので、参考にしてみてください。
目次
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)とは
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)って庭木(地植え)にできる?
シンボルツリーにおすすめのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)10選
ユーカリ
アカシア
バンクシア
カリステモン
メラレウカ
レプトスペルマム
ドドナエア
アゴニス
ディクソニア
グラスツリー
まとめ
■やっぱりプロに依頼したい方
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)とは
「オージープランツ(オーストラリアンプランツ)」とは、オーストラリア原産の植物たちのこと。厳しい乾燥地帯の中で進化した姿は神秘的でかっこよく、近年は日本でも庭木やシンボルツリーとして人気が高まっています。
オージープランツは、乾燥に強いのが特徴です。水やりの頻度が少なく手入れしやすいとして、同じく乾燥に強い多肉植物などと植えるドライガーデンが人気です。石を配置して作るロックガーデンとも相性バッチリ。また、オージープランツにはアボリジニが薬として使ってきたハーブも多くあり、ナチュラルなイングリッシュガーデンに似合うものもあります。
またドライフラワーとして長く楽しめるのも魅力です。葉や花が綺麗な色合いでドライになるため、剪定で切った枝たちも楽しませてくれます。
オージープランツが育った環境や代表的なオージープランツの一覧、選び方のコツなどはこちらの記事にもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【参考記事】
「オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の代表的な種類や特徴、基本の育て方」
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の代表的な種類や特徴、基本の育て方
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)って庭木(地植え)にできる?
寒さに注意
温暖な南半球のオーストラリアで育った、オージープランツは、寒さに弱い種類がほとんどです。そのため霜の降りる日が連続して続くような北海道、東北、北陸、一部関東や日本海側では、庭木(地植え)にするのは少し難しいでしょう。
しかし、寒い地域では鉢植えでも育てられます。冬の間は室内や玄関先などの軒下に取り込んで楽しむ方法もあります。ただしオージープランツは一度水切れすると復活しにくいという性質があるので要注意。しっかり乾燥させてから水やりをするというコツを掴めば寒い地域でも育てられますよ。
高温多湿にも弱い
日本の高温多湿にも弱く、根や葉が蒸れてだめになってしまうことも多々あります。雨が続く梅雨から高温多湿になる夏の間は注意が必要です。水はけの良い土に植える、植える場所を高くする、透かし剪定を行うなどして対策をするのがおすすめです。
成長が早い
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)は成長が早く、小さな苗でもあっという間に2mほどに大きくなるような種類がほとんどです。どのくらい大きくなるのか、植えるスペースに合わせて選びましょう。また、乾燥した硬い土で育つオージープランツは根が浅いものが多く、日本の柔らかい土壌では倒れやすい場合があります。支柱を立てるなどの対策が効果的です。
シンボルツリーにおすすめのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)10選
ではここからは、シンボルツリーにおすすめのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)たちをご紹介します。
オージープランツは大きくなるものが多いので、樹高はチェックしてほしいポイントです。ただし剪定に強いものが多いので、高さを抑える剪定は比較的簡単です。また、耐寒性も重要。-5℃前後のものが多く、それらは関東以西で地植えできる例が多くみられています。参考にしてみてくださいね。
ユーカリ
オーストラリアの約3/4を占めると言われる、オーストラリアの固有種です。葉の形などさまざまな種類があり、オーストラリア全土で自生しています。成長が早く20mにもなるユーカリ。1年で1mも伸びることもあるので、剪定は毎年行いましょう。根が浅く倒木しやすいので、風の強い場所では支柱が必要です。病害虫に強く、すーっとした香りは虫の忌避効果もあります。
ユーカリ・グニ
-10℃まで耐寒性があり比較的湿度にも強く、全国で植えやすい品種です。小さい丸葉で、若い葉は葉柄がなく茎から出ているのが特徴的です。株が大きくなると、葉は細長くなります。ユーカリの中でも香りが強く、清涼感のある香りを楽しめます。
樹高:20m以上
耐寒性:-10℃まで
耐暑性:強い
特性:香りが強い、初心者向き
ユーカリ・ポポラス
グニよりも柔らかい緑色で、ナチュラルな印象のある品種です。大きめの丸葉が特徴的で、葉がまばらにつき、ほどよい透け感があります。ポポラス・ベリーと呼ばれる花の蕾もかわいらしく、切り花としても人気です。耐寒性はユーカリとしてはやや低めです。
樹高:3〜5m
耐寒性:-6℃まで
耐暑性:強い
特性:花の蕾が特徴的
そのほかの品種(丸葉)
ユーカリ・プルベルレンタ(銀世界ユーカリ):美しい銀色の葉をしています。-15℃まで耐寒性があり、湿度にも比較的強い品種です。枝が直線的で、かっこいい印象があります。
ユーカリ・アルビダ:ユーカリの中でも葉がより白っぽいのが特徴です。丸葉で、葉先が少し尖った形をしています。耐寒温度は-3℃で、暖地向きです。
そのほかの品種(細葉)
ユーカリ・プレウロカルパ(テトラゴナシルバー):シルバーの厚めの葉が魅力的です。粉をふいたような果実は不思議な形をしており、切り花としても人気。乾燥地帯の西オーストラリア原産で、寒さや雨で葉が痛みやすく、管理の難しい品種でもあります。
レモンユーカリ:細長い葉と強い香りが特徴です。精油は蚊除けにも使われるほか、鎮静効果なども。葉は緑色で、若葉は毛が生えており、大きくなると光沢が出ます。オーストラリアの中でも暑い地域で育つため寒さに弱く、日本では沖縄で大きく育つ例が見られています。
アカシア
アカシアと言えば日本では一般的にミモザという通称でよく知られますが、これはフサアカシアを指しています。フサアカシアは非常に大きくなるため、日本の庭木ではギンヨウアカシアが主流です。
成長が早く、品種によっては1年で1m以上も育ちます。その上移植を嫌うので、植える場所はよく考えましょう。根張りが浅いため倒木には注意が必要です。剪定に強く、枝がよく出ます。カイガラムシの被害に遭いやすいので、見つけたら駆除しましょう。
ギンヨウアカシア
銀色の葉が美しいアカシアです。生育旺盛なため、高さを抑える剪定は毎年行うと良いでしょう。剪定に強く花芽もたくさんついて失敗しにくいので、初心者でもおすすめです。耐寒性は比較的強く、地植えは関東以西が向いています。ギンヨウアカシア・プルプレアは銅葉の品種で、特に若葉は美しい紫色をしています。
樹高:5〜8m
耐寒性:-5℃
耐暑性:強い
特性:丈夫で初心者向き
サンカクバアカシア
葉柄が短く、三角の葉が茎を覆うような姿がユニークでかっこいい印象です。英名ではナイフリーフワトルとも言います。株元から枝分かれするブッシュ状で、ギンヨウアカシアとは株姿が少し違います。また、アカシアの中では比較的成長が緩やかです。
樹高:3〜5m
耐寒性:-5℃まで
耐暑性:強い
特性:ややコンパクト
ブルーブッシュ
こちらもブッシュ状で、シルバーブルーの細葉が特徴的です。アカシアは剪定に強いので、ブッシュタイプはいろんな形で楽しめます。柔らかい自然樹形はもちろん、丸く仕立てるのも素敵です。若木のうちに剪定を繰り返すことで主幹を太くさせていくと、見栄えがよくまとまります。
樹高:2〜4m
耐寒性:-5℃まで
耐暑性:強い
特性:コンパクト
その他の品種
パールアカシア:シルバーブルーの丸葉が魅力的で、ユーカリとも雰囲気が似ています。こちらもブッシュ状で、成長はアカシアの中ではやや遅く樹高も3〜5mと低めです。耐寒性は-5℃前後です。
スノーウィーリバーワトル:細葉の品種で、軽やかな印象です。オーストラリア南東部原産で比較的日本でも育てやすく強健で、樹高も3〜4mと低めです。耐寒性は-5℃前後。
バンクシア
バンクシアはインパクトのある花が特徴ヤマモガシ科のオーストラリア固有種で、オーストラリアの中でも乾燥地帯に自生しています。高木や低木、匍匐性から立性、葉の形など品種によってさまざまです。耐寒性は品種にもよりますが比較的強く丈夫で、意外と花つきも良いので、オージープランツ初心者でも育てやすいでしょう。西オーストラリア原産の品種は栽培が難しい品種が多く、霜の降りる地域やバンクシア入門編には東オーストラリア原産がおすすめです。
樹高:60〜7m
耐寒性:品種により-3℃〜 -8℃
耐暑性:強い
特性:潮風に耐える品種もある
主な品種
ヒースバンクシア(エリシフォリア):シドニーのあるオーストラリア南東部原産で、日本でも育てやすく流通の多い品種です。細い葉とオレンジ色の花が特徴で、-8℃まで耐えられます。
コーストバンクシア(インテグリフォリア):葉面の濃い緑と葉裏の白のコントラストがかっこいい品種です。こちらも東オーストラリア原産で、沿岸部に自生するため潮風にも強い品種です。樹高は5mと高くなり、葉も大型です。
カリステモン
カリステモンはブラシのような花が咲く、フトモモ科のオージープランツ(オーストラリアンプランツ)です。ブラシノキ、キンポウジュなどとも呼ばれます。花色は赤、白、ピンク、紫や緑などで、5月頃に開花する一季咲きと10月頃にも開花する四季咲き性があり、花つきも良く華やか。病害虫がつきにくく丈夫で、育てやすく初心者にもおすすめです。
樹高:2〜10m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:花つきが良い
主な品種
カリステモン・スペシオスス:日本でブラシノキとして馴染み深く、四季咲き性で赤色の花がたくさんつきます。樹高は2〜3mと維持しやすく、シンボルツリーや庭木にはおすすめです。
カリステモン・ビミナリス(シダレハナマキ):枝先が枝垂れる品種です。樹高は高く、9mほどになることもあります。ドーソンリバーという品種はビミナリスの矮性種で、樹高は3〜5mでややコンパクト。四季咲き性で花つきがよく人気の品種です。
メラレウカ
ティーツリーと呼ばれるフトモモ科のオーストラリア固有種です。葉には爽やかな香りがあり、殺菌効果などの効果があり、ハーブなどに利用されてきました。品種によって葉色がさまざまで、赤や黄色、銅葉などがあります。樹高が高くなりますが、萌芽力が強くよく枝が出るので強剪定ができます。病害虫には強いですが、枝が密集しやすく、蒸れやカイガラムシが発生することも。毎年剪定するのがおすすめです。
樹高:3〜6m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:葉に香りがある
主な品種
スノーインサマー:白い雪のような花が咲き、メラレウカの中でも耐寒性のある品種です。これに似た花を咲かせるメディカルティーツリーは、精油が採れる代表的なティーツリーで、香りが強いのが特徴です。
ブラックティーツリー:寒さにあたると葉がブロンズ色になります。葉は爽やかさに甘さがある香りで、こちらも精油が採れます。
レプトスペルマム
日本ではギョリュウバイと呼ばれ、柳のように細い葉、梅に似た小さい花を咲かせるレプトスペルマム。ティーツリーとつく名前の品種もあるためよく混同されますが、メラレウカとは別の植物です。オーストラリア南東部やニュージーランドが原産で、ニュージーランドではマヌカと呼ばれマヌカハニーの蜜源としても有名です。葉や樹皮は薬やハーブティーとしても利用されてきました。
樹高:2〜5m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:枝葉をハーブティーとして利用できる
主な品種
シルバーティーツリー:美しいシルバーの枝葉が柔らかく繊細な印象の品種です。基本的には日向を好みますが、半日陰でも育ちます。初夏に白い梅に似た小さな花を咲かせます。
レモンティーツリー:レモンの香りがして、ハーブティーにもおすすめです。葉色は緑色です。蚊除け効果があるとされています。
ドドナエア
日本でも小笠原諸島などの熱帯地域に自生するドドナエア。細い葉が美しく樹形もきれいなのでシンボルツリーに向いています。雄株と雌株があり、雄株は花後に種の入ったシックなピンク色の鞘ができる姿も美しいです。コンパクトに育つビスコーサという品種が代表的で、葉色が年中緑色のタイプと、秋から春にかけて赤紫に紅葉するビスコーサ・プルプレアという2種類があります。
樹高:2〜3m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:紅葉する品種がある
アゴニス
「黒ユーカリ」とも呼ばれる、フトモモ科の中高木です。ユーカリのように香りがありますが、ユーカリとは別の種類です。柳のようにしだれる細葉は黒色で美しく、赤っぽい茎とのコントラストも魅力。葉は寒さに当たるとより色が濃くなります。緑葉の品種もありますが、日本では黒葉の品種が人気で出回っています。アゴニス・ブラックテイルが代表的な品種です。
樹高:2〜4m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:黒葉が美しい
ディクソニア(ツリーファーン)
オーストラリア東南部やニュージーランドに自生する、木立性のシダです。耐陰性があるため観葉植物としても人気。地植えでは直射日光が強すぎない、半日陰の場所が適しています。木立性シダの中では耐寒性があり成長すると-15℃も耐えると言われますが、地植えは霜の降りない暖地がおすすめです。成長は1年に1cm程度と非常にゆっくりです。水やりは葉の付け根に水がしっかりかかるよう、葉の上から行います。日本で出回るのはほぼ、ディクソニア・アントルクティカという品種です。
樹高:2〜4m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:耐陰性がある
グラスツリー
日本ではススキノキと呼ばれ、原地ではブラックボーイとも呼ばれていました。山火事に耐えられる幹は黒く、樹上から柔らかなグラスが伸びる姿がとてもかっこいい植物です。成長はかなり遅く、1年に1cm程度です。希少価値が高く、日本で出回る量は少ない植物です。葉は切り花ではわりとメジャーで、スチールグラスという名前でよく出回っています。
樹高:1〜3m
耐寒性:-5℃前後
耐暑性:強い
特性:耐陰性がある
そのほか、オージープランツ(オーストラリアンプランツ)のシンボルツリーと相性のよい低木やグランドカバーなどはこちらの記事にもまとめていますので、参考にしてみてくださいね。
【参考記事】
「オージープランツ(オーストラリアンプランツ)と相性の良い低木やグラウンドカバーを一挙紹介!」
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の代表的な種類や特徴、基本の育て方
まとめ
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)のシンボルツリーは乾燥に強く常緑性なので、日々のお手入れは比較的楽なのがおすすめポイントです。樹高が高くなる種類は毎年剪定するとよいですが、剪定した枝葉もドライフラワーとして楽しめるのが魅力です。葉色が美しい種類ばかりなので、庭にひとつあるととても映えます。ぜひお気に入りを探してみてくださいね。
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2023年1月30日更新