花も楽しめてローメンテな常緑低木!ウエストリンギアの育て方と剪定のコツをプロの庭師が伝授します
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の中で、とても使い勝手がよい常緑低木・ウエストリンギア。丈夫でローメンテナンスなだけでなく、長い間お花を楽しめて重宝する植物です。さらに綺麗な色のカラーリーフが常緑で一年中楽しめて、ほかの植物とも合わせやすいスグレモノ!
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)のグランドカバーにもぴったりの、ウエストリンギアの育て方を解説します。
目次
ウエストリンギアの基本情報
ウエストリンギアの特徴
ウエストリンギアの主な品種
↳緑葉・紫花・ノーマルタイプ
↳バリエガータ・斑入り
↳スモーキー
ウエストリンギアの育て方
ウエストリンギアの病気と害虫
ウエストリンギアの剪定方法
ウエストリンギアの増やし方
まとめ
ウエストリンギアの基本情報
分類:シソ科ウエストリンギア属
学名:Westringia
英名:Coastal rosemary、Australian rosemary
別名:オーストラリアンローズマリー
原産地:オーストラリア
樹高:1.5m前後(品種による)
葉張り:50m前後
常落区分:常緑低木
耐寒性:−3℃前後
耐暑性:強い
開花期:3〜11月(真夏を除く・品種による)
花色:ラベンダー、白、ピンク
用途:庭木、カラーリーフ、生垣、トピアリー、ドライガーデンなど
剪定時期:周年
花言葉:真実の愛、誠実など
ウエストリンギアの特徴
ローズマリーに似た葉や花を咲かせることから「オーストラリアンローズマリー」という通称でも親しまれるウエストリンギア。ローズマリーより葉が細かくて茎も柔らかく、ふんわりした樹形が魅力です。香りはありません。丈夫で剪定もしやすい上に春から秋まで長い間花を咲かせ、樹木の下草にはぴったりの低木です。
ウエストリンギア・フルティコサ
ウエストリンギアにはいくつか品種がありますが、主に出回るウエストリンギアの多くはフルティコサ(Westringia fruticosa)と呼ばれる品種の園芸種です。フルティコサはオーストラリア東部の沿岸部に自生することからコーストローズマリーとも呼ばれ、オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の中では比較的多湿にも耐えて強健です。耐寒性も比較的強く、暖地では地植えも可能です。
幅広く使えるスグレモノ
葉の色は緑葉や斑入りなどがあり、常緑で1年中カラーリーフとして楽しめます。3号ポットなど小さい苗も流通しており、寄せ植えなどにも人気です。
刈り込みにも強く海外では生垣にも使われますが、日本ではきっちり刈り込むのはやや不向き。刈り込むと枝葉がより密になって、日本の高温多湿では特に内部が蒸れやすくなってしまうからです。枝葉の風通しをよくなるように、ふんわりとした自然樹形のトピアリーや生垣にすると楽しめます。
ウエストリンギアの主な品種
緑葉・紫花・ノーマルタイプ
ウエストリンギアの代表的な品種です。葉色が緑、花色が淡い紫色のタイプで、詳細な品種名は表記されずただウエストリンギアと表記されて出回っています。ノーマルタイプ・緑葉タイプなどとも呼ばれます。緑葉の品種は淡紫の花色が主流でしたが、白花品種も出てきています。
真夏と真冬を除く四季咲き性ですが、暖地では冬にも花をつけることがあるようです。立ち性で生育旺盛、樹高は1〜1.5mほどになりますが剪定にも強いのでコンパクトに育てられます。
バリエガータ・斑入り
緑の葉に黄斑や白斑が入ったウエストリンギアです。バリエガータとは斑入りという意味で、斑入り葉の品種のこと。ものによって斑の色合いも異なりますが、斑入り品種も詳細な品種名で出回ることは少なく、まとめてバリエガータと表記されて出回ることが多いようです。黄斑は全体的に黄緑色に見え、明るい印象です。白斑はシルバーがかって見え、柔らかい印象を与えます。花の色は白色や淡紫色で、ほとんどが四季咲き性です。
スモーキー
美しいシルバーリーフで常緑性という使い勝手の良さから、白斑のウエストリンギアの中でも人気で流通量が多い品種です。スモーキーという品種ですが、日本国内ではより白っぽい葉色でスモーキーホワイトと表記された苗もよく出回ります。
花色は白で、四季咲き性です。花付きはほかの品種に比べて少なめで、矮性のため成長もややゆっくりめ。樹高は大きくなっても50cm程度ですが、横によく広がります。高木のグラウンドカバーや花壇の手前などにおすすめです。
ウエストリンギアの育て方
水やり
多くのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)と同じく、乾かし気味に育て、水のやりすぎには気をつけます。ただし一度水切れしてしまうと復活させるのが難しいので、水切れには注意しましょう。
庭植えの場合は降雨で十分です。鉢植えの場合は鉢が軽くなるくらいに用土が乾いてからたっぷり水をやります。特に用土が乾きにくい冬は、しっかり乾燥しているのを確認しましょう。夏は乾きが早いので、様子を見て朝晩2回水やりをします。
日当たりと置き場所
日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。オージープランツ(オーストラリアンプランツ)の中では寒さにも比較的強く、暖地では庭植えできます。
霜が降りる日が続くようなところでは鉢植えで管理し、冬は室内に取り込みます。室内でも日当たりの良い場所で管理しましょう。また、春になって戸外に出す際、急に寒い風に当てると枯れてしまうことがあります。徐々に慣らすように気をつけましょう。
肥料
自生地オーストラリアでは痩せ地で育つため、肥料はあまり必要ありません。植え付けや植え替えの時に緩効性肥料を与えます。ですが多肥を嫌うため、根が傷ついているときに肥料をたくさん与えてしまうと刺激となって弱ってしまうことがあります。植え替え時に根をたくさん切ってしまったときにはすぐには与えず、少し経って根が張り出した頃に施すと株の負担が少なくて済みます。
植え付けと植え替え
気温が安定している春が適期です。秋も良いですが、秋は日照時間が短くなり気温も下がってくる時期なので、できれば春に行うとよいでしょう。
鉢植えの場合、成長が早いので根詰まりを起こしがちです。生育が悪くなってきた、下の葉が落ちてきた、用土が乾く頻度が高いなどの症状が見られたら、根を確認して植え替えましょう。
ウエストリンギアの病気と害虫
基本的に病害虫に強く、目立った被害はありません。
ただ乾燥を好むので、ハダニがつくことがあります。葉色が悪くなってきたりしたら、葉の裏を確認してみましょう。もしハダニの被害に遭った場合、水で洗い流すなどして駆除します。
ウエストリンギアの剪定方法
基本的には周年剪定できます。ウエストリンギアは剪定に強く、かつ四季咲き性で花芽のつく時期を気にしなくてよいためです。萌芽力も強いので、カットする場所もあまり選びません。小さい株のうちは、新芽ができている上で切ると失敗しにくいでしょう。
透かし剪定のコツ
ウエストリンギアは枝が混み合いやすいので、春から夏の成長期に枝が伸びてこんもりとしたら透かし剪定を行いましょう。混み合った枝をそのままにしておくと、株の中心部が蒸れて病害虫の原因になったり、外にばかり枝が伸びて中がスカスカになることがあります。
混み合った枝や内側に向かって伸びる枝などを、分岐点からカットします。枝の途中で切ってしまうとそこから枝分かれして枝が伸び、余計に枝が混み合ってしまいます。株の中まで風が通るようなイメージでカットしましょう。
樹形を整える剪定のコツ
3号ポットなど小さい苗で買った場合、小さいうちに一度剪定するのがおすすめです。そのまま育てると、枝が1本だけひょろひょろと伸びてしまったりしがちです。株が小さいうちに剪定しておくことで、枝数を増やし樹形を整えることができます。
新芽ができていたら時期は選びませんが、春は成長期で新芽がたくさん出ているので分かりやすいです。新芽が伸びていく方向を予測しながら、新芽の少し上でカットします。
ウエストリンギアの増やし方
挿し木で増やせます。適期は気温が高くなってくる梅雨頃です。その年に伸びた新枝を使い、10cmほどの挿し穂を作ります。切り口に発根剤を塗って赤玉土や鹿沼土などの用土に挿し、根付くまでは水切れしないように気をつけます。
まとめ
ふんわりとしたウエストリンギアのフォルムは、どんなスタイルの庭にも合わせやすく、他の植物とも馴染みやすいのが魅力です。特に、硬い質感が多いほかのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)たちと組み合わせるとお互いを引き立てます。また、カラーリーフとしても優秀なウエストリンギア。ブルーシルバー系の色味が多くなりがちなオージーガーデンには、ウエストリンギアのカラーリーフでメリハリをつけるとすっきり見えておすすめですよ。
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)を使った「ドライガーデンのお庭作り」にぜひ挑戦してみたいという方は、ドライ系植物同士の組み合わせや植え方のバランスまでドライ系植物を知り尽くした庭.proにぜひお声がけください。
2024年1月24日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎