帰宅して庭にいると気持ちが癒されます。庭リフォームをお考えの方は、「もっと気持ち良い空間にしたい」、「友人を呼んで軽い食事ができるようにしたい」などいろいろな希望がおありでしょう。
庭リフォームというとどうしてもメインが「庭=メインガーデン」になってしまいますが、住宅の外側にある空間を総合的にリフォームすることが大切です。また住宅同様にきちんとプランを考えていかないと、庭リフォームをした後で使いにくく、思っていたほどリラックス空間にならない可能性があります。
今回は庭を含む住宅の外側の空間をどのようにプランニングしていくかを説明します。ゾーニングのポイントと施工例5種も併せてご紹介します。
目次
■庭リフォームのゾーニング:庭を構成する各パート
-メインガーデン-
・メインガーデンの使用目的
・メインガーデンのスタイル
・予算やライフスタイル
-サービスヤード-
・洗濯や家事に関するスペース
・屋外作業の場所
-アプローチ-
・門扉のデザインや塀の素材
・門からドアまでの床材
・植栽とシンボルツリー
-その他のスペース-
■庭のパート別:ゾーニングの注意点
-1.駐車スペース
-2.門からのアプローチへ
-3.メインガーデン
-4.サービスヤード
-5.コンセントの配置を考える
-6.照明具を配置する
-7.外部からの視線をチェック
■庭リフォーム施工例
-レンガの床と芝生のコンビネーションした庭リフォーム
-テラスに屋根を設置した庭リフォーム
-ウッドデッキを設置した庭リフォーム
-日本家屋に坪庭
■庭リフォームのゾーニング:庭を構成する各パート
庭を美しくするだけではなく、使いやすくするためには「ゾーニング」をすることが重要です。ゾーニングというのは、庭全体の設計をすることです。庭のリフォームで考えるべきスペースを分けて、どのようなことに注意しながらリフォームをするべきなのかをご一緒に考えていきましょう。
-メインガーデン-
庭リフォームというとまず思い浮かべる場所がメインガーデンです。このメインガーデンをどうするかが、庭リフォームを考えている方の主な目的ではないでしょうか?
メインガーデンの使用目的は、家族のメンバー構成によって異なります。メンバーそれぞれの年齢やライフスタイルなどで変化していくため、経年とともに変化していく過程で柔軟に利用目的を変更できるレイアウトにすることが必要です。
・メインガーデンの使用目的
メインガーデンを何のために使うのかで庭のデザインは変わります。お子さんが小さいうちは庭で遊ぶことが多く、庭で遊んでいる間は居間にいる両親から見えるようにすると安心して家事ができます。
眺めるための美しさを第一に考えた庭なら、家のどの場所から見るかも大切なポイントです。その他、キッチンからすぐの場所をハーブや野菜などの家庭菜園にしたり、家事スペースや物置の設置をした場合にデザインが変わります。
・メインガーデンのスタイル
庭は和風、洋風に大きく分けられます。和風の場合は、純和風、和風モダンなど、洋風の場合は、イギリス風ガーデン、南欧のパティオ風などです。同時に植木の種類も庭のスタイルに合うものを選ぶことになります。反対に現在植えられている植栽をベースにするスタイルは限られてしまう可能性があります。
もちろん、建物のスタイルに合うデザインにした方が良いことは言うまでもありません。スタイルに合わせてフェンスを竹にしたりレンガ風にしたりと周囲の素材にも気をつけましょう。
・予算やライフスタイル
予算によっては全体の完成度にこだわる必要はありません。ご夫婦で家庭菜園を楽しんだり、バラを育てるコーナーを作りたいならそのための空間を用意するだけでもOKです。家族の将来の姿を考え、レイアウトしやすい庭をデザインし、予算に合わせてこだわる場所を中心にリフォームを考えましょう。
住む人のライフスタイルに合わせて、メンテナンスについても考える必要があります。草取りなど庭の維持に時間を取りたくないという方は雑草が生えないように防草処理をすることで時間や手間の削減が可能です。
-サービスヤード-
次に家事など作業をしたりストックに利用する「サービスヤード」について説明します。
理想を言えば「美しい草花を眺めるための癒しの場」であって欲しい庭ですが、実際には日々の屋外作業に使われることを想定してデザインすることも大切です。
・洗濯や家事に関するスペース
キッチンから直接出られる場所にゴミの一時置き場を設けたり、洗濯物のためのスペースにすると、家事導線の面から見ても理想的です。テラス屋根やサンルームを作り、雨の日に洗濯物を干せるスペースにしたり、洗濯機もそこに置くと洗濯機から取り出しそのまま干せます。アイロンかけもサンルームでできるようにしても良いでしょう。
・屋外作業の場所
遊んで帰ってきた子供が泥などを落としたり、室内飼いのペットを散歩させたあとに足を洗う場所として、またDIYが好きな方の作業場などの用途で活用すれば、室内を汚さないで済む上、作業の途中に来客を家にお通しする場合にも便利です。その他、アウトドア用品など日頃使わないものを収納する物置など生活に不可欠な場所としても、あると便利なスペースです。
-アプローチ-
「アプローチ」と言うのは、道路に面している門から玄関に至る場所のことです。来客を迎える場所であり、住宅の第一印象を決める場所でもあります。アプローチの目的の一つは、道から家の中がのぞけないようにすることです。
ホテルのエントランスがとても重要なように、住宅のアプローチ部分は住宅の顔とも言える場所です。アプローチから直接庭に入れるのか、アプローチのイメージと庭のイメージを統一するのか、あえて別デザインにするのかなどを考えます。
・門扉のデザインや塀の素材
門扉をつけるのか、つけないで門袖壁にするかなどでアプローチの雰囲気が変わります。植栽などにも工夫をしアーチやスクリーンと組み合わせて個性的なエントランスをデザインしましょう。
・門からドアまでの床材
<床材も色や手入れのしやすさ、滑りにくさなどから選びます。候補としては、タイル、レンガ、石材、砂利などがあります。またご高齢者と同居する場合は、段差をスロープに変えるなどの安全面も考えておきましょう。
・植栽とシンボルツリー
エントランスに小さな花壇を作ると色鮮やかで道行く人の目を引きますが、お手入れが大変です。その点、木を植えておくとあまり手入れをしなくても爽やかなイメージになります。また、入口の目隠しにもなることもメリットです。
そのような住宅のシンボルにもなるような木を「シンボルツリー」と呼びます。シンボルツリーには、比較的寒さに強いオリーブ、ハナミズキ、紅葉などがおすすめです。シンボルツリーは、家のイメージアップにもなります。
その他のスペース
駐車スペースが必要なために庭リフォームを考えている方もいらっしゃるでしょう。駐車スペースだからといって、コンクリートで仕上げただけでは殺風景になってしまいます。十分な広さを確保すると同時に、植栽などとのコンビネーションを考えましょう。
また、庭を作るにはスペースがあまりない場合は坪庭を作るという方法もあります。飾り棚を置くような気持ちで、採光を考えて坪庭を取り入れてみてはいかがでしょうか。その場合、植栽などのデザインも大切ですが、水の逃げ道を考え、床からの湿気対策をした設計が大切です。
■庭のパート別:ゾーニングの注意点
住居の設計では当然設計をします。その際、玄関の位置、キッチン、水回りの位置などを決めていきますが、庭の場合もどこに何を設定するかが大切です。その場合、どうしてもメインガーデンを最初に設定しがちですが、実際に生活し使いやすいようにするためには必要スペースでなおかつ大きなスペースから見ていく必要があります。
1.駐車スペース
駐車スペースは駐車の仕方なども考慮して設定します。車を出し入れしやすいこと、またアプローチとの関連性も必須です。できれば雨が降っているときに濡れずに家に入れる動線を確保したいものです。
2.門からのアプローチ
門の位置は駐車スペースから近いと理想的です。または駐車スペースの奥にドアをつけてサービスヤードからキッチンへ行ける動線を考えてみてはいかがでしょうか。
アプローチは門から玄関への段差などもチェックし、床をどのような素材にするかを決めます。
3.メインガーデン
バラやハーブなど植物が元気に育つことはもとより、滞在して心地良い庭の条件は日当たりの良いことです。また居間からの眺めも考慮するポイントです。メインガーデンをどのように使うかを決めて、床の素材やデザインを考えていきます。
4.サービスヤード
家の中もスッキリさせるためにもサービスヤードとストックヤードの位置を設定します。物置や分別ゴミの仮置場、洗濯機置場や泥まみれになってしまった場合の洗い場などです。洗い場は庭の水やりにも利用できます。
サービスヤードは、狭いスペースでも問題はありません。狭くて他の用途に利用できないような建物の側面などを有効に利用しましょう。家事室やキッチンと繋がっているとゴミを置く場合にも便利です。
5.コンセントの配置を考える
庭や駐車場にコンセントを設置しておくといろいろな機器類が利用でき便利です。何をするときに電気が必要になるか考えながらコンセントをいくつ、どの場所にどのように配置するかを検討してデザインしましょう。
6.照明具を配置する
照明具の種類と場所も重要です。照明があると夏は外で夕涼みをしながらのんびりすることもできます。庭先にほのかの光る照明具があると居間からの眺めも素敵です。電源がソーラーパネルによる自動充電式の照明具を利用すると電気代を気にせずいつも点灯状態を保つことが可能で、防犯にもなります。
近づいたときのみ点灯する人感センサーや暗くなると自動的に点灯するものなどを、それぞれのスペースの用途に合わせて選びましょう。
7.外部からの視線をチェック
メインガーデンや門扉、アプローチなどの配置を検討したら外部からどのように見られるか、玄関ドアを開けた際に道から見えるかどうかを確認しましょう。大体の希望をデッサンしてプロに頼んで作図してもらうとイメージがはっきりします。
■庭リフォーム施工例
次にメインガーデン部分を中心に施工例を5つ紹介します。スタイルや素材が全く異なるタイプです。
レンガの床と芝生のコンビネーションした庭リフォーム
レンガの床でくつろぎスペースになるテラスを作り、居間の延長として利用しています。テラスの周りは芝生でアジサイなどの植木を配置した、自然豊かな庭です。
芝生は柔らかく小さなお子さんが裸足で走り回っても安心ですが、管理が大変なことと冬になると一部が枯れて黄色くなってしまいます。管理が大変だと感じる場合は常に緑でメンテナンスが不要な人工芝を設置することも可能です。
テラスの床に利用されるレンガは、陶器の一種でブラウン系やオレンジ系の色がナチュラルな感じで温かみがあります。比較的小さめの長方形ですから、狭いスペースにも綺麗に設置でき、年月が経つと風合いが出て来ますが、同時に風化してしまうというデメリットもあります。しかし洋風の家にぴったりの素材で、おしゃれな雰囲気です。
テラスに屋根を設置した庭リフォーム
テラスに屋根を設置し、居間の延長として使われている施工例です。キッチンの窓からお料理を取り出せるようにし、カウンターも設置しました。テラス部分の床はタイルです。タイルはグレーを採用しました。
テラスの屋根は日よけだけが目的であれば、サンシェードやオーニングにするという選択もあります。サンシェードやオーニングは取り外しが可能で、柔らかい素材でおしゃれですが、雨避けにはなりません。
床材に利用しているタイルのメリットは、傷が付きにくく耐久性があることです。メンテナンスも他の素材より安くできます。タイルはサイズや色が豊富ですから、庭や住宅とぴったりのものが選べイメージ通りのテラスができます。
ただし、初期費用が少し高価なことがデメリットです。また素材によっては滑りやすい場合もあるため、注意して選びましょう。
ウッドデッキを設置した庭リフォーム
ウッドデッキを設置した庭リフォームの施工例です。ウッドデッキは、見た目がおしゃれで裸足で歩いても気持ち良くリラックスできます。リビングと庭の段差が少なくなり、ご高齢の方やお子さんにも安全です。雑草を気にしないで良いと同時に、周りに木を植えるとナチュラル感満載で癒し空間ができあがります。
テラスの屋根がない場合は、木が腐らないようにケアが必要です。木の種類によりますが、比較的初期費用がかかります。
日本家屋に坪庭
小さなスペースしか取れない場合も坪庭が可能です。床は木の周りは苔、家屋に近い部分は砂利を敷き詰めています。かなり高い板塀を設置しているため、外からの視線も気にせずくつろげます。
砂利はメリットの多い素材です。砂利にする石はさまざまな色合いから選べ、施工費も他の素材より比較的リーズナブルです。また、踏んだ際に音がするため防犯対策にもなります。
デメリットとしては、雑草が生えた場合の草むしりなどの細かいメンテナンスが必要なこと、外部の猫が入って来て粗相をした場合の掃除が面倒なことです。雑草に関しては、砂利を敷く前に防草シートを敷き詰めることでかなり軽減されます。
画像のように板塀を高くするとお風呂から眺められる坪庭も可能です。風流なひと時を楽しめる空間でくつろげます。
■庭リフォームでくつろぐ時間を手に入れる
庭リフォームの方法と施工例をご紹介しました。植物が育ち、居心地の良い庭は、素敵な時間を与えてくれると同時に、日々の生活の場として活かすポイントがたくさんあります。
また、住んでいる人の年齢や生活スタイルは変化するので、長い期間気持ちよく過ごせるように、レイアウトを変えたい時に変更可能なようにすることも大切です。
庭リフォームは、誰がどのように過ごすか、必要なスペースを確保できるかをシミュレーションし、住宅と同様にプランニングが必要です。まずは専門業者にご家族の意向を伝えて、じっくり考えながら素敵な庭リフォームを実現してくださいね。