剪定で花を楽しもう!
初夏に大きな花を咲かせるタイサンボク(泰山木)。
「よく育っているけど、剪定しなくて大丈夫かな」
「花をもっと楽しみたいけど、よい剪定方法はあるのかな」
など、タイサンボクの剪定方法がわからず悩んでいませんか。剪定によって花が付かなくなるかと思うと、なかなか自分で手入れはしにくいですよね。
そこで本記事では、タイサンボクの剪定方法が知りたい方に、以下をわかりやすく解説します。
・タイサンボクの基礎知識と特徴
・剪定時期と方法
・剪定のコツと注意点
・育て方と注意点
タイサンボクの剪定方法や育て方を知って、正しく剪定すると、特徴である花をより楽しむことができますよ。ぜひ最後までご覧ください。
目次
タイサンボク(泰山木)の基礎知識
タイサンボク(泰山木)の特徴
タイサンボク(泰山木)を剪定するメリット
タイサンボク(泰山木)を剪定する時期
タイサンボク(泰山木)の剪定方法
タイサンボク(泰山木)を剪定するときのコツ
タイサンボク(泰山木)を剪定するときの注意点
タイサンボク(泰山木)の種類
タイサンボク(泰山木)の育て方
タイサンボク(泰山木)を育てるときの注意点
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
タイサンボク(泰山木)の基礎知識
タイサンボクの原産国は北米で、大きなものは30mを超える大木へと成長します。よく公園や庭に植えられている樹木です。
タイサンボクの基礎知識として、以下に学名などをまとめました。興味がある方は参考にしてください。
学名:Magnolia grandiflora
科名:モクレン科
属名:モクレン属
和名:タイサンボク
英名:southern magnolia
常落性:常緑性の高木
樹高:15~20m
開花期:5~7月頃
日照:ひなたから半日陰
花色:白
剪定時期:3~4月、6~7月(目的による)
耐署性:あり
耐寒性:あり
植栽時期:3~4月
花言葉:「前途洋々」「威厳」
次章からは、タイサンボクの特徴について紹介します。
タイサンボク(泰山木)の特徴
タイサンボクの葉は長さが10cm~25cmと大きく、交互につき、裏には褐色の毛が生えています。タイサンボクの花も直径20cmぐらいまで大きく成長し、強い匂いを発します。同じモクレン科の中でも花が咲くのが遅いので、他の花と鑑賞時期をずらして、長く楽しみたいときに重宝する庭木と言えます。ただし花が咲くのは3日間ほど。果実が熟すのは10~11月頃です。
またタイサンボクはアレロパシー物質と言われる特殊な阻害物質を発していて、樹冠の下では他の植物が育ちにくい性質があります。
タイサンボク(泰山木)を剪定するメリット
木の高さを抑えられるのが、タイサンボクを剪定するメリットです。また枝を透かすと、風通しと日当たりがよくなり、害虫を寄せ付けなくできます。放っておくと20mを超すほどに成長したり、葉が必要以上に生い茂ったりしてしまいます。タイサンボクの健全な成長のためには、必要な手入れと言えるでしょう。
剪定によって樹高を抑えると、花を見やすくできる点もメリットです。花は上の枝につくので、20mにまで成長してしまうと、見にくくなってしまいます。大輪の花を楽しむためにも、適度な樹高に抑えましょう。
タイサンボク(泰山木)を剪定する時期
剪定の目的によって作業する時期は異なります。樹形を整えるなら3〜4月頃が適期です。開花に備えて木も力を蓄えているので、高さを抑えるような強めの剪定が可能です。ただし花芽を落とさないように注意しましょう。
花期が終わった6〜7月頃の剪定も可能ですが、高温には注意が必要です。水分が失われ、剪定のダメージと重なって、弱ってしまう場合があります。
弱めの剪定であれば、10~11月頃にも行えます。夏の剪定と異なり、暑さによる水分不足の心配がいりません。この時期に強く剪定すると、寒さと重なって木に負担がかかります。花の付きが悪くなるので、軽めの剪定に抑えておきましょう。
タイサンボクを含めた、樹木別剪定時期年間カレンダーを作成しました。興味がある方は、ぜひご覧ください。

タイサンボク(泰山木)の剪定方法
前提として、タイサンボクは剪定を好む樹木ではありません。庭の広さや、樹高が許すのであれば、そのままの状態が良く育ちます。樹高を抑えるため、もしくは花を楽しみたい場合は、先端の枝と伸びきった枝を切ります。その際は根元から切るようにしましょう。
剪定の切り方や切り口の正しい方法は、以下の記事でくわしく解説していますので、参考にしてください。

タイサンボク(泰山木)を剪定するときのコツ
剪定するときのコツは、花芽を残しながら枝を切り落とすことです。タイサンボクは花が特徴的な庭木。3~4月は花芽を見ながら剪定ができます。また、花の時期が終わった直後の6~7月であれば、花芽がまだ付いていません。そのため花芽を気にせずに剪定ができるでしょう。
花芽は比較的短い枝につきやすいです。勢いの強い枝は切って短い枝は残すと、花を付きやすくできます。
タイサンボク(泰山木)を剪定するときの注意点
時期と目的に合わせた剪定を行いましょう。秋に強い剪定をすると、翌年花が咲かない原因になります。強い剪定ができるのは、春先の木が力を蓄えている時期と、花期が終わった後です。
一般的な樹木の剪定時期は、落葉した冬が多いです。間違って冬に強めの剪定をしてしまい、「翌年に花が付かなかった」とならないようにしましょう。
■剪定方法をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

タイサンボク(泰山木)の種類
タイサンボクは園芸種が多く開発されていて、現在では30種類を超える品種があります。代表的な品種は、「ホソバタイサンボク」や「ヒメタイサンボク」です。
ホソバタイサンボクは、若木のうちから開花する特徴があります。早くから花を楽しみたい人向けの品種です。ヒメタイサンボクはタイサンボクと比べて、小さめなのが特徴です。しかし環境が整っていると、タイサンボクと同じように大きく成長することもあります。
樹高が気になるときは、「リトルジェム」がおすすめです。高さが5m前後と小振りな園芸種で、庭の大きさが気になる方でも育てられます。
タイサンボク(泰山木)の育て方
タイサンボクの育て方を、以下の3つに分けて解説します
・植え付け
・水やり
・肥料
上手に育てて、綺麗な花を楽しみましょう。
植え付け
植える時期は、寒さのやわらぐ4月頃が適期です。日光は必要ですが、西日を嫌います。順調に成長させるには、庭にある程度の広さがほしいです。十分な広さを確保して、西日の当たらないひなたを選んで植えると良いでしょう。


水やり
植え付け直後や、若木のうちは多めに水分を与えます。水やりのタイミングは、土が乾燥したときです。しっかりと根が付いたら、自然の雨水で十分に育つでしょう。
しかし、7~8月の高温期には注意が必要です。葉のしおれ具合など、様子を見ながらこまめに水やりを行いましょう。

肥料
植えた土地がやせている場合は、緩効性肥料で様子を見ながら肥料を与えます。大きくしすぎると手入れがしにくくなるので、肥料を大量に与えるのは避けます。ゆっくり成長させるのが、施肥のコツです。

タイサンボク(泰山木)を育てるときの注意点
タイサンボクを育てるときの注意点は、以下の3つが挙げられます。
・剪定後の傷口に注意する
・植え替えに注意する
・カミキリムシに注意する
寒さや暑さにある程度強いタイサンボクですが、より健全に育てるために注意点を把握しましょう。それぞれについて、くわしく解説します。
剪定後の傷口に注意する
剪定後の傷口は雑菌が入りやすい箇所です。普段であれば病気の発症を心配する必要はないですが、剪定後は注意しましょう。傷口から雑菌が侵入し、病気になる恐れがあります。剪定後は傷口を放置せず、殺菌剤を散布します。

植え替えに注意する
タイサンボクは、植え替えには不向きな庭木です。根が荒く細根も少ないため、移植してもうまく根付きません。もし植え替える場合は、移植予定時期の1年以上前から、根回しを行う必要があります。

害虫はカミキリムシに注意する
幹の周囲に木くずがあれば、カミキリムシが侵入している可能性があります。取りつかれると幹の中に侵入され、内部を食べられてしまいます。放っておくと枯れる原因になるので、駆除を検討しましょう。幹に不自然な穴があいていたら、殺虫剤を散布します。
■害虫対策をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

まとめ
タイサンボクは手入れが少なくても育つ庭木です。しかし樹高が大きくなりすぎると、花が見にくくなったり、手入れが行き届かなくなったりします。それらを解決するには、適度な剪定が必要です。
もし、タイサンボクのお手入れで困った場合は、ぜひ庭のプロ集団『庭.pro』へご相談ください。悩みの相談から手入れまで、庭のプロ集団が解決します。皆様の庭づくりのお手伝いができれば幸いです。
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎







