芯を止めて高さを調整しよう
青々と高くそびえ立ち、落ち着いた雰囲気がある竹。
「竹ってどうやって剪定するんだろう」
「そもそも剪定の必要があるのかな」
など、竹の剪定の知識がなくお困りではありませんか。放っておいても大きく育つので、そのままにしてしまいがちですよね。そこで本記事では、竹の剪定方法や注意点が知りたい方に、以下の内容を丁寧に解説します。
・竹の基本知識と特徴
・剪定時期と方法
・剪定時のコツと注意点
・竹の種類と育て方と注意点
この記事を読めば、剪定方法や育て方までわかるので、きれいで健康な竹を育てられますよ。各種の注意点も紹介するので、作業するときの参考にしてください。
目次
タケ(竹)の基礎知識
タケ(竹)の特徴
タケ(竹)を剪定する時期
タケ(竹)を剪定するメリット
タケ(竹)の剪定方法
タケ(竹)を剪定するときのコツ
タケ(竹)の剪定するときの注意点
タケ(竹)の種類
マダケ・モウソウチク・ハチク
黒竹
笹(ササ)
タケ(竹)の育て方
植え付け
水やり
肥料
タケ(竹)を育てるときの注意点
地下茎が伸びることに注意する
病害虫に注意する
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
タケ(竹)の基礎知識
竹は日本全国で見られ、強く折れにくい稈(カン)が成長します。カンとはイネ科の植物の茎を指す言葉です。あまりなじみがないので、本記事では幹と表記します。古来から親しまれ、独特のたたずまいから、日本庭園などでも見かけられる植物です。
学名:Bambuseae
科名:イネ科
和名:タケ
英語表現:Bamboo
常落性:落葉広葉樹
樹高:3〜20m
開花期:4~5月頃
日照:ひなた、半日陰
花色:クリーム色
耐寒性:あり
剪定時期:2~3月
花言葉:節度、節操のある
竹には普通の庭木と違った、さまざまな特徴があります。次章からくわしく紹介していきます。
タケ(竹)の特徴
竹は地下にある茎が伸びて繁殖し、生息範囲を広げます。花はめったに咲かず、開花の周期は50年以上です。開花すると子孫を残し、地下茎でつながっている竹同士は枯れます。
凄まじい成長力を見せるのも大きな特徴です。一日に1m以上伸びる場合もあります。そのため竹を放置すると、あっという間に空が見えないほどうっそうとしてしまうでしょう。
竹はさまざまな加工品としても利用されます。幹は強度と弾力性に優れるため、竹細工や建材、釣り竿などに使われます。そのなかでもお庭でよく見られるのが竹垣です。湾曲させても壊れずに耐えるので、さまざまな形状が見られます。
タケ(竹)を剪定する時期
竹はその成長度合と目的によって剪定の適期が異なりますが、前年から生えている竹の成長を抑える切り詰め剪定は2〜3月、その年に生えた竹の高さを抑える場合は5月~6月が適期です。
また切り取った枝や切り詰めた幹を利用したい場合は、10月頃が良いでしょう。昔から「竹を切るのは旧暦の8月(現在の10月)が良い」という意味のことわざもある通り、このころに切ったタケは水分量が少ない為、切った部分に虫が付きにくく、腐りにくいと言われています。
タケを含めた、樹木別剪定時期年間カレンダーを作成しました。興味がある方は、ぜひご覧ください。

タケ(竹)を剪定するメリット
竹を剪定するメリットは、以下の3つが挙げられます。
・樹高を調整し手入れをしやすくする
・観賞価値を高められる
・害虫予防の効果がある
剪定によって竹の高さを手の届く範囲にとどめると、自分で手入れができます。古くなった竹は枯葉が目立つようになるため、数年に一度、根元から切り落とし株を更新します。更新を図ると、常に健康できれいな竹の維持が可能です。青々しい葉は見ていて気持ちがよく、株の更新によって観賞価値を維持できるでしょう。
また、剪定で風通しと日当たりをよくすると、害虫予防の効果があります。竹はうっそうとしがちですが、適度に枝を間引いたり透かしたりして、害虫対策を行います。
タケ(竹)の剪定方法
竹の剪定は、混み合った不要な枝を枝同士が重なっている箇所の付け根から切り落とします。自然な樹形がきれいな竹ですが、幹は成長が早く、そのままにしておくとどんどん伸びてしまうので高さを抑えるために幹を切る芯止めを行います。
この際、節と節の間で切るとそこに雨水がたまって腐る原因になるため、節のすぐ上で切り落とします。このことから竹の場合はこの作業を「節止め」と呼びます。
タケ(竹)を剪定するときのコツ
竹の美しさは自然な枝ぶりです。剪定をしすぎて、景観を損ねないようにします。しかし、そのまま大きくしてしまうと枝や幹が混み合い、害虫を呼びよせてしまうことも。竹同士の間隔を調整するには、タケノコの時点で取り除いておきます。大きく成長する前に除去できれば、のちの手入れが楽になるでしょう。
タケ(竹)の剪定するときの注意点
竹は、切り落とした枝などの繊維が非常に硬いです。ハサミで切り落とした箇所は、切り残しがあると非常に鋭利になります。幹と枝葉はできる限り、切り落とした箇所と平らにしましょう。作業時は手を傷めないよう、手袋は皮手袋の着用をおすすめします。
■剪定方法をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。


タケ(竹)の種類
竹のなかでも、以下の種類を紹介します。
・マダケ・モウソウチク・ハチク
・黒竹
・笹(ササ)
どの種類も日本らしさを持っています。それぞれについて、くわしく紹介します。
マダケ・モウソウチク・ハチク
お寺や庭園で竹林として見かける竹です。直径が10cm前後あり、成長すると20mほどまで伸びる種類もあります。大きなタケノコが見られるのもこれらの竹です。
黒竹
直径は2~3cmで、高さは5m前後に成長する、小振りな竹です。2年ぐらいたつと幹が真っ黒な色になり、鑑賞用として人気があります。小さめですがタケノコも生えるため、食用として利用可能です。
笹(ササ)
竹と似ている樹種に「笹」があります。2つの違いは、「幹に成長時の皮が残るかどうか」です。竹は皮が残らないので、幹をはっきり見ることができます。笹は古くなった肌色の皮が残るのが特徴です。鑑賞用として、お庭に植えられることもあります。
タケ(竹)の育て方
竹の育て方を、「植え付け」「水やり」「肥料」にわけて解説します。放っておいても育つ竹ですが、成長が思わしくない場合は手入れを行います。
植え付け
竹は日当たりを好みますが、乾燥に弱く西日を嫌います。そのため植え付け箇所は、半日陰の場所が適地です。成長するとタケ同士は混み合うので、自然と半日陰の環境が作られます。
土づくりとして、植え付ける場所に堆肥を混ぜこみます。植え付け時の環境が適していれば、その後は自然と育つでしょう。
水やり
竹は基本的に水やりが不要で、自然の雨水で十分に成長できます。しかし、植え付け直後だけは、土が乾かないような水やりが必要です。また真夏に高温が続き、土が乾くと枯れる場合があります。7〜8月頃は土が乾かないよう、こまめな水やりを行いましょう。
肥料
タケノコの出る前の3月頃に、追肥として化成肥料をまきます。もともと土の状態が良くないなど、肥料の必要性があれば、最初の施肥から3カ月おきくらいに追肥すると良いでしょう。
タケ(竹)を育てるときの注意点
竹を育てるときは、以下の2つの点に注意します
・地下茎が伸びることに注意する
・病害虫に注意する
日本の風情があって美しい竹ですが、注意点を理解して育てましょう。それぞれについてくわしく紹介します。
地下茎が伸びることに注意する
土中の茎が伸びて、隣の敷地からタケノコが生える場合があります。トラブルの原因になるので、対処が必要です。
竹は地下茎と呼ばれる、地下にある茎が成長して生息範囲を広げます。竹を植えた場所にとどめるには、周囲に溝を掘る対策をとります。溝の深さは30cmほど。地下茎は日光を嫌うので、溝より先に広がるのを防げます。
病害虫に注意する
竹で注意したい病害虫は、「てんぐ巣病」と「アブラムシ」です。てんぐ巣病にかかると竹が弱り、病気が進むと枯れてしまいます。また、発症している場合は、竹そのものの伐採を検討します。発症している箇所だけ切り落としても、また病気になる可能性があるためです。
アブラムシにとり付かれると、ウイルス性の病気にかかってしまいます。高さが低い竹であれば、殺虫スプレーでも対処可能です。予防する場合は、発生前の2月頃から薬剤を散布しましょう。
高いところにいるアブラムシの確認方法は、アリの存在です。アリが竹を登っていくようだと、上にはアブラムシがいる可能性があります。体から出る甘い汁に、アリがよってくるためです。
竹が大きく成長すると、噴霧器がないと薬剤が上まで届きません。対策したい場合は業者の利用も検討しましょう。
■害虫対策をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

まとめ
竹は風流な雰囲気が出せる、特殊な植物です。上手に活用すると、日本庭園のように仕上がります。しかし竹は大きく成長するため、育てる際は樹高が大きくなりすぎないよう、手入れが必要です。また病害虫も心配なので、剪定によって予防対策をしましょう。適切な管理がトラブルを防ぎます。
もし竹のお手入れで困った場合は、庭のプロ集団『庭.pro』へご相談ください。相談から手入れの悩みまで、お庭のプロ集団が寄り添います。皆様のお庭づくりのお手伝いができれば幸いです。
2024年1月25日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎







