シイの木は年2回の剪定で整えましょう
食用のどんぐりが多く実るシイの木。神社などでは、巨木に成長した姿を目にすることもあります。
「うちのお庭にあるシイの木も、かなりの大きさに成長するのかな」
「どうやって剪定したらいいんだろう」
など、シイの木の手入れ方法がわからずお困りではありませんか。
大きく育っていくシイの木を見て、不安になる気持ちはわかります。
この記事ではシイの木について、以下の内容を紹介します。
・シイの基本情報と特長
・剪定時期と方法
・コツと注意点
・育て方
綺麗なシイの木はお庭のシンボルツリーです。この記事を読んで、シイの木に対する理解を深め、自分でお手入れする時の参考にしてください。
目次
シイ(椎)の木の基礎知識
シイ(椎)の木の特長
シイ(椎)の木の種類
スダジイ | マテバシイ | オキナワジイやツブラジイ
シイ(椎)の木を剪定する時期
シイ(椎)の木を剪定するメリット
シイ(椎)の木の剪定方法
4月の大透かし剪定 | 10月の小透かし剪定
シイ(椎)の木を剪定するコツ
シイ(椎)の木の育て方
シイ(椎)の木を育てる際の注意点
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
シイ(椎)の木の基礎知識
シイ(椎)の木は寿命が長く、神社や公園などによく植えられています。分布範囲の北限は、新潟県や福島県付近です。寒さに弱いため、北限に達していなくても、山間部などでは枯れることもあります。シイの木で有名な場所は、島根県の志多備神社です。シイの木の一種である「スダジイ」が見ることができ、樹齢は300年以上とされています。
学名:Castanopsis cuspidata
科名:ブナ科
属名:シイ属
和名:シイ
英名:Chinquapin
常落性:常緑広葉樹
樹高:15~30m
開花期:5~6月頃
日照:ひなた
花色:黄色
結実期:10~11月頃
耐暑性:強い
耐寒性:ややある
剪定時期:4月頃と10月頃の年2回
花言葉:永遠の愛、もてなし
シイ(椎)の木の特長
シイの木の特長は以下のとおりです。
・根を張るスペースがあると、20mを超える大きさに成長する
・葉の縁には鋸歯と呼ばれるギザギザがある
・雄花には特有の香りがある
・寒さに弱い
用途としては、シイの木は適度に堅く重量があるため、薪として使えます。また、シイタケのほだ木としての利用が可能です。ほだ木とは、キノコの種菌を付ける原木のことを言います。ほだ木を利用して栽培されたしいたけを原木しいたけと呼び、他の栽培方法よりも希少価値があります。
シイの木は成長が早く芽を出す力も強いため、大きくなっても移植ができる樹木です。海岸沿いにもよく植えられていて、海の風から家屋を守る防風林としても活用されています。
シイ(椎)の木の種類
シイの木の種類は以下のとおりです。
・スダジイ
・マテバシイ
・オキナワジイやツブラジイ
スダジイとマテバシイが、シイの木の主な種類です。その他の種類も含めて紹介します。
スダジイ
一般にシイと呼ばれる場合は、スダジイを指すことが多いです。主に山地に生える種類で、寒冷地には適していません。刈り込みに強く、生垣としても利用されています。
秋にはどんぐりが実ります。渋みの一種である「タンニン」が少なく、あく抜きせずとも食用として利用できます。
マテバシイ
マテバシイは「シイ属」ではなく「マテバシイ属」で、別属扱いとされています。主に暖かい沿岸部に生える種類です。
スダジイは雌花の穂が垂れ下がるのに対し、マテバシイは立ち上がるのが特長的。葉は密に茂り、大きく育つと遮音効果が得られます。沿岸部が適地ということと相まって、海辺の道路沿いなどに植えられることが多いのがマテバシイです。
オキナワジイやツブラジイ
その他のシイの木は、スダジイやマテバシイよりも生息している数が少ないです。オキナワジイは殻の先端がつながっているという特長があります。ツブラジイはコジイとも呼ばれ、岐阜県岐阜市の「市の木」に指定されています。
シイ(椎)の木を剪定する時期
シイの木を強く剪定するなら、暖かくなる4月頃が目安です。日当たりや風通しを改善する弱い剪定であれば、10月頃に行います。
シイ含めた、樹木別剪定時期年間カレンダーを作成しました。興味がある方は、ぜひご覧ください。

シイ(椎)の木を剪定するメリット
シイの木を剪定するメリットは、病害虫を予防できたり、高さをコントロールできたりすることです。シイの木は、葉の茂る力が強いです。放置しておくと葉が密接になり、風通しが悪くなったり、日光が当たりにくくなります。葉がうっそうとして木の周辺がじめじめすると、病害虫の原因になるので、剪定を行うのです。
また、シイの木は放っておくと20mを超す大木へと成長します。大きく育ち過ぎると、管理がしにくくなるので、剪定によって樹高をコントロールします。
シイ(椎)の木の剪定方法
シイの木は樹形を整える「大透かし剪定」と、夏の間に生い茂った枝葉を間引くことを目的とした「小透かし剪定」を行います。
なるべく簡単な言葉で解説していますが、わからない用語があればこちらからご確認ください。

枝の切り方・切る場所・切り口については以下でくわしく解説しています。ぜひ参考にしてください。

4月の大透かし剪定
大透かし剪定は、4月の新芽がでる前に行います。木にとって負担の強い剪定ですが、活動をはじめる前の4月頃の作業であれば、枯れることは少ないでしょう。大透かし剪定によって、不要な枝を取り除き、おおまかな樹形を整えます。
不要な枝の一覧は、こちらにくわしく図解してあります。

10月の小透かし剪定
寒くなり始める10月頃が、小透かし剪定をする時期です。夏の間に成長した枝を、透かすように間引きます。徒長枝などの不要な枝が多く出てくるため、丁寧に切り落とすとよいでしょう。
シイ(椎)の木を剪定するコツ
シイの木の剪定は2回に分けるのがコツです。春先の強い剪定で樹形を整え、弱い剪定を秋口に行います。樹形をコントロールしながら、葉の混み具合も調節し、病害虫に強い樹木へと育てましょう。
シイの木は強い樹木なため、弱い剪定であれば通年行えます。しかし、シイの木が活動している期間の剪定は、一時的に樹木を弱めます。そのため、木が活動をはじめる前の4月頃や、10月頃の寒くなって活動がにぶる時期に剪定を行うのです。
シイ(椎)の木の育て方
シイの木は寒さに弱いため、東北より北の地域では育てにくい樹木です。土質は選びませんが、乾燥を避けて植えるようにします。
種から増やすためには、どんぐりを使用します。水につけると、虫に食われているどんぐりは浮いてくるので、健康などんぐりを見分けられるでしょう。どんぐりも乾燥を嫌うので、拾ったらすぐにまくようにします。
芽が出るまでは乾燥させないように水やりを行い、発芽しても同様に乾燥させないようにします。植え付け時期は9~10月の秋ごろです。肥料を与えなくても育ちますが、もし大きくしたい場合は化成肥料や油粕を与えるとよいでしょう。
溝を掘って肥料を与えますが、根やけの可能性があるので根っこをさけるようにして与えます。根やけとは、根っこに直接肥料が当たってしまい、根が痛むことです。枝の先端の真下には根っこが張っています。施肥をする際は、枝の先端の真下より外側に溝を掘るとよいでしょう。
シイ(椎)の木を育てる際の注意点
シイの木は花の匂いが強いため、隣家への距離などに注意が必要です。花が咲く6月頃に、特有の匂いがします。匂いが強い理由はよってきた虫を利用して、受粉を行うためです。匂いが強烈なため、不快に感じる人もいるかもしれません。庭木の場合は、植える場所に注意する必要があります。
病害虫はうどんこ病やアブラムシ・カイガラムシに注意が必要です。どちらも剪定によってある程度予防はできます。しかし、一旦病気にかかったり、害虫に付かれたりしたときは、薬剤の使用を検討しましょう。
虫や病気の箇所を特定するのは、非常に大変な作業です。樹木にまんべんなく薬剤をかけると、木全体の病害虫に対処できます。もし、自分で薬剤を散布できない場合は、業者の利用も検討しましょう。
■害虫対策をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

まとめ
シイの木の葉の茂る力は強く、樹高も大きく成長します。剪定しすぎると弱ってしまい、弱すぎる剪定は木を大きく成長させることに。大きく育つと管理がしにくくなるため、適切な剪定を行いたい庭木と言えるでしょう。
シイの木の管理に不安を感じたら、庭のプロ集団『庭.pro』にぜひご相談ください。剪定から病害虫の駆除まで、お庭の手入れのことなら庭.Proが対応できます。綺麗な庭づくりのお手伝いができれば幸いです。
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎







