【カナメモチ】剪定の基本を庭師が伝授

真っ赤な生垣が人気の定番庭木!

真っ赤な新芽が美しいカナメモチ。比較的大きい葉ながらよく密生し、赤い新芽を一面につける姿が見事なため、生垣や仕立て庭木としてよく利用されます。生育が良く育てやすいのが良いところでもありますが、樹勢が良いだけに樹形も乱れやすく、刈り込みと剪定は必須です。しかし剪定に強いので、そんなに難しくはありません。
この記事では、「カナメモチの基本の刈り込み・剪定方法」や、「剪定のコツ」を解説します。

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目次

カナメモチの基本情報
カナメモチの特徴
カナメモチの主な品種
ベニカナメモチ(Photinia glabra f. benikaname)
レッドロビン(Photinia × fraseri ‘Red Robin’)
そのほか
ナメモチを剪定する時期
カナメモチを剪定するメリット
カナメモチの剪定方法
剪定のコツ
刈り込みのコツ
カナメモチの育て方
まとめ
自分での剪定は事故に注意!

カナメモチの基本情報

分類:バラ科カナメモチ属
学名:Photinia glabra
英名:Japanese photinia
和名:要黐(かなめもち)
別名:アカメモチ、カナメガシ、アカメノキ、ソバノキなど
原産地:東海地方以西の本州、四国、熊本県など
樹高:3〜5m
常落区分:常緑中高木
日照:日向
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
開花期:5〜6月
花色:白色
果実色:赤色
植え付け時期:春、秋
花言葉:にぎやか

カナメモチの特徴

カナメモチは春に鮮やかな赤色の新芽がつくのが特徴の常緑樹で、生垣に人気の庭木です。大きめの葉が密に茂るので、生垣にするとしっかりとした目隠しになってくれます。仕立て庭木やシンボルツリーなどに使われることもあります。剪定に強いため、低めにも薄めにも調節しやすい点も人気です。関東以南では、公園や街路樹などにも広く利用されています。

4〜5月頃に出る新芽は、柔らかいうちは赤く、徐々に開いて固まっていくと緑色に変化していきます。その後5〜6月に白い小さな花が集まった花序をつけ、11〜12月に赤くて硬い実をつけます。剪定をしてしまうことが多いため、庭木では花や実をつける様子を見る機会は多くありませんが、5月頃の赤い新芽に白い花を咲かせる姿も見ものです。

カナメモチの主な品種

ベニカナメモチ(Photinia glabra f. benikaname)

カナメモチの変種で、新芽の赤色がより濃い品種です。カナメモチよりやや葉が小さく、樹形も小ぶりです。新芽の後も赤く残る葉があって見応えがあるため、庭木に人気です。カナメモチ全体をベニカナメモチ、ベニカナメなどと呼ぶことがあり、見分けも難しいためよく混同されます。ただカナメモチよりも開花時期がやや早く、4〜5月頃に花をつけます。

レッドロビン(Photinia × fraseri ‘Red Robin’)

カナメモチよりも葉の大きいオオカナメモチと、カナメモチを交配させた人気の園芸品種です。セイヨウカナメモチとも呼ばれます。新芽はカナメモチやベニカナメモチよりも濃い赤色で、葉もやや大きいのが特徴的です。樹勢も枝の伸びも良いので剪定にも強く、近年はレッドロビンがよく見られます。

そのほか

カナメモチよりも葉が大きいオオカナメモチは、西日本の一部や沖縄、台湾などに自生する品種です。古い葉も紅葉し、花には強い芳香があります。あまり庭木として使われることはありません。ほかには園芸種の「五色の彩」や「ピンククリスピー」など、斑入り葉で新芽がピンク色になる品種も出回っています。斑入り葉は明るく柔らかい印象で、現代の庭にも使いやすい品種です。

カナメモチを剪定する時期

カナメモチは寒い時期に剪定すると枯れ込む可能性があるので、暖かくなった5〜10月の間に剪定を行います。真夏を避ければどこでも剪定はできますが、生垣や仕立てものなど綺麗に整えたい場合は、3〜4月、5〜6月、9月頃の3回が適期です。

3〜4月は新芽が伸び始める時期で、この時期に刈り込むと切り口からよりたくさんの脇芽が伸びます。そうすると赤い葉がたくさん茂り、春は見事な真っ赤な生垣を長く楽しむことができます。ただしこの時期に剪定しなくても基本的には新芽が伸びるので、剪定しなくてもかまいません。

次に、新芽が固まって赤い葉が緑色に変化し始めた5〜6月頃に行います。この時期は強剪定もできる時期です。伸びすぎた枝をしっかりめに剪定します。この時期に刈り込みだけで済ませてしまうと、樹形が崩れやすくなったり、内部が混み合いすぎてしまいます。できる限り、枝を間引く透かし剪定も行いましょう。

最後に、9月頃に軽く剪定します。秋にあまり深く剪定すると寒さで枯れ込む可能性があるので、伸びすぎた枝をカットして形を整える程度にします。この時期に剪定・刈り込みしておけば、新芽が少し伸びて赤くなった状態で翌春まで保つことができます。見た目だけでなく、寒くなる前に新芽も固まり、寒さに耐えやすくなります。しかし花を楽しみたい場合、夏にできた花芽を切ってしまうので、花芽を避けるか、この時期にあまり切らないようにしましょう。

剪定の適期

・年2回行う場合:新芽が固まった5〜6月・9月頃
・年3回行う場合:3〜4月頃・5〜6月・9月頃

カナメモチを含めた、樹木別剪定時期年間カレンダーを作成しました。興味がある方は、ぜひご覧ください。

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カナメモチを剪定するメリット

カナメモチは樹勢が良いために生垣や仕立て庭木に向く樹木ですが、枝がよく伸びる分、樹形が崩れるのも早いです。隣家や道路にはみ出てしまうことも少なくありません。1年に2〜3回刈り込みや剪定を行いながら綺麗な状態を楽しむのが基本です。

また、植栽から3年ほど経つと、枝分かれが増え、内部に枯れ枝が目立ち始めます。放置すると見た目が悪いだけでなく、新しい枝葉も出にくくなり、内部や下部がスカスカになってしまいます。そして枯れた枝葉は病害虫の原因にもなります。これらを防ぐためにも、枝を整理する透かし剪定は大切です。元気な株を維持するためにも、刈り込みだけでなく透かし剪定も年1回は行いましょう。

透かし剪定と刈り込みを行うメリット

・大きさをキープする
・内部がスカスカになるのを防ぐ
・樹勢が良くなる
・病害虫を防ぐ

以上のことが、カナメモチを剪定するメリットとしてあげられます。

カナメモチの剪定方法

カナメモチはどこで切ってもよく枝が伸びてきます。枝の途中で切る胴切りをしてもそこから枝が伸びるので、切り戻しなどがしやすい樹種です。しかし勢いが強く、胴切りした箇所から5本くらい放射線状に枝が出ます。良くない場所で切ると、すぐに大きく樹形が崩れてしまうので注意が必要です。枝がよく伸びることを想定して、樹形ラインよりも奥の分岐点で切り取るのが基本です。

剪定のコツ

カナメモチは強い枝が伸びがちなので、刈り込みの前に枝の整理を行います。太くて勢いよく伸びた徒長枝は根本から切り取ります。他の枝よりも極端に太い枝は養分を集中させてしまうので、できるだけ同じような太さの枝になるように調整します。また、混み合った枝や、内側に向かって伸びている枝も切って整理します。中に風が良く通るようなイメージで枝を透かしていきましょう。

また、切った口から枝が伸びることを想像しながら切るようにします。枝の途中で切った場合、切り口から何本も枝が伸びます。枝数を増やしたい場所は枝の途中で切るようにしますが、そうでない場合枝を1〜2本残します。そうすると残した枝が伸び、変な方向に新枝が伸びるのを抑えることができます。できるだけ外側に向いていて、伸びたら樹形が良くなるような枝を残しながら剪定しましょう。残した枝は枝先を切っておくと、そこから分岐して枝葉が伸びます。

刈り込みのコツ

生垣や仕立て庭木の場合は、表面を刈り込みます。刈り込みを行うことでより枝葉が分かれて、密に充実します。生垣は、まずは天頂部から始めて、上から下に向かって刈り込みます。日光の当たる上部を強く刈り込んで薄めに、下部は刈り込みすぎずに厚めに仕上げます。そうすることで、成長の早い上部がよく伸びて、頃合いの良い時に同じような厚みになります。上部を薄くすることで、日光の当たりにくい下部や内部にも日光が当たりやすくもなります。

カナメモチはどんどん上に成長していくので、刈り込みのラインを甘くしているとどんどん高くなりがちです。さらに、それにつれて下部がスカスカになってきます。目的の高さに到達したら、高さをキープするようにこまめに刈り込みましょう。

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ご注意ください!
自分で剪定する際に、
事故が発生しています。
設備不良による転倒や、害虫との接触など、剪定中の事故が発生しています。十分注意の上、怪我のないように、作業を行いましょう。 設備不良による転倒や、害虫との接触など、剪定中の事故が発生しています。十分注意の上、怪我のないように、作業を行いましょう。
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カナメモチの育て方

日当たりと置き場所

日当たりの良い場所を好みます。半日陰でも育ちますが、日照が足りないと新芽の赤色が鈍ることがあります。水はけのよい場所を好みます。中でもレッドロビンは移植が苦手で、植え替えは難しい品種です。植える場所はよく検討しましょう。

用土と肥料

水はけが良く、肥沃な土を好みます。地植えでは、鶏糞や腐葉土などの有機肥料を漉き込んで植えます。2月頃に寒肥として、同じく有機質肥料を株の周りに埋めます。

病害虫や注意点

褐斑病やごま色斑点病などにかかりやすいです。褐斑病は梅雨頃に褐色の斑点が出てくる病気です。ごま色斑点病は春の新芽に赤い斑点が現れ、ごま粒大の灰色に変化していきます。どちらも罹患した葉っぱが翌春に一斉に落葉してしまいます。早期に発見して罹患した葉を処分し、薬剤を散布しましょう。

害虫では、ルリカミキリの害に遭うことがあります。5〜6月に成虫が樹皮の内側に卵を生みつけ、幼虫が内側から幹を食害します。幹に穴が空いていて、木くずが出ていたらカミキリムシを疑いましょう。穴の中に殺虫剤を差し込んで駆除します。

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まとめ

関東以南では見かけることの多いカナメモチの生垣。真っ赤な新芽の生垣は、お庭を明るくしてくれます。ただ、赤い新芽も美しいですが、白い花とその後にできる真っ赤な実もかわいらしい姿をしています。庭木は刈り込みをすることが多いので花や実を見るのは稀ですが、たまには少し花芽を残して、花と実を鑑賞してみるのも楽しいかもしれません。ぜひ挑戦してみてくださいね。

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2024年1月25日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎

ご注意ください!
自分で剪定する際に、
事故が発生しています。

想定外の設備不良や害虫との遭遇など、剪定中の様々な事故が発生しています。

  • 脚立から転落、
    頭をぶつけた 脚立から転落、頭をぶつけた

    庭で植木の剪定の作業をするため脚立で作業中、自分の足元の確認が不十分であったため脚立から転落し下にあった石に頭をぶつけた。
  • 蜂に刺され
    動けなくなった 蜂に刺され、動けなくなった

    樹木の剪定作業中、蜂の巣に気付かず蜂に刺され、まもなく動けなくなった。
  • トリマーの刃で
    右手小指裂傷 トリマーの刃で右手小指裂傷

    トリマーを使い刈り込み作業中、トリマーのエンジンを止めずに置き、刈って落ちた葉を整理していたため、トリマーの刃と右手小指が当たってしまい裂傷した。

引用:厚生労働省職場の安全サイト 労働災害事例(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pgm/SHISYO_FND.html)平成29年5月,7月

危険に遭遇した際には、思ったように体が動かないものです。
樹木の状態や周囲の状況に合わせた道具や準備で十分注意の上、怪我のないように作業を行いましょう。

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