庭木で人気の「シラカシ」!
剪定や成長に合わせたお手入れを解説!
庭木で人気のシラカシ、1年中緑の映えるカシ(樫)の木の一種で、公園や街中でも見かけることも多く、私たちにとっても身近な樹木ですよね。
その黒みがかった幹の色から、別名「クロカシ」とも呼ばれています。
今回はそんなシラカシを自分で剪定する方法をお教えします。
シラカシは剪定を上手に行わないと樹木全体の外観を損なってしまうばかりか、樹木の健康状態にまで影響が出ることもあります。
剪定方法についてはもちろん、シラカシの上手な育て方や生育のコツまでシラカシの魅力とあわせて詳しく説明しますので、正しい剪定の方法を知って、庭に立派なシラカシの木を作り上げましょう。
目次
シラカシの特徴
シラカシを剪定する目的
シラカシの剪定時期
シラカシを剪定するメリット
シラカシの剪定方法
シラカシ剪定のポイント
シラカシが枯れる原因
シラカシのかかりやすい病気・害虫
シラカシの上手な育て方
シラカシ剪定をプロに任せる人が多いのはなぜ?
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
シラカシの特徴
シラカシの基本データ
科名:ブナ科
属名:コナラ属
分類:常緑広葉/高木
学名:Quercus myrsinaefolia
別名:クロガシ/ホソバガシ/カシ/ナラバガシ
成長:早い
移植:簡単(大木はやや困難)
樹高:4m~20m
用途:垣根/街路樹/公園樹
花言葉:「勇気」「力」「長寿」
シラカシは、ブナ科コナラ属の常緑高木、いわゆるカシ類の一種です。
福島県及び新潟県以西の本州や四国・九州に分布しており、関東地方や中部地方では低山や平野部に多く、西日本では川沿いに多く見られます。
材木にしたときに白いのでシラカシと呼ばれます。
ちょっとややこしい話なのですが、樹皮は黒いのでクロカシとも呼ばれています。
カシ類の特徴でもありますが、堅くて弾力のある材質のため木工細工に利用されるほか、防風として生垣などにも古くから用いられてきた常緑の高木です。
細身の緑の葉が綺麗で、とてもポピュラーな常緑樹で、 落葉樹のケヤキとともに親しまれている樹木です。
寒さにもある程度耐え、東北地方などでも自生します。
自然の中では、成長すれば高さ20メートルに達することもある樹です。
「庭木がそんなに大きくなったら困る!」と思うかもしれませんが、一般的な家の庭ではそこまで根を成長させられないため、何十メートルにも成長することはありません。
また、複数の苗を間隔を詰めて植え付けしたり、株立ちを作ったりすることで、さらに家庭向きなサイズに樹高を抑えることができます。
シラカシといえば「どんぐり」!
シラカシの最大の特徴は、やはり「どんぐり」が生ることでしょうか。青いどんぐりは夏の終わりに生り始め、10月頃に熟した実を落とします。シラカシのどんぐりは、殻斗と呼ばれる帽子の部分が広く、帽子に横縞模様があるのが特徴です。10月には結実し、直播きが可能です。
シラカシを剪定する目的
シラカシはとても成長が早い植物ですので、剪定をして伸びてしまった枝を切らないと、あっという間に大きくなりすぎてしまいます。
その結果、木が家を隠してしまい室内の日当たりが悪くなったり、隣の敷地まで伸びてご近所迷惑になる可能性があります。
シラカシの剪定時期
シラカシは成長力が強い樹木のため、本来はあまり剪定には向いていない真夏や冬に剪定しても比較的影響が少ないとされています。
それでも、シラカシを健康に大きく育てたいのであれば、剪定に適した時期を守った方が良いでしょう。
シカラシの剪定は、こまめに剪定をするのが基本ですが、大掛かりなシラカシの剪定は1年に1~2回。
初夏、秋ごろにおこないましょう。
それぞれ時期によって剪定のテーマが変わるため、簡単に説明します。
5月~7月
5月~7月の時期には、強剪定で比較的大がかりな剪定をして、木全体の骨組みを整えます。
太い枝・細い枝問わず、大がかりに自由に剪定し、木全体の骨組みを整えていきましょう。
この時期に強剪定をするのは、「強剪定は樹木へのダメージが大きいため、回復の早い暖かい時期におこなう」という理由があります。
なので、まだ木が整っていない若木のうちは強剪定はあまりしない方がよいでしょう。
10月~11月
寒い時期(10月~11月)は枝の混み合ったとこを整える程度にします。
剪定は少なからず木にダメージをあたえてしまいますので、木が回復しづらい真冬や真夏の時期は避けましょう。この時期の剪定では太い枝は基本落とさず、枝先や弱った枝、枝が混雑してしまった部分を整理していきましょう。これから寒くなっていく時期、このタイミングで強剪定をしてしまうと、樹勢を弱めてしまうおそれがあります。深くは切らず、形を整える程度にしておくと効果的です。
樹木の形は大きく変えず、余分な枝や枯れた枝を排除していく剪定といえますね。真冬や真夏のような極端な時期でなければどの時期にしても大丈夫です。こまめにシラカシの状態を確認しながら、必要に応じて弱剪定をしていきましょう。年一回の剪定にする場合は、新芽が固まる6月半ばに行います。
また、シラカシは生命力が強いので、気になった都度軽くお手入れをすることも可能です。
シラカシを含めた、樹木別剪定時期年間カレンダーを作成しました。興味がある方は、ぜひご覧ください。
シラカシを剪定するメリット
シラカシはカシ類の中でも、剪定を行うことにより庭木でも育てやすいコンパクトな樹形を保つことができます。刈込にも強いので、植栽のスペースにあわせて強い剪定を行っても問題ありません。
また、剪定によって木の密度を調整することで、風通しを良くし、病気の繁殖を防ぐこともできます。
シラカシの剪定方法
シラカシの剪定ではまず、木を広く見るところからはじめましょう。
その中で、弱っている枝や無駄にのびてしまっている枝、枯れた枝、のびる方向がおかしい枝を見つけ、根元から切り落としていきます。
伸びきってしまっている枝や枯れているところ、ほかの枝たちと比べておかしな方向に生えているものを切っていきます。
次に透かし剪定とよばれる枝が混み合っているところを透かすように切っていく剪定で、全体をバランスよく整えていきます。
シラカシは上へ上へと成長するので、あまり樹を高くしたくない場合は、主幹の先を切って成長を抑えます。
生垣は、芽がよく出るよう強めに剪定しましょう。
伸びすぎた枝や、樹の形を損なう伸び方をしている枝、枯れている枝などは、枝の付け根から切り落としてください。
シラカシ萌芽力が強いので、剪定を間違えても弱って枯れたりすることは稀です。
樹の形や高さにこだわりがない場合は、凝ったお手入れはせず、自然に成長するままに楽しみましょう。
剪定方法をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。
シラカシ剪定のポイント
シラカシの葉の剪定は、内芽の先で切り詰めると立ち枝が発生しやすく樹冠内部が混むので、外芽の先で不要な枝を落とします。
丁寧に剪定する場合は、一枝に葉を三枚ほど残して枝先を切り詰める「三っ葉透かし」を行うと美しい仕上がりになります。
枝ごとの剪定もおこないましょう。
シラカシは枝から、また新たな枝がはえてきます。
1本の枝からたくさん分岐しているものは枝が密集しているところから切り、大体3本くらい残します。
切り戻しと呼ばれる、伸びすぎた古い枝を途中で切り、残したところから新しく強い枝を出すといった剪定もおこなうとよいでしょう。
切り戻しをおこなうことによって、古くて不要な枝を減らし、新芽に養分をまわすことができます。
骨格となる枝や、弱った枝に対して使うことの多い方法ですが、少々難易度が高いという特徴があります。
上記のような作業を繰り返して、木全体を透くようにしていきます。
樹形をこまめに確認しながら、剪定を続けていきましょう。
この際、樹勢の強い木上部をより重点的に剪定するとより効果的です。
シラカシが枯れる原因
シラカシは、寒さや日陰にも強く、土壌も選ばない強い樹です。
そんなシラカシが枯れる時は、次のような原因が考えられます。
・病気や害虫の被害にあっている。
・植え付けの時期が悪い。
・土の排水性が悪い。
しかし、シラカシが枯れる原因を特定するのが難しい場合が多く、また原因が複数ある場合も少なくありません。
対処法としては、悪い葉ができた時にシラカシは自分で葉を落とします。
枯れた葉が幹に付いたままの場合は、幹自体の状態が悪くなっていると考えたほうが良いです。
そのため、株立ちのシラカシの場合、一部の幹の葉だけ枯れるという状態であれば、枯れている幹を切り落としましょう。
しかし、葉が枯れる状態が、幹の一部ではなく樹全体に渡っている場合は、残念ながら植え替えがもっとも有効な対処法といえます。
シラカシのかかりやすい病気・害虫
テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)やイラガによる被害がありますが、シラカシはもともと病気や害虫に強い樹木です。
しかし、葉や枝がすすけたように黒くなってしまった時は、「すす病」の可能性が高いです。
すす病とは、害虫の排泄物が原因で、すす病菌というカビの一種が増殖してしまう病気で、シラカシに限らず、さまざまな植物に発症する可能性があります。
すす病にかかった葉や枝を見つけたら、黒くなっている部分は全て切り落としましょう。
黒い部分を取り除いたら、すす病菌を殺菌するために殺菌剤を散布しましょう。
また、すす病を予防するには、すす病になってしまう前に、きちんと予防をすることも重要です。
すす病の原因は害虫が発生することなので、こまめに殺虫剤を散布して、害虫が発生しないように予防しましょう。
害虫対策をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。
シラカシの上手な育て方
シラカシは基本的には病害虫に強い樹木です。
また、稚樹の段階では日陰を好み、相当の日陰にも耐えますが成長すると日向を好みます。
成長が早く、放置すると枝葉が繁茂し、長楕円形の樹形になる。刈り込みに強く、比較的自由に高さを調整できるのが生垣に向いているところです。
ただ、放置していると上部ばかりが成長して下枝がなくなりますので、見た目の美しさを保つためにはこまめに手入れする必要があります。
根元から伐採しても再生するほど芽を出す力は強いため、真冬や真夏でない限りは剪定で失敗する可能性は低いです。ただし、剪定を繰り返すと花やドングリが付かなくなります。
シラカシは常緑樹なので、植え付けに適しているのは5月~6月(梅雨前)です。
細い根が少ないので移植が困難な樹木と言われますが、強健な性質なので一度根付いてしまえば潮風の当たるような場所でも生育します。
植え付ける時は、樹木がよく根を張れるよう大きめに穴を掘り、地中の石等は取り出しておきましょう。
掘り上げた土に対し、2~3割程度のバーク堆肥や腐葉土を鋤き込んで植え付けると通気性が良くなり、根付きが良くなります。
日当たり、水はけの良い場所が植え付けに適しています。
生長も萌芽力も旺盛なので、半木陰になるような場所に植え付けるほうが管理しやすい樹木です。
肥料・水やり
おすすめの肥料は、効果がゆっくり出るタイプの肥料です。
2月に油粕を、9月に化成肥料などを与えると良いでしょう。
肥料の与えるときは、シラカシの周りに10センチ程度の穴を掘って埋めるのが効果的です。
穴を掘るときは、根を傷つけてしまわないよう十分に注意してください。
ただ、枝葉が良く成長しているようであれば、特に肥料を与える必要はありません。
シラカシに水やりの必要はなく、自然に降る雨だけで成長してくれます。
よほど土がカラカラに乾いている場合以外は、積極的な水やりは避けましょう。
シラカシ剪定をプロに任せる人が多いのはなぜ?
シラカシは成長が早く、放置してしまうと大規模な剪定が必要になります。
そうなると、樹形を整えるのが難しくなってしまいますし、剪定の際に発生する大量のごみ処理も大変になります。
また、大がかりな剪定は木にストレスをあたえてしまうため、剪定になれていない人がおこなうと、比較的強いシラカシでも、成長に悪い影響を与えてしまうおそれがあります。
もし、ご自身での作業に不安のある方は、『プロの剪定業者』に任せてみてはいかがでしょうか。
安全に質のいい作業を求めるのであれば、やはりプロの技術は必須です。
庭木の剪定のプロは、作業前に現地調査を行い、木の状態や大きさなど、作業に必要な情報を仕入れます。
その際にお客様の要望を聞いて作業の内容をつめていきます。
作業内容が決定したら、いよいよ剪定に入ります。
高いところの剪定も脚立をつかってスイスイとこなしますので、作業の際に周りへも気配り、ご近所への配慮も忘れないのがプロの仕事です。
また、シラカシの剪定は大量の枝と葉が発生しますが、ゴミの処理も剪定業者が請け負ってくれます。
見積り時に確認するとよいでしょう。
剪定のあとのアフターケアやメンテナンスについても相談できるのがプロに任せる良い点だと言えます。
まとめ
シラカシの剪定は年2回行うのが基本です。
それぞれ目的が異なるため、注意して取り掛かりましょう。
シラカシは土質をとくに選ばず、乾燥にも強く、日当たりのよい場所を好む一方、日陰でも育てることができるため、庭木としても育てやすい樹木ですが、定期的に剪定を行わないと、生長も早いため、あっという間に庭におさまりきらないほど高く大きく育ってしまいます。
樹高が高くなってしまった場合には、樹形を乱す原因となる太く長い枝を枝元から切る作業が必要となります。
しかしこの剪定は、少々難易度が高いものです。高さによっては脚立を使用する必要もあり、また太い枝を切るのは力のいる作業になります。
慣れていない方が行うと時間もかかり、また転落によるケガなど危険を伴う作業でもあります。
もしご自身での剪定に取り組むことが不安に感じる場合や、時間がかかったり面倒だと感じてしまったりする場合は、『プロの剪定業者』に依頼するのも上手にシラカシを育てるコツです。
秋ごろの混みあった枝を整える程度の比較的簡単な剪定作業は自分で行い、初夏の樹形を整えるための大がかりな作業の剪定はプロの剪定業者に任せることで、ケガなどのリスクを回避することができます。
剪定作業をプロの業者にお任せしたい場合は、庭のプロ集団『庭.pro』までご相談ください。
綺麗な庭で皆様の暮らしが豊かになれば幸いです。
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎