お庭は、元気な庭木が青々と茂ったり、赤く紅葉したりしてはじめて、日本の四季を感じる素敵な空間になります。しかしながら、日本の土壌は酸度が強い土壌の場所が多く、そのままの土では庭木が元気良く育つというのには適していない場合があります。そんな土壌は、庭木が喜ぶ土壌に改良してみましょう。このページでは、庭木には向かない土、庭木が良く育つ土壌構造、庭木を植えるための土づくり、酸度の調べ方についてプロの庭師が解説いたします。
目次
こんな庭では庭木が育たない!
お庭の土をひと握り手にとって軽く握ってみましょう。ぱらぱらと落ちるようであれば、その土は粒が細かすぎて庭木が順調に育たないかも知れません。このような土の状態のことを”単粒構造”とか、”単粒組織”と呼ばれていますが、このような土は、土粒が細かすぎるために、根に必要な酸素を含みにくくなっているのです。
また、雨が降るといつまでもじめじめと湿気ていたり、雨の後に乾燥して、水分がなくると硬くなりやすいという性質も持ち合わせています。当然、このような土では、養分や水分の吸収が妨げられますから、美しい庭木は育ちにくいことになります。また、同じ単粒構造の土でも、土の粒子が粗すぎる、砂のような土でも、同じように、庭木は育ちにくいということになります。このような土は、酸素は含みやすいですが、水分が保てず、すぐに水が抜けてしまいますし、その際に栄養素である肥料も、水と一緒に流れ出してしまいます。このため、いつも乾燥していて、庭木がいきいきとした緑を見せることがないお庭になってしまうのです。
庭木がよく育つのは”団粒構造”の土!
画像出典:信州大学 治山学研究室ホームページ
庭木が良く育つ庭土には、次ぎのような条件が必要です。
①適度な酸素と水分を含んでいること
②水はけがよいこと
③庭木に適した肥料を含んでいること
④強酸性、強アルカリ性でないこと
庭木が育ちにくい土ならば、庭木が喜ぶ土に土壌を改良しましょう。
水はけが悪いお庭には、排水溝や盛り土をしたら、ある程度は改善できます。庭土が強酸性の場合なら、石灰や苦土(酸化マグネシウム)をすき込んでやれば、中性に近い土に改良できます。
そして大切なことは、庭土の構造です。庭木は土壌酸素が20%程度含まれるのが理想的と言われていますが、土が酸素を含んだ状態にできるのは、土粒と土粒が適度な隙間を有している”団粒構造”になっていることです。
”団粒構造”になっている土は、雨が降った際には、古い酸素を下層に押し出し、新しい水分が根から吸収された空間に、新しい酸素が入ってくるという、新陳代謝が繰り返される構造になっています。
肥料の効果も同様で、水に溶けた肥料が根から水分とともに吸収され、水分があった空間に、新たな肥料や酸素が入ってくるというサイクルになり、肥料についても、団粒構造の土の方が効果が高いということになります。
庭木のための”土づくり”の方法は?
庭木は種類により、好まれる土の性質は多少異なりますが、空気の流れが良く、庭木に必要な肥料分がちゃんと含まれていることは、全ての庭木にとって必要不可欠な要素です。
庭木が大きく育たない。いつも元気がない。そんな場合は、日当たり、水遣り、庭土の3要素が整っているか確認をしましょう。そして、庭土がトラブルの原因であるようなら、土壌改良を施してみましょう。それが”土づくり”や”地ごしらえ”と呼ばれるもので、次のような手順で行います。
①石や雑草を取り除く
庭木や野菜などを植える場所に、石ころなどがあっては、生育を妨げます。また、雑草類や宿根層などの根がはびこっている場合もあるので、これらは全てをキレイに取り除いてしまいましょう。
②50cm以上掘り起こす
庭木は土が柔らかいほど、根がよく張っていきます。また土は、冬の寒風にさらす方が、土質改善されるので、盛り上げたりして面積を広げておきましょう。
③堆肥や腐葉土をすき込む
堆肥や腐葉土を掘り起こした深さまですき込みましょう。その際に、石灰か苦土石灰を一緒にすき込んでおきましょう。
庭土の酸度の調べ方
年間雨量が比較的多い日本は、酸性が強い土壌の土地が多くなっています。酸性土壌では、庭木はあまり影響を受けませんが、中には中性やアルカリ性を好む植物などもあるので、植樹前には酸度は調べておきたいものです。
酸度の調べ方は、ドラッグストアなどででも売っているリトマス試験紙で、沸騰させて冷ましたお湯で庭土を湿らせ、その土の中に、試験紙を浅く埋めます。酸度が強ければすぐに赤く発色し、弱酸性の場合は赤く発色するまでに20分以上かかります。色が変化しない場合は中性かアルカリ性ですから、石灰などでの中和は必要ありません。
庭木が喜ぶ土づくりを行いましょう!

庭木を元気に育てるには、土づくりは欠かせません。
庭木が喜ぶ庭土への土壌改良は、やり方が分かれば、ある程度は自分でも行えます。
ポイントは、庭木が喜ぶ土を知ることと、それを前もって行うことです。樹木は生き物ですから、人間と同じように、酸素や栄養が必要なので、人と同じように大切に扱ってあげてくださいね。
どうしても難しいようなら是非ご用命くださいね。庭木のメンテナンスはこちらから
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎








