庭木におすすめ樹木【ニシキギ(錦木)】|剪定をマスターして紅葉を迎えよう
世界三大紅葉樹に数えられる「ニシキギ(錦木)」は、庭木として人気のある樹木です。
鮮やかに染まった葉が、秋には華やかにお庭を彩ることでしょう。小さな実がはじけた姿も愛嬌があり、魅力的ですよね。
そんな美しいニシキギを末永く楽しむためには、剪定が欠かせません。剪定方法や適期を知って、愛着を持ってお手入れをしていきましょう!
目次
ニシキギ(錦木)の基本情報
ニシキギ(錦木)の特徴
ニシキギ(錦木)の種類(日本生息)
ツルウメモドキ | マユミ | ツリバナ | ニシキギ | マサキ
ニシキギ(錦木)の剪定時期
ニシキギ(錦木)の剪定道具
ニシキギ(錦木)の剪定のメリット
ニシキギ(錦木)の剪定方法
ニシキギ(錦木)の育て方
ニシキギ(錦木)の増やし方
ニシキギ(錦木)の病害虫
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
ニシキギ(錦木)の基本情報
科名:ニシキギ科
属名:ニシキギ属
学名:Euonymus alatus
英名:winged spindle、burning bush
和名:錦木
別名:カミソリノキ、ヤハズニシキギなど ※地方によってさまざま
原産地:日本、中国、アジア北東部
樹高:約2~4m前後
区分:落葉広葉樹(低木)
耐暑性:強い
耐寒性:強い
開花期:5月~7月
花色:淡い緑色
果実期:10月~11月頃
剪定時期:11月~3月
用途:庭木、生垣、盆栽など
花言葉:「あなたの魅力を心に刻む」「危険な遊び」
ニシキギ(錦木)の特徴
ニシキギの特徴は、何といっても紅葉の美しさが真っ先にあげられるでしょう。
世界三大紅葉樹のニシキギは、和名で「錦木」と呼ばれ、錦のような美しさに例えられることや、縁起のよさから庭木としても人気です。
紅葉の美しさとは正反対に、開花した花は、よく目を凝らさないと気付きにくい淡い緑色。
10月を過ぎる頃になると、鮮やかに熟しはじめます。熟した果実がはじけ、中から朱色の実をのぞかせる姿は愛らしさにあふれています。
別名「カミソリノキ」とも呼ばれているニシキギですが、この名前の由来は、枝に付くコルク質の翼(よく)が、カミソリの刃に見えることからといわれており、少し風変わりな外見の特徴を持っています。
美しさと個性を兼ね備えたニシキギは、自宅に居ながらにして紅葉鑑賞を楽しめるので、人気の理由にも頷けますよね。
ニシキギ(錦木)の種類(日本生息)
ニシキギ科は、アジアを中心に170種もあるといわれていますが、日本に生息しているのは5属27種です。
ここでは日本に生息している5つのニシキギ属を紹介します。
ツルウメモドキ
つる性なので他の植物にからまる。
淡黄色の果実がはじけて、中からオレンジ色の実がでてくる。
実には毒がない。
マユミ
ニシキギによく似ている。
見わけ方は、翼(よく)の有無。翼がないのがマユミ。
はじけ出た実は4つあり、毒がある。
ツリバナ
長く釣り下がったように花や実をつける。
5裂にはじけた実には毒がある。
ニシキギ
枝に翼(よく)をつける。
はじけ出た実は1つで毒がある。
マサキ
厚く光沢のある葉を持つ。
実が3~4つにはじけ出るところはニシキギに似ているが、紅葉はしない。

ニシキギ(錦木)の剪定時期
ニシキギの剪定時期は、11~3月の休眠期がおすすめです。
樹木への負担が少ないだけではなく、枝についている花芽を見分けやすいでしょう。
ふっくらと丸みのある花芽を切り落としてしまわないよう、注意しながら剪定をすすめてくださいね。
そして、剪定時期におすすめできないのは、ニシキギの成長期です。
枝を多く切りすぎてしまうので、切った先から新芽が次々と芽を出してしまいます。せっかく剪定を行ったのに「余計に混みあってしまった…」という結果になることも。
落葉シーズンのニシキギを剪定する方がスムーズでしょう。
ニシキギも含めた、樹木別剪定時期年間カレンダーを作成しました。興味がある方は、ぜひご覧ください。

ニシキギ(錦木)の剪定道具
はじめてニシキギの剪定に挑戦する方は、剪定道具から揃えましょう。
・軍手
・剪定ばさみ
・刈り込みバサミ
・ノコギリ
・脚立
を準備します。
剪定ばさみ・刈り込みバサミ・ノコギリは、樹高や樹形にあわせて使用してください。
脚立を使用する際には不安定な場所での利用は避け、怪我をしないよう正しい方法で使ってくださいね。
ニシキギ(錦木)の剪定のメリット
ニシキギの剪定を行うメリットは「美観を整える・成長を促す・病害虫予防」の3つがあげられます。
剪定は、成長期に徒長した枝や不要な枝を剪定し、見た目の美しさを整えるためだけと思われがちです。
剪定を行うことは、株全体に栄養を行き渡らせられるので、ニシキギの成長を促すことへもつながります。
さらに、混みあった枝を剪定した後は、日当たりや風通しもよくなり、病害虫の発生を防ぎやすくなります。
メリットを知って剪定を行えば、無駄が少なくなり、作業もはかどるかもしれませんね。
ニシキギ(錦木)の剪定方法
ニシキギの剪定を行う際には、「間引き剪定(透かし剪定)」が適しています。
樹形のバランスを見たときに、枝同士が混みあっている場所を見つけて剪定していく方法です。
剪定する枝は、徒長していたり、弱っていたりする枝を切り落としていきましょう。
ポイントは、枝の付け根から切ること。
また、日当たりと風通しがよくなるイメージをしながら剪定をするのが大切です。
左右のバランスを見ながら、上から下へ向かって剪定してみてくださいね。
■剪定方法をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

ニシキギ(錦木)の育て方
秋に美しい紅葉を楽しむために、ニシキギの育て方のコツを紹介します。ぜひ、チェックしてくださいね。
日当たり
ニシキギは半日陰でも育ちますが、美しく紅葉した姿を楽しみたいなら、日当たりのよい場所への植え付けがよいでしょう。
日によく当たり、夜には気温がグッと下がるくらいの温度差があると、葉が鮮やかに色づきます。ただ、西日の強い場所は葉が焼けてしまうので、避けた方が無難です。
水やり
地植えにして日が浅いニシキギは、土が乾いていたら水やりを行いましょう。根付いた後や、2年以上経った株は、基本的に水やりの必要はありません。
極端に乾燥が続く日や夏には、様子を見ながら水やりをしましょう。
鉢植えや盆栽で管理しているニシキギは水切れをおこしやすいので、定期的に土の状態を確認しながら水をあたえてください。

肥料
12~1月に、寒肥として肥料をあたえましょう。
地植えのニシキギには、緩効性化成肥料を1回施すくらいで充分ですが、鉢植えの場合は様子を見て、3月に追肥を行うのもよいでしょう。
肥料のあたえすぎは、紅葉シーズンに悪影響を及ぼすことがあるので要注意です。

植え付け
落葉樹のニシキギは、休眠期の植え付けが適しています。
「11~12月」または「3月」に植え付けを行いましょう。
休眠中に植え替えを行うことは、ニシキギへの負担をやわらげます。また、休眠中といえども「1~2月」の厳寒期は避けるのがベストです。
植え付ける用土は、水はけのよさと肥沃な土を心掛けましょう。赤玉土や腐葉土、樹皮堆肥などをバランスよく混ぜて植え付けるのがよいでしょう。


ニシキギ(錦木)の増やし方
ニシキギを増やしてみたいという方は「挿し木・根伏せ・種まき」に挑戦してみましょう。
挿し木
3月上旬になったら、成長している若い木を15~20cmほどに切り取ります。充分に水を吸わせた後、挿し木用の用土へ挿して管理しましょう。
根が張るまで動かさないよう注意しましょう。
根伏せ
3月上旬になったら、ニシキギの根を傷つけないように掘り起こします。目安として、直径1.5cm、長さ15~20cmに切り取りましょう。
水はけのよい場所へ5cmほどのくぼみを作り、植え付けます。
種まき
10~11月に熟した種を収穫しておきましょう。密封した状態で冷蔵庫へ保管し、翌年の3月に種まきを行います。
ニシキギ(錦木)の病害虫
ニシキギは病害虫に強い樹木ですが、日当たりや風通しが悪くなると発生してしまうでしょう。ここからは、ニシキギが気をつけたい害虫を紹介します。
カイガラムシ
枝や葉に大量発生したカイガラムシは、植物の樹液を吸汁しつくして弱らせてしまいます。
さらに、カイガラムシの排泄物は「すす病」を発生させてしまう二次被害も。
やっかいなことに、成虫のカイガラムシには殺虫剤の効き目があまりありません。大量に発生する前に、歯ブラシなどを使ってこすり落とし駆除しましょう。
アブラムシ
気がつくと大量発生しているアブラムシは、植物を枯らしてしまう危険性があります。
小さくて、植物と同じ色で擬態しているようなアブラムシ。気付きにくいので、手遅れにならないよう注意しましょう。
殺虫剤で駆除するのがお手軽な方法です。殺虫剤を使用したくない方は、牛乳や重曹を水で薄めてスプレーする方法もおすすめです。
■害虫対策をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

まとめ
紅葉したニシキギは、日本の風景にしっくりと馴染みます。遠目から見ても、鮮やかな発色を放つので、庭木として育てると秋の訪れが楽しみになるかもしれませんね。
また、剪定を怠らなければ、病害虫の心配もほとんどなく、丈夫で育てやすい樹木です。
剪定方法もシンプルなので、コツさえ掴んでしまえば、はじめての方でも難しくないでしょう。
身近に秋を感じさせてくれるニシキギを、ぜひご自宅のお庭に植えてみませんか。
ご自身での剪定やお世話などの作業が難しい場合は、庭のプロ集団『庭.pro』までご相談ください。
見積もりも無料ですので、ぜひ気軽にご相談ください。ニシキギの紅葉の色鮮やかなお庭で、皆様の暮らしが豊かになれば幸いです。
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎







