働き盛りの頃に、頑張って建てたマイホームも、年を重ねるにつれてライフスタイルが変化し、だんだん使い勝手が悪くなってきたと感じている方も多いのではないでしょうか。昔は苦もなくできていた庭のお手入れが、「足が曲がらない」「腰が痛い」など、苦痛になってきたという人も少なくないはずです。
それを裏付けるように増えてきているのが「庭じまい」についてのご相談です。「庭じまい」とは一体なんでしょうか。また、庭の雑草対策や植木の剪定方法など、メンテナンスのしやすい庭について考えてみましょう。
目次
「庭じまい」とは?
– 似た言葉に「墓じまい」があります
– 元気なうちに「庭じまい」を
– 余生を快適に過ごすための「庭じまい」
庭じまいにおすすめの手入れしやすい「防草方法」5選
– 【庭じまい】手入れしやすい防草方法➀タイル・レンガ・砂利
– 【庭じまい】手入れしやすい防草方法➁人工芝
– 【庭じまい】手入れしやすい防草方法➂土間コンクリート
庭じまいにおすすめの手入れしやすい「剪定方法」5選
– 剪定にはふさわしい季節があります
– 種類によって難易度は変わります
– 【庭じまい】手入れしやすい剪定方法➀透かし剪定
– 【庭じまい】手入れしやすい剪定方法➁切り戻し剪定
– 【庭じまい】手入れしやすい剪定方法➂整姿剪定
– 【庭じまい】手入れしやすい剪定方法➃刈り込み剪定
– 【庭じまい】手入れしやすい剪定方法➄伐採
「庭じまい」とは?
皆さんは「庭じまい」という言葉はご存じでしょうか。庭じまいとは、「お庭の終活」という意味で最近よく使われる造語です。「~じまい」とつく単語は、そもそも、名詞の後に付いて、それを終える意味を表す言葉です。例えば「店じまい」などがあげられますよね。しかし最近では、「最期の時を迎えるための準備」を指す新造語として多く使われるようになりました。
似た言葉に「墓じまい」があります
団塊の世代とその子どもの団塊ジュニアならよく耳にする「墓じまい」という言葉もそのひとつです。子供たちや子孫に負担を強いないよう、自分がこの世を去る前に、移転や永代供養をして、代々続いてきたお墓を更地にして閉めることを「墓じまい」というのはよくご存じかと思います。遠方にあるお墓参りに行ったり、年間管理費や寄付を支払ったりというお墓の風習が、今の時代にそぐわないものになっているという事実があり、「墓じまい」は、終活の一つとして大きな社会現象になっていますよね。
元気なうちに「庭じまい」を
同様に「庭じまい」も、剪定などの手入れが必要な「大木(高木)」や、今の時代にそぐわなくなってしまった「庭石」などの構造物、動線の悪い「レイアウト」などを、家族の負担にならないように、自分が元気なうちに、伐採、撤去処分、改装することをいいます。「入り口のアーチ状の松の大木」や「石灯篭」「ブロック塀」など、邪魔なだけならまだしも、震災が起きた時に崩れて危険なものもありますよね。これは見過ごせない問題です。
また撤去処分するものが無くても、草が生えて伸び放題になっていれば蚊や害獣の住処になったり、壊れて劣化した倉庫や長年かけて蓄積された不用品などがそのまま置いてあったりすると、台風などの強風で隣家に飛んでいって被害を及ぼしたりすることも考えられます。
そんなお庭を残して旅立たれたら、残された家族は悲しみの上に途方に暮れてしまいますよね。
余生を快適に過ごすための「庭じまい」
そして、庭じまいでは、残りの余生を快適に過ごせるようにバリアフリーの庭リフォームを同時に依頼する場合が多く見受けられます。門から玄関までの通路が狭い、段差があるなど、杖を突いて歩いたり、車いすで移動したりするのに不便なら、木を伐採するなどの改善が必要です。自分の余生のため、また子供たちや子孫のためにも、暮らしやすい、手入れしやすい庭にリフォームしておきたいですよね。
庭じまいにおすすめの手入れしやすい「防草方法」5選
庭のメンテナンスで一番やっかいなのが、ボーボーの雑草ですよね。土の部分を残せばどこからでも雑草の種は飛んでくるものです。逆をいえば、土の部分をなくせば、雑草は生えなくなるということで、地面を舗装したいと考える方が増えています。コストパフォーマンスに優れ、満足度の高い舗装にはどういったものがあるでしょうか。
【庭じまい】手入れしやすい防草方法①タイル・レンガ・砂利
手入れしやすい防草対策の中で、一番簡単に安価に仕上がるのが、防草シートの上にタイルやレンガ、砂利を敷いた舗装です。ホームセンターでも材料を用意できるので、ご自分でDIYされる方もいらっしゃいます。しかし、SNSなどに投稿されているDIYの完成画像を見ると、必ずしも上手な人ばかりではなく・・・。水平を取っていないのでガタガタ、材料をケチってスカスカ、路盤をしっかり作らないとモルタルで固めても荷重で割れなどが生じたりと、これでは見栄えもよくありません。段差ができるとつまずいて転倒し、大けがをするなどのトラブルも起こり得ます。
お子さんやご高齢の方が使いやすい道を作るのは、容易ではありません。DIYに不慣れな方は、材料費+自分の作業を時給に換算すると、プロにお任せしたほうかえって安上がりかもしれませんね。レンガやタイル、砂利は、優しいナチュラル系や、かっこいいスタイリッシュ系など、お好みに合わせて選ぶことができます。種類が豊富なので、逆に迷ってしまうほどかもしれませんが、信頼できる庭リフォーム業者に「こんな雰囲気にしたい」と希望を伝えれば、親身になって提案してくれるでしょう。
【庭じまい】手入れしやすい防草方法②人工芝
草が生えない様に舗装したいけれど、「コンクリートや石で無機質な外構は嫌」「緑がないのはちょっと寂しい」という方におすすめなのが、人工芝です。人工芝の施工方法は、整地と転圧、防草シートを敷いた上に、人工芝を敷いていきます。最近の人工芝は、本物と見まがうほどよくできており、満足度が高いのが特徴です。毛足の長さが短め(250mm前後)だと天然芝風で、自宅をドッグランにして愛犬を遊ばせたり、毛足が長い(400mm前後)と柔らかくクッション性があり、子どもが寝転んだりするのに適しています。
人工芝のデメリットは、人工物なのでいつかは劣化してしまうこと。およそ10年で張り替え時になります。毛足の質だけでなく、人工芝全体の質もよく見てみましょう。裏が滑りにくい素材か、降雨の水がたまりにくいように水抜き穴が開いているかなど、人工芝もピンからキリまでありますので、どんな人工芝がお好みか、庭リフォームスタッフに相談してみてくださいね。
【庭じまい】手入れしやすい防草方法③土間コンクリート
少しお高くなりますが、「土間コンクリート」は舗装の中では、一番満足度が高い防草方法です。土間コンクリートは防草の他にも、落ち葉の掃除がしやすい、水勾配を取れば水はけがよくなる、泥はねがない、などのメリットがあります。アスファルトのように直射日光で熱くならないという点でも優れています。施行手順は、土や雑草をすき取り、砕石を均し、転圧、型枠を作ったら、コンクリートを流し込みます。目地を取って化粧を施すとおしゃれに仕上がりますよ。
庭じまいを検討されている方はシニア世代だと思いますので、子どもたちもすでに成人されていることでしょう。地方都市では、家族全員が乗用車を所有しているご家庭も多い様です。それなら思い切って庭部分を減らして、家族全員分の車が置ける駐車場に作り替えてはいかがでしょうか。煩わしい雑草に悩まされることもなくなり、しかも月極の駐車場の賃貸料より庭リフォーム代のほうが、長い目で見ると安あがりかもしれません。
土間コンクリートは大変丈夫で、耐用年数は15年以上と言われています。メッシュワイヤーを入れれば車が載っても壊れないこと、雨が降ってもぬかるまないことが利点です。また、舗装により泥はねや土ぼこりが減るので、洗車も楽になりますよ。庭全体を土間コンクリートに作り替えるなら、目地に芝やタマリュウなどを植え、グリーンと共存させるデザインにするといいかもしれませんね。
また防草対策で土間コンクリートに庭リフォームするなら、今後のために玄関にスロープを作ってみてはいかがでしょう。土地に高低差があり長い階段のあるお宅はもちろんのこと、フラットな土地でも、玄関に入るまでに数段の階段を設えている住宅がほとんどです。庭じまいでスッキリさせた土地にスロープを設置すれば、今後、体が不自由になった際に、車いすやショッピングカートを引っ張りながら玄関に入ることができますよ。また、お孫さんやひ孫が生まれた時に、ベビーカーを押して玄関に入ることも可能になります。
ただし、土間コンクリートは丈夫がゆえに、逆に、もう一度庭を土や天然芝に戻したくなった時など、コンクリートを撤去するときに大掛かりになってしまいます。コンクリートを撤去する際には産業廃棄物代も加算されることも念頭に置いておきましょう。
関連記事▶ 庭リフォームで雑草対策!草取り作業が楽になる5つの防草方法
庭じまいにおすすめの手入れしやすい「剪定方法」5選
次に、「庭じまい」で樹木を残したい方におすすめの、手入れしやすい樹木の剪定方法を見てみましょう。庭に生えている樹木が、隣家の敷地や電線にまで伸び放題だと困りますよね。この章では、植木のプロが行う主な剪定方法と伐採について簡単に説明します。
剪定にはふさわしい季節があります
剪定時期には、大きく分けて「夏剪定」と「冬剪定」があります。
一般的に、夏剪定には、威勢よく育ちすぎた姿を整える目的、冬剪定は強剪定で整えることが多いです。また、樹木の種類によってふさわしい季節があるのはご存じでしょうか。樹木の種類により間違った季節にカットすると、花芽や新葉を落としてしまう場合があるためです。例えば、アオダモやヤマボウシは12月~2月、ツバキ、サツキ、キンモクセイは5月~6月、マツやマキは比較的季節を問いませんが3月~4月が剪定の適期です。
種類によって難易度は変わります
間違って剪定しても枯れない簡単な樹木ならご自分でチャレンジしてみるのもよいでしょう。しかし、脚立で届かない高木や、松の仕立てなど芸術的に難しい樹木、また、樹木自体の剪定が難しいもの(カエデ、コウヤマキ、モッコク、カツラ、桜など)は、ためらわず、植木のプロフェッショナルにお任せしましょう。
【庭じまい】手入れしやすい剪定方法①透かし剪定
「透かし剪定」とは、内向きの枝、下がっている枝、徒長枝、太い枝、交差枝など、見た目が悪い不要な枝を間引く剪定方法です。ガーデニング好きなら、バラの枝透かしなどやったことがあるのではないでしょうか。一本だけ長く伸びてしまう(頂芽優勢)、光合成を妨げる、風通しが悪く蒸れやすい、不要な枝に養分が取られ樹木全体が貧弱になってしまう、などの成長不良を防ぐ目的も
あります。
【庭じまい】手入れしやすい剪定方法②切り戻し剪定
伸びた枝を切り詰める剪定を「切り戻し剪定」といいます。切り戻しは、新芽を出させる、花芽を新しく作るなど、ガーデニングでもよく行われる手法なので、なじみがあるかと思います。切り戻し剪定の注意点は、切る時期を間違わないことです。花後や休眠期、成長期の前などに行います。植物の種類により花芽形成などの時期は違いますので、やたら切ってしまうと、花が咲かない、実がならないなどのトラブルになるかもしれません。
【庭じまい】手入れしやすい剪定方法③整姿剪定
「整姿剪定」とは、似た言葉の整枝剪定とは違い、枝を切るだけが目的ではありません。文字通り、姿を美しく整えるための剪定で、芸術的な要素やエクステリアとしての要素も含まれます。日本庭園の松のアーチなどがそのよい例です。「右側は玄関なので短く、左側は目隠しに長く」など人間の都合によって仕立てられる場合もあります。芸術センスが求められるので、自信がなければ、専門家に任せたほうがよいでしょう。
【庭じまい】手入れしやすい剪定方法④刈り込み剪定
「刈り込み剪定」もよく目にする剪定方法です。主に生け垣をボックス状に整えたり、お寺などの日本庭園で、サツキやツツジが丸くドーム状に刈り込まれたりしているのが「刈り込み剪定」です。洋風ガーデニングでいうところの、丸や三角、動物などを形どった「トピアリー」や、バラやコニファのスタンダード仕立ても刈り込み剪定の一種といえます。
ご自身で剪定されたい方には以下のページから庭木の剪定マニュアルのダウンロードも可能ですので、是非参考にしてみてくださいね。
【庭じまい】手入れしやすい剪定方法⑤伐採
上記4つは、長くマイホームで一緒に過ごしてきた樹木を残すための剪定方法でしたが、5つ目は「伐採」です。伐採とは木の根元付近から切り倒すことをいいます。庭じまいのご依頼では、伐採を望む方も多いのですが「伐採すると何か悪いことが起きるのでは・・・」と心配される方は、お払いもセットで行うと安心です。伐採と併せて外構物を作る予定なら、根っこも撤去する「伐根」が必要になりますので、庭リフォームの専門業者に相談することをお勧めします。
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まとめ
「庭じまい」は、不要になった外構物の撤去だけでなく、雑草がボーボーに生えたアプローチ、大きくなりすぎて手に負えなくなった宿根草の花壇や、伸び放題の樹木の剪定・伐採など、無法地帯になってしまった庭全般に及びます。
老後のバリアフリーの観点からも、メンテナンスしやすい庭リフォームとは何かを、今一度考えてみてくださいね。庭じまいのご相談は、植物や植木のプロのいる「庭.pro」へお気軽にご相談ください。