ユッカエレファンティペスの育て方をプロの庭師が伝授します
「ユッカエレファンティペス」は、どっしりとした幹に、緑のとがった葉が印象的な植物です。
「青年の木」の名前なら聞いたことがあるという人もいるかもしれませんね。
インテリアグリーンとして人気のある「ユッカ・エレファンティペス」ですが、関東以南の日当たりのよい場所ならドライガーデンでも育てられます。
まずはその特徴や育て方を知って「ユッカ・エレファンティペス」を育ててみましょう!
目次
ユッカ・エレファンティペスの基礎知識
ユッカ・エレファンティペスの特徴
ユッカ・エレファンティペスの育て方
ユッカ・エレファンティペスの病害虫
ユッカ・エレファンティペスの剪定方法
ユッカ・エレファンティペスの増やし方
まとめ
やっぱりプロに依頼したい方
ユッカ・エレファンティペスの基礎知識
科名 リュウゼツラン科
属名 ユッカ属
学名 Yucca elephantipes
英名 Spineless Yucca
和名 青年の木
別名 メキシコチモラン
原産地 中央アメリカ、メキシコ南東部など
樹高 約5~10m前後
区分 常緑高木
耐暑性 強い
耐寒性 普通
開花期 6月~8月頃
花色 淡い白~黄色
用途 ドライガーデン、観葉植物など
ユッカ・エレファンティペスの特徴
力強い太い幹がゾウ(エレファント)の足のように見えることから、「ユッカ・エレファンティペス」の名前がついたといわれています。
勢いのあるグリーンの葉が、ぐんぐんと成長していく姿は、まるでとがった剣のようでシャープ&スタイリッシュな印象をあたえてくれるでしょう。
「ユッカ・エレファンティペス」は、その成長姿から「青年の木」の愛称でも慕われています。
花言葉は「偉大」や「勇壮」といった意味があり、縁起のよい植物としてお祝いの贈り物としても人気です。
また、耐陰性も強く育てやすく枯れにくいのも魅力なので、オフィスのインテリアグリーンとしてもおすすめです。
「ユッカ・エレファンティペス」は、耐寒-5℃とユッカの中では耐寒性が強い方ではありませんが、温暖な地域の日当たりの良い場所では地植えで育てられる植物です。
シャープで品のあるドライガーデンづくりをイメージしている人には、ぴったりの植物かもしれませんよ。
ユッカ・エレファンティペスの育て方
初心者でも育てやすい「ユッカ・エレファンティペス」ですが、育てる際にはいくつかの注意点があります。
ポイントを紹介するので参考にしてみてください。
日当たり・管理場所
「ユッカ・エレファンティペス」は、日当たりのよい環境を好む植物です。
日光が不足してくると、見た目にさまざまな変化があらわれるでしょう。
葉色が悪くなったり、垂れてきたりしたら、屋外で日光浴をさせてあげましょう。
また、ずっしりとした幹が弱り、バランスが悪くなった状態も日光不足が考えられます。
「ユッカ・エレファンティペス」の原産地は、寒暖差があり乾燥の激しい地域。
耐暑性は強い植物ですが、葉焼けをおこすこともあります。
日差しが強い真夏の時期は、長時間の日光浴には気を配り、遮光できる場所での管理が望ましいでしょう。
耐寒性があまり強くないので、温暖な地域では、屋外のドライガーデンで越冬できますが、最低気温0℃を下回らないように要注意。寒冷地では冬は室内での管理がおすすめです。
少しでも心配な地域は、秋頃から室内へ移動するか防寒対策を施すのが安心です。
水やり
「ユッカ・エレファンティペス」は、乾燥地帯が原産地なのであまり水を必要としません。
生育期となる20℃前後のシーズンは、水やりをしっかりと行います。
土の表面が乾いているのを確認し、鉢全体に水がしみ込むまでたっぷりとあたえましょう。
鉢底から水が滴るくらいが目安。土の表面だけの水やりではあまり意味がありません。
注意したいのは、真夏の過湿状態です。根腐れや、幹がぶよぶよと溶けてしまう原因になります。
また、冬の水やりは控えめにし、土が乾いているのを確認してから、数日後にあたえてください。
空気が乾燥しているときには、霧吹きを使って葉水を行うのもおすすめですよ。
生き生きとした美しい葉色を保てるので、ぜひ試してみてくださいね。
肥料
「ユッカ・エレファンティペス」は、緩効性化成肥料と液体肥料の2種類を使い分けましょう。
肥料をあたえるシーズンは、4~6月と9~10月。
緩効性化成肥料は置き肥とし、液体肥料は2週間に一度を目安に施します。
半休眠期の真夏7~8月と、休眠期の11~3月は、肥料をあたえるのはNG。
肥料焼けをおこし、枯れてしまうこともあるので、置き肥は取りのぞいてくださいね。
緩効性化成肥料と液体肥料には、それぞれ特徴があります。「ユッカ・エレファンティペス」を元気に成長させるには、この2種類を使い分けるのがコツですよ。
植え替え
「ユッカ・エレファンティペス」は、勢いよく成長していく植物なので、1~2年に一度は植え替えを行いましょう。
鉢いっぱいに根がまわると、水分を吸えなくなります。また、古くなった土は硬くなり、酸素も入りにくくなってしまうでしょう。
植え替えは、半休眠期と休眠期を避けた4~5月、または9月がおすすめ。
「ユッカ・エレファンティペス」の成長をよく観察し、ベストなタイミングで植え替えをしてあげましょう。
【植え替えで準備するもの】
・ひとまわり大きな鉢
・観葉植物用の土など(水はけのよい土)
・鉢底ネット
・軽石やゴロ土など
・グローブ
・緩効性化成肥料
【植え替えの手順】
1. ひとまわり大きな鉢へ鉢底ネットをしき、軽石またはゴロ土を入れておく
2. 観葉植物用の土など、水はけのよい土を3分の1ほど入れる
3. 緩効性化成肥料を土にすきこんでおく
4. ユッカエレファンティペスの根を傷つけないように、鉢から抜きだす
5. 古く硬い土を落とし、鉢へ植え替える
植え付け
温暖な地域なら、ユッカエレファンティペスをドライガーデンへ地植えにするのもおすすめです。
植え付け場所は、日当たりと水はけのよい場所を選びましょう。
事前に、観葉植物用の土や、赤玉土、鹿沼土など、水はけのよい土をブレンドしておきます。
植え付けを行う際は、5~6月または9月がベストシーズンです。
根に負担がかからない季節を選びましょう。
ユッカ・エレファンティペスの病害虫
「ユッカ・エレファンティペス」が気をつけたい害虫は、「ハダニ・アブラムシ・カイガラムシ」です。
害虫発生の原因としてあげられるのは、風通しの悪さ。
室内で管理している場合は、こまめに換気を行いましょう。
また、定期的な葉水は、害虫予防となります。霧吹きで葉水を行う際には、表裏にしっかりと施すのがコツ。
大きな葉にホコリが溜まったままの状態は、病害虫を引きおこす原因にもなります。葉水はホコリを取り払い、きれいな葉色を乾燥から守る役割もあります。
気をつけて管理していても、病害虫が発生してしまうことも多々あるでしょう。
そんなときには、殺虫剤を使って駆除しましょう。
初期の段階なら殺虫剤を使わず駆除もできます。
カイガラムシは歯ブラシでこすり落とし、ハダニやアブラムシには牛乳を水で薄めたスプレーで撃退しましょう!スプレーしたあとは、ニオイが発生するので洗い流してくださいね。
ユッカ・エレファンティペスの剪定方法
葉が生い茂ってきた「ユッカ・エレファンティペス」は、剪定を行い、風通しよく育てましょう。
また、茶色く傷んだ葉もカットし、見栄えをよくします。
樹高が伸びてきたら、幹を胴切りにし高さ調節もできますよ。
思い切った胴切りは不安になるものですが、しばらくすると新しい芽や葉がでてくるので心配しないでくださいね。
幹を胴切りにするには、小さなノコギリが必要です。そして、胴切りにした切り口から雑菌類が入らないように、癒合剤を塗るのを忘れないでください。
大がかりな剪定や胴切りは、4~5月と9月が敵期。真夏の半休眠期や冬の休眠期、さらに湿度の高い梅雨の時期は避けましょう。枯れてしまうリスクが高くなります。
定期的に剪定を行うことは、病害虫の予防にもなります。
バランスを見ながら、ぜひ剪定にチャレンジしてみましょう。
ユッカ・エレファンティペスの増やし方
「ユッカ・エレファンティペス」は、比較的かんたんに増やせる植物です。「株分け・挿し木」など、方法はさまざま。
剪定した枝は捨てずに、挿し木にチャレンジしてみてください。また、株分けをするなら植え替え時に行うのがよいでしょう。
まとめ
上へ向かってぐんぐんと成長し続ける、「ユッカ・エレファンティペス」を見ていると、元気をもらえるでしょう。また、鮮やかなグリーンの葉は、室内空間にリフレッシュ効果をもたらしてくれそうです。
植物を育てることに不安のある人は、育てやすい「ユッカ・エレファンティペス」から育ててみませんか?
「ユッカ・エレファンティペス」の開花は珍しく、条件が揃わないと見るのは難しいといわれています。地植えにすると成長も早くなるので、もしかしたらドライガーデンで開花している姿を目にする日もやって来るかもしれませんね。
その日まで楽しみに成長を見守りましょう。
2024年1月24日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎