マシン油乳剤は、他多くの殺虫剤が害虫に直接吹きかかけ中枢神経系に作用して殺虫効果を発揮するものに対して、マシン油乳剤は呼吸口を封鎖して窒息死させるのが特徴の薬剤です。なので体内に薬剤が直接到達しにくいカイガラムシ類やハダニ類の防除に良く使用されています。基本的な使用時期は、落葉樹は葉が落ちて休眠している時、常緑樹も成長を止めているのでダメージを受けにくくなっている冬時期にだけ使用できる期間限定秘密兵器なんです。ただ雨が降ると薬剤が流れ落ちてしまうため、晴れの国岡山らしい晴れ予報が続いているタイミングでの散布をオススメします。
日本農林規格(JAS)に定める有機農産物の栽培で使用可能な農薬です。
薬液を多く作って余ったからといって、乾いた後に2度散布をすると樹勢が弱りますし、
マシン油剤を散布した樹木に他の薬剤を散布するときは、1か月以上(指定された期間)の間を空けてください。
マシン油乳剤には95%剤と97%剤とがあり、一般的にはハダニ類には95%剤の方が効果は大きいのですが、カイガラムシ類には97%剤の方がより有効です。 登録樹種と対象害虫によって登録マシン油は決まってるのでご注意下さい。
カイガラ虫に有効なマシン油乳剤以外の殺虫剤、農薬
①オルトラン水和剤は低毒性の有機リン剤で、水で薄めて散布するタイプの薬剤です。
浸透移行性の薬剤の為、葉や茎に散布された薬剤は植物内を移動するため、カイガラムシやアブラムシなど口吻を植物に突き刺して吸汁するタイプの昆虫に効果があります。
②アステリック乳剤は有効成分ピリミホスメチルによるガス効果で即効性がある薬剤です。
適応はサクラ、マサキ、ツツジなどの庭木類につくカイガラムシに有効です。
③アプロード水和剤は昆虫成長制御剤で、カメムシ目の幼虫が脱皮出来なくすることによって殺虫効果を発揮する薬剤です。
成虫に対しては全く効果が無いので散布のタイミングが最も重要になってきますが、卵や幼虫の段階(幼虫の発生時期は種によって異なりますが、5~7月の時期)で散布することができれば次世代のカイガラムシも駆除してくれるのでとても効果的です。
④石灰硫黄合剤は、カイガラムシに効果的な薬剤として大きな農園では必ずと言っていいほど使われる薬剤のひとつです。
温かい時期に散布をすると薬害を生じてしまうので、樹木が休眠状態にある冬季(1~2月)に散布をします。
カイガラムシのみならず、うどん粉病などの様々な病原菌にも効果があるのですが、強烈な硫黄臭がするので一般家庭での利用は近所迷惑にもなるので使える場所は限られてしまいます。
カイガラ虫の駆除方法
1.成虫はブラシやヘラでこそぎ落とす
2.剪定やまわりの環境を改善して通気性・日当たりをよくする。
3.5~7月ごろにオルトラン水和剤・粒剤やアプロード水和剤を利用する
4.マシン油乳剤97%を12月ごろに成虫に噴射
害虫予防対策はしないよりしたほうが良いですが、重要なのは害虫が発生した際の早期殺虫です。その為にも可能な限り庭木の状態を見てあげてください。そうする事で様々な異変はもちろんですが、芽吹きや成長も気付く事が出来ます。
自分でできることは自分で、できないことや不安なことはプロに任せる。庭のプロ集団『庭.pro』までご相談ください。
綺麗な庭で皆様の暮らしが豊かになれば幸いです。
2024年1月30日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎