植物の種類 | 桜(3本※1本はソメイヨシノ他は不明) |
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施工内容 | 樹木医による樹木診断(外観診断3本、その内2本を後日機器診断) |
施工期間 | 外観診断1日、機器診断1日 |
庭.proより | 「出来れば伐採したくはないけど、その危険性があるなら早めに対処しておきたい」という保育園の職員の方のお話を伺い、「樹木医」の資格を持つ専門家に樹木診断を依頼しました。 |
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お客様の声 | こちらのお願いに対して早急にかつ丁寧に対応してくださりとても信頼できたので依頼しました。樹木診断も早急にわかりやすい診断書頂き助かりました。 |
園児や地元の方に愛されてきた樹齢75年以上の桜
保育園の創設から75年以上、ずっと園児達の成長を見守ってきた桜の古木(3本)をプロに見て欲しいとご依頼いただき、樹木医さんによる「樹木診断」を実施させていただきました。
「街路樹診断マニュアル」の項目に従い、目視による「外観診断」を行ったのち、腐朽の度合いが高いと思われる2本を後日「レジストグラフ」という機械による「機器診断」を行いました。

一番大きいソメイヨシノ
1本目は樹高9m、幹周り230㎝のソメイヨシノで、傾きは見られないものの、表面に異常が出ていました。
- 上部の枝には背着性のキノコも
- 傾きはそこまで大きくない状態
- 幹にできた開口空洞
- 大きな「コフキタケ」
- 胸元の高さの幹周は227cm
- 異常個所の高さなども測量
- 根元にも空洞があり
- 鉄の棒を入れるとキシミ音が
- 木槌で叩いて打音で異常を確認
まずは樹木医さんが計測を行い、目視で細かな部位診断を行いました。幹や根元には空洞もあり、幹には打音異常も見られます。
キノコやコケが生えているは木そのものの体力が弱っている証拠で、表面の樹皮のめくれや根元の空洞の他にも「コスカシバ」という蛾の幼虫の害を表す「ヤニ」も発生していました。
2本目は保育園横の私道に大きく傾いた状態で、樹高8m幹周127cm、根元周135cmの木です。
- 葉張りも十分で実も付いている状態
- 根元には「根頭癌腫病」が見られる
- 傾きが大きいのが難点
- 度重なる車両の接触で傷んだ幹
- 過去の剪定跡
- 根元は舗装で覆われた状態
葉張りも良く、実もなっており、樹皮の枯死や欠損・腐朽はあまり見られない状態で、根元には細菌によっておこる「根頭癌腫病」が見られるものの、症状としては軽微とのことでした。
傾いて私道にせり出した部分は今後の車両の接触を回避するためにも、運転者から見てよく目立つ色の保護材のようなものを巻きつけるなどの工夫が必要とのお話になりました。
3本目は正門内側にある樹高9m、幹周127㎝、根元周134㎝の木で、もっとも腐朽が心配される状態でした。
- こちらは正門にもたれかかったような状態
- 樹冠にも細い枯枝がたくさん
- 背着性のキノコも
- 開口空洞や樹皮の欠損も多数
- 「コスカシバ」の害を表すヤニ
- こちらは「ベッコウダケ」
- 打音異常もみられます
こちらは3本の中でももっとも腐朽が進んだ状態で根元の空洞に加え、「ベッコウタケ」や「コスカシバ」の被害も見られました。
何より傾きが大きく、保育園の正門にもたれかかっている状態で、歩道に向かってせり出しているのが懸念されます。
「樹木外観診断書」の作成
- 【1本目】概況調査票および衰退度判定表
- 【1本目】外観診断票-1
- 【1本目】外観診断票-2
- 【2本目】概況調査票および衰退度判定表
- 【2本目】外観診断票-1
- 【2本目】外観診断票-2
- 【3本目】概況調査票および衰退度判定表
- 【3本目】外観診断票-1
- 【3本目】外観診断票-2
調査から数日後に樹木医さんによる樹木外観診断の「概況調査票および衰退度判定表」と「外観診断書」が作成されました。
その後、施主様である保育園の職員さんからのご依頼で、後日3本中2本(北側1本目と南側3本目)は腐朽度合が心配されるため、「レジストグラフ」という機械を使った「樹木機器診断」を行いました。
「レジストグラフ」による「樹木機器診断」
- 事前の外観診断を基に機器診断する箇所を決定
- 診断カ所に印を付けます
- この機械が「レジストグラフ」
- 先端の鉄の棒を幹に差込みます
- 予め印を付けたところを診断
- 1本の木を複数の角度から検査します
- 抵抗値の大きさによって空洞具合を判別します
「レジストグラフ(貫入抵抗測定器)」とは、木の幹に複数の角度から細い鉄の棒を挿入して、その棒にかかる抵抗値を測定する機械のことで、その抵抗値が低ければ幹内部の空洞化が進行していることが判別できます。
この診断結果から樹木機器診断による「総合判定カルテ」と「腐朽診断カルテ」が作成されました。
- 【1本目】機器診断-総合判定カルテ
- 【1本目】機器診断-腐朽診断カルテ
- 【3本目】機器診断-総合判定カルテ
- 【3本目】機器診断-腐朽診断カルテ
結果的に北側の1本目は外観診断では「著しい被害が見られる」とされるものの、機器診断による腐朽空洞率はそれほど大きくないため、「注意すべき被害が見られる」とされました。
ただし、「コフキタケ」が発生しているため、「今後も腐朽は進行するので注意深い観察を要する」との最終結果でした。
また南側正門の3本目は外観診断においても「ベッコウタケ」の発生と「打音異常」により「著しい被害が見られる」とされ、機器診断においても「腐朽空洞率が30%を超える」ことから同様に「著しい被害が見られる」とされました。
今すぐ撤去が必要とまではいかないまでも入口で歩道にも面していることから、「支柱などの何らかの処置が必要である」との最終結果となりました。
ただし、これはあくまで現段階の診断結果と言えるため、今後の台風や気候の変化などに備え、早めの対処を検討するべきだろうとご案内させていただきました。